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第五話~人の痛み~

2時限目が終わり、今は休憩の時間である。さて、10分間何をしよう?とりあえず、トイレだな。俺は、トイレに向かった。トイレの前までつく。

くそっ。奴等がいる。不良たちだ。あいつらにとって髪型は命だからな。必然、鏡のあるところに群がる。それが、トイレだ。

こういう時、またしても、いい方法がある。

別のトイレに移動する?情けない。

違う。明後日の方向眼鏡をかけるのだ。まずは、明後日の方向眼鏡の説明をしよう。一部の動物園で、ゴリラを観察するときに、用いられる特殊な眼鏡。レンズはなく、その代わりに、右斜め上を向いた目のプリントが貼られている。不良と言うのは、基本的にゴリラと変わらん。目を合わさなければ、威嚇してこない。

俺は、早速、パンパンに腫れている学ランのポケットから、明後日の方向眼鏡を取り出して、掛けた。トイレにはいる。当然、不良達が俺を睨むが、眼鏡の効果が出たのか、直ぐに目をそらす。

「ヤバイやつが来たぞ。目を合わせんな。絡まれる」「お、おう…」

そんな声が聞こえてくる。

なるほど、

何だか。

悲しくなってきた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

憂鬱な気分で、再び、教室に向かう。

「あんたなにキーホルダー何かつけているのよ」

教室の前まで来て、そんな声が聞こえる。なんだ?揉め事か?

俺は即座に、再び、トイレに向かおうとする。

「か、返してください…。大事な物なんです」

俺は、頭をポリポリ掻いた。流石に、無視できん。俺は、教室の前まで行って、扉を開けた。

やっぱり。

俺は、見覚えのあるデブ女と田原さんを交互に見た。

ん?あの豚女、俺が田原さんにやった猫のキーホルダーを持っている。

「何してんだ、お前」

俺は今、腸煮え繰り返っている。つまり、ものすごく、怒っているわけだ。

「あんたこそ何してんのよ?」

「あん?」

何を言ってるんだこいつは。頭がおかしいのか。

「その顔」

俺はそっと、掛けていた、明後日の方向眼鏡をポケットに閉まった。

「そのキーホルダー返してやれよ」

「借りてるだけだもんね。有明ちゃん?」

肥満体女は、田原さんを睨み付ける。

「え、えと…」

田原さんは困ったように下を向く。

「もういいだろう?」

「うるさいわね。大体なんで太宰治がでしゃばって来るのよ!?」

嘘だろ?

どうやら俺は太宰治と呼ばれていたようだ。

ちょっと泣きそうになる。

「何、あんた、こいつが好きなの?」

「ち、違う。俺は学級委員長として…」

「えっ…」

田原さんが何故か、落ち込んだ。

この豚、許さねえ。

「そういえば、学級委員長だったわね、あんた。影薄くて、覚えていなかったわ」

そうだな。俺もついさっき思い出した。

まわりから、クスクスと笑い声が聞こえる。それに気がついた、豚は持っていたキーホルダーを田原さんの机に置いて、完全に俺の方へ向いてきた。

どうやら、標的を変えたようだ。

「大体、あんた友達いんの?」

グサッと来た。わかりきったことを聞くんじゃねえよ。

田原さんが何やらモジモジしている。ヤバイな。

「わ、私「いようが、いまいが、お前には関係ないだろ?豚が」

何とか、田原さんの声に俺の声を被せる事ができた。標的を俺に向けさせとかなければ…

「大体、なんだその体型は?親から貰った体を大事にする事を知らんのか?まあ、知らないわな。昼飯に炊飯器ごと持ってくるやつだしな。力士か何かなの?」

豚女が泣きそうになっている。

思い知れ。人の痛みを。

ガランと教室の扉が開かれた。

「や、矢澤…。お前、何してる?」

おっと、やっと来たか。奥地先生。

これでこの豚女が正式に制裁される。

豚女に目をやる。

ヤバイな。

号泣じゃねえか…。まさか…

「矢澤!!今すぐ、生徒指導室に来い!!」

はぁ。

やっぱり。

どうやら、俺が制裁されるようだ。

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