第四話~買い物に行く服装~
学校から帰って、リビングでくつろぐ。テレビが何か言っているが、まったく耳に入ってこない。それもそのはず。家族以外に誰かと出掛けるのは初めてである。しかも、女の子だ。どうしよう…。なに気を付ければいいんだろう?そうだ、相談しよう。
「明日女子の同級生と買い物に行くんだけど、何に気を付ければいいと思う?」
俺は隣で一緒にテレビを見ている姉に聞いた。
「そうね…。買い物なら、リュックを忘れちゃダメよ。出来るだけ、デザインではなく、実用性に優れたやつ。登山家が良く使っているでっかいあれね」
なるほど。買ったものを入れるためにか。
「後は動きやすい格好。例えば、Tシャツと短パン何かが良いわね。Tシャツは勿論アニメ柄ね。それだけで、女の子って言うものはテンションが上がるんだから」
ほう、そうだったのか。初めて姉を尊敬した気がする。
「ありがとう。姉ちゃん。参考になったよ」
いや、本当ありがたい。こういう時はやっぱり、持つものは姉だな。妹や母親にはこんなことは相談しずらい。親父は論外。
俺は、言われた物があるか確かめるために部屋へと向かう。
「あ、一人、ちょっと…」
俺は姉の方へ振り向く。
「バンダナ被るの忘れちゃダメよ」
「分かった」
最後の最後まで。本当にありがたいわ。ちょっとだけ姉を見直した。
俺は再び自分の部屋へと歩き出した。姉の笑い声が聞こえる。
糞…
テレビ見てから部屋に向かうんだった。
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何故か、奇跡的に全てあった。良かった。これで明日は間違いないだろう。
一回、試着してみるか。俺は、アニメ柄Tシャツ、短パンを履いて、バンダナ被って 、リュックを背負った。鏡で確かめる。うん、動きやすいし、外を出歩くのにちょうどいいかも。
「お、お兄ちゃん、何してるの…?」
妹が俺の部屋に入ってきた。
「何って、明日の買い物用の服を試着している」
「明日買い物行くの?」
「うん、田原さんと」
あっそうそう。そう言えば、こいつ彼氏いるんだったな。少々情けないが、相談してみるか。
「お前、恋人いるだろう?異性の接し方で気を付けるものってなんだ?」
「それは、余り素っ気なくしないようにすれば…。って私恋人いないし!」
素っ気なくしないようにか…。
自信がない。それにこいつには恋人がいないと…
ん?恋人がいないのか?
「え?龍神君と付き合ってるんじゃなかったのか?」
「ち、違う。龍神君とはただの友達。なに勘違いしてんの?」
そうなのか。でも…
「お前、家に連れてきたじゃないか。ただの友達なら、連れてこないだろ。普通」
「それは、お兄ちゃんに話があるからって、連れてきただけ」
そうだったのか。誤解か。まあ、確かに、妹に恋人がいて、黙っているわけないわな。
「ゆ、友ぅ~!!!お前、恋人ができてしまったのかい!?パパと結婚する約束はどこへ行ってしまったんだぁ!!」
こいつが。
にしてもすごい地獄耳だな。こいつの部屋、こっから結構距離あるぞ。
「誰だそいつは?ぶっ殺してやる!!認めん、認めんぞお」
うるせえ。
「って言うか一人、お前なんだその格好は?」
女の子と余り出掛けたことがない親父にはこの格好の意味を知らないらしい。
「お兄ちゃん明日女の子と出掛けるんだって。この服装はその時のためのやつ」
「ふ~ん。それより、どうだ、友。お父さんと一緒に風呂に入らないか?」
ものすごい、興味無さそうだな。あんた。
「嫌だ~」
と言いながら、妹が俺の部屋から出ていく。
「そんなこと言わずに。ねぇ?」
親父も続けて出ていく。
ふぅ。やっとうるさいのが消えてくれた。俺は、再び鏡の前に立つ。
うん、完璧だ。
「あっそうそう。お兄ちゃん。〔秋葉原 オタク〕で画像検索してみて」
「何で…」
「いいから、いいから。んじゃあね」
そう言うと、一度戻ってきた妹が再びどっかへ行ってしまった。
何だろう?まあ、いいか。一度検索してみよう。俺は、携帯を開いてインターネットで検索してみた。
おっ、出てきた出てきた。小さくって見辛いな。俺は画像を拡大した。
なるほど…
どうやら俺は、姉にはめられたようだ…。




