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第七話~立腹~

翌日、特になんの変化もなく、午前中の授業が終わり、昼飯時を迎える。

良かった。イジメられずにすんで。

田原さんが俺の机の上に弁当箱を置き、俺の前に座った。

いつも通り。

でもないな。

「上履き…」

「あっ、はい。なくしました…」

「なるほど…」

最悪な事態になった。

あのしっかりした、田原さんが上履きをなくすわけがない。確実に盗られたな。

なるほど。今の俺には、手を出せないから、代わりに田原さんにちょっかいを出してきたか。

何せ、今俺は教師達の中では一躍ヒーローみたいなもんだからな。俺にちょっかいだしているって事がばれたら、間違いなく、ただじゃすまされん。

卑怯者どもが。

田原さんに目をやる。

黙々と弁当を食べている。いつもなら、話し掛けてくれるのに。

この事を誰かに言うべきだろうか。

例えば、田原さんの両親…

は、ダメか。田原さんの自尊心に傷を付けてしまう。

なら、教師…

も無理だろう。証拠が少なすぎる。めどはついているものの、犯人がわからないのでは、相手にしてもらえん。

って言うか、犯人は絶対、頭緩コンビだろ。本当、胸くそ悪い。

「あ、あの…」

ん?田原さんに目をやる。

「矢澤君も、上履きなくしたりします…?」







糞っ垂れ。



「ああ、時々な…」

絶対許さん。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

五時間目が終わり、休憩の時間。目につくのは、ジャージ姿の田原さんだ。髪が少し濡れている。

おかしい。

五時間目は国語の時間で、俺と一緒に授業を受けて、その時は制服をきている状態だった。ただ、授業が終わってすぐ、どこかへ行ってしまった。帰ってきたら、この姿だ。

糞っ。

まさか、高校生にもなって、トイレ中に水をかけるなんて、馬鹿げた真似をするようなやつがまだいたとはな。

間違いなく、エスカレートしている。そろそろ手を打たないと、ヤバイことになるな。

先ずは、犯人が誰なのか、確信する必要がある。

でも、今回の件で、犯人は女子ってことは間違いない。女子トイレには入れるのは女子だけだ。そうなってくると、頭緩男は除外できる。

後、そうだな。さすがに、どんなクズでも、男で、女に手は出したりしないだろう。しかも、田原さんは可愛いからなおさらだ。

ってことは、犯人は頭緩女と見て間違いはないだろう。ただ、確信がほしい。不本意だが、翌朝、田原さんの下駄箱にカメラを設置しておこう。

どうせ、また同じことをしてくるに違いない。犯人の顔を特定して、百倍返しにしてやる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日、早朝。俺は田原さんの下駄箱にカメラを設置して、教室に向かった。

結局、昨日は田原さんに避けられて、一言も話すことはなかった。

何なら、目すら合わせてくれなかった。相当悔しいのか、それとも、俺を恨んでいるのか、のどっちかだ。

俺の予想では、間違いなく、

後者だ。

俺があの時、もっと、慎重に言葉を選んでいれば、こんな事にはならなかったはずだ。何なら、最初っから、田原さんとご飯を食べていたのが、そもそもの間違いだったのかも知れない。反省すべき点をあげれば、きりがない。だが、あくまで、後の祭りだ。

もう、田原さんは傷ついてしまった。

いや、俺が傷つけた。

だから、せめての罪滅ぼし。俺が唯一出来る事。

嫌がらせだ。

少し、時間が経つのを待ってから、下駄箱に行き、俺はカメラを取り出す。

映像を見るために、人気の無い、トイレへ向かう。トイレに入って、便器に座って、映像を流す。下駄箱の中は真っ暗だが、早送りをすると、突然光が見えた。昨日の田原さんが、教師から借りた上履きが誰かに取り出されている。幸、顔が写し出された。手だけ写っていたら、どうしようかと思った。

でも、まあ、あれだな。予想通り。

あのアマがやりやがった。

今なら、この映像を教師に見せれば、何とかしてもらえるはずだ。

って言っても、怒られて、あわよくば、自宅謹慎が良いところだろう。

しかし、その後、謹慎が解いたら、また別の手で、田原さんをいじめるかも知れない。だから、教師に言うなんて事は、してやらない。

アホが。俺をいじめていればいいものを。家族以外で、唯一俺に関わろうとしてくれた人にちょっかいだしやがって。相当、頭が緩かったんだな。お前。













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