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プロローグ

今日は高校の入学式だ。

桜の花びらが雨の如く枚散って非常に美しい。

ここでは入学式の季節にこんなに桜が咲くのは結構珍しい事だ。

空も雲一つない晴天。 これだけいい条件が揃っていれば誰もが今後の学校生活に期待を抱くに違いない。

俺もその一人…

と言いたいが実はそうでもない。

元来コミュニケーションが下手くそな俺は、彼女は愚か、お友達もいない始末。

だがかろうじていじめられてはいない。

コミュ癖でも愛想笑いなるものを使えば、好かれはしないが、嫌われもしない。

15年間生きてきてそれだけはわかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


しばらく歩いていると校門が見えてきた。

俺と同じ新一年生やその保護者、教師達がそこで群がっている。

新一年生達は自分の知っている面子を見つけると笑顔になってじゃれあったりしている。

保護者達はなにやら世間話等をしてやはり、笑顔だ。

どうやら愛想笑いは俺だけの特権ではないようだ…

現実を突き付けられて悲しんでいると後ろから誰かに声をかけられた。

前の学校の同級生かな?

俺に声かけるなんて何て優しい奴なんだ。

これは初っぱなから友達を作るチャンスだと思って俺は精一杯の笑顔を作って振り向いた。

「何をニヤニヤしとるんだ。名前とクラス、後、出席番号を教えなさい」

やたら腹が出ているの中年男性がそこに立っていた。

どうやらこの人はここの先生らしい。

「や、矢澤一人。クラスはA組、番号は30番っす…」

どうやら小声で言ったのが気に食わなかったのか先生はいきなり大声を出してきた。

「ぼそぼそ言いやがって!それだからお前は友達も出来ずに入学式という晴れ舞台に一人でいるんじゃないのか!?」

晴れやかなムードだった校門付近は今ので完全に静寂に包まれた。

そして一気に全員の視線がこっちに集まってくる。

とんだ羞恥プレーだ。

先生の言った正論に泣きそうになる。

だが神様はまだ許してくれないようだ。

とどめにまわりから聞こえてくる「誰?あの人?」「アイツだよほら、去年お前と同じクラスだった…

や、…………や、………山田だ!」の声が聞こえてくる。

…ん?ちょっと待てよ。

山田?なんだ、俺の事話してるんじゃなかったのか。

ちょっとだけ救われた。

まあ、確認のため声がした方向へ目をやろう。

「うわっ、山田がこっち見たぞ」

なるほど、どうやら俺は山田と呼ばれていたようだ。

先生は回りが静かになってヒートアップしている。

「聞いているのか!?や、……や、山田!!」











………うぜぇ。

「息くせんだよ、デブ…」

言ってやった。言ってやったぞ!

もちろん聞き取れないほど小声で。

「何か言ったか?」

「いえ、まったく先生のおっしゃる通りです。以後気をつけます」

俺は頭を下げた。

「ま、まあ。わかればいい…」

俺のこの見事な直角お辞儀を目の当たりにして、先生はちょっと気まずそうに去ってくれた。

お辞儀をして自然と視線が床にいく。

「あっ…」

そこにはちょっと前まで見上げた桜の花びらが見事に散っていて床をピンク色に染めていた。

やっぱり今後の学校生活…

期待できそうにないわ。












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