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第四話~高嶺の花~

結局、妹に服装のコーディネイトをしてもらって、俺は、今、田原さんん家に向かっている。髪の毛にも、なんかヘアアイロンなるものをさせられた。前髪が真っ直ぐ過ぎて、なんだか落ち着かない。上の毛も、ホストがよくやる、表現は悪いが、波?見たいな感じになっている。ふわふわしていて非常に気分が悪い。あっそうだ。気分が悪いで思い出したが、妹が俺の髪をいじっている時、親父は終止俺をうらめしそうに見ていた。きっと、俺が妹にかまってもらっていたから、悔しかったんだろう。きっとそうだ…。

…なあ、親父?

そうこうしているうちに、田原さんん家の前に着いた。相変わらず、デカイ洋菓子店だ…。今度俺は、勝手に入らず、チャイムを鳴らした。コジャレた音楽が流れる。扉の向こうから足音が聞こえる。と同時に心臓が高鳴る。今更、緊張してきたのか。ガチャンと扉が開かれた。と同時に、私服姿の田原さんが出てきた。普通に可愛い。白、いったくに染められている清潔感が漂うワンピースだ。それに、いつもは陰毛並に曲げられている髪の毛は、今では、きれいに真っ直ぐ伸ばされている。太陽の光に照らされて、輝いている。こいつ、本当は変わり者じゃないんではないか?本当なら、学校でも、一人で飯食わずに、友達に囲まれながら食えるんではないんだろうか?

いや、この美貌だ。彼氏の一人や二人楽勝に作れるはず…

「あ、あの…。こんにちは…」

「こんちは…」

いや、確信した。この性格だ。間違いなくもてる。

「い、いきましょうか?」

「う、うん…」

そう言えば、妹に相手がどんな服装であれ、誉めろって言われたな。でも誉める必要があるのだろうか?ここまで、完璧なら、誉めても、嬉しいものなのだろうか。そんなことはわかっている。と言われて鼻で笑われたりしないだろうか?いや、田原さんの性格上それは考え…

って俺は田原さんの何を知っているというのだ?知ったかぶりをされては、相手もいい迷惑だ。

…………駄目だ。なんか駄目だ。何故だろう?いや、答えならわかっている。

俺はずっと、田原さんを自分と同等の立場として認識していた。でも、この姿を見せられては、正直、同等の気がしない。俺よりずっと上にいる。いわゆる、高嶺の花というやつだ。うまく表現できないが、何か、距離を感じた。田原さんと一緒にいると、自分の惨めさを露呈している感覚に陥られる。こんなはずじゃなかったのに。


…さっさと、買い物を済ませて帰ろう。

「店どこにする?」

「え、えっと…、ひゃ、百貨店に行って良いですか?」

「ああ…」

駄目だ俺。態度に出すな。いくら、嫌でもちゃんとしなければ、恩返しにならん。

俺達は百貨店に向かって、歩き出した。

「や、矢澤君…」

「ん?」

「か、髪型変えたんですね…。か、か、かかっこい…いです…」

普段なら、普通に喜んでいるが、どうも今はそんな気分になれない。って言うか、何故か、怒りがわいてきた。そんな自分に嫌気がさす。

「ありがとう。田原さんも可愛いよ…」

「や、矢澤君!」

「ん?」

田原さんは急に立ち止まった。俺はそのまま歩こうとしたが、理性でなんとか止まる事ができた。

「そ、そこの喫茶店に寄って行きませんか?」

マジか…

俺は一秒でも早く帰りたいのに…

でも、これも恩返しのためだ。我慢しよう。

俺達は喫茶店に寄った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

田原さんはミルクアイスティー、俺はコーラを頼んだ。さっきから、やたら回りの人から注目を浴びる。

わかっている。不釣り合いだってことぐらい…

一層の事、姉ちゃんが選んだ服を着れば良かった。この、のびきった前髪が俺をイライラさせる。頭の上の波が、ピエロの帽子に感じる。

「お待たせしました。ミルクアイスティーとコーラでございます」

店員のこの、営業スマイルでさえ、嘲笑に見える。

「美味しそうですね」

「そうだな」

田原さんは出されたミルクアイスティーを嬉しそうに見ている。

やっぱり、可愛い…。

「あ、あの…。や、矢澤君…。す、少し要りますか?」

田原さんが俺にストローを向けてくる。

「いや、良いよ。俺にはコーラがあるから…」

「そ、そうですよね…。ふ、普通要りませんよね…。す、すみません…」

田原さんはちょっと悲しそうな顔をする。

それを目の当たりにすると、胸が締め付けられる。今すぐに普段通りに戻りたい自分が出てくる。でもそんなの無理だって言ってくる自分の方が勝っている。

「この服どうですか?」

どうって。言わせる気かよ。

「うん、可愛いよ」

わかってるくせに。

「そうなんですか…」

余り嬉しそうではない。やっぱり俺ごときに誉められても「これ、弟が選んでくれたんです。後、この髪型も…」

そう…。

「私、ファッションとか、全然わからなくって、全部弟頼みだったんです…」

「そうなんだ…」

「はい。ですから、私、自力でそこまで格好良くなった矢澤君に感心…」

田原さんが、ゆっくり首を横にふる。





「劣等感を感じてます…」

なんだと?

「しかも、今日はいつもの矢澤君と違って、何か、大人っぽくって、うまく言えませんけど…」

「何か、遠くにいる感じか?」

「えっ?」

「俺もずっと、それを感じていた…」

とたん、俺の胸のモヤモヤはきれいさっぱり消えていた。

「同じだったな…」「同じだったんですね…」

声が被る。

視線が下の方へ行って、自然と顔がにやける。

鼓動が早くなる。

お帰り…




普段通りの俺。



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