桜舞う頃(パソコンのゴミ箱)
おさげ髪と黒ぶちメガネが似合ってた君
僕も君もお互い名前すら知らない
いつも遠くから見つめていた
向こう側の駅のホーム 君の姿を見ていたくて
電車をわざとやり過ごした事もあった
知りたい 君の事を
帰り道 始まったばかりの
バッティングセンターでホームランを打てたら
声をかけよう
そう決めて百円を投入するけど
気持ちみたいに空振り
あーあ 春なのにせつない
僕の青春もせつなに
そんな事考えていたら
自転車で飛び出したくなった
僕にのしかかる片思い
君とチャリンコ2人乗り?
だったらいいのに
いつの間にか大きな桜の木の下に来ていた
落ちている花びらを抱きしめたくなって
一枚拾ったら 誰かが僕の手を握った
それは君だった
一杯の花びらを僕に握らせて彼女は言った
「私は桜の妖精 いつも見ていてくれてありがとう
でももうさようなら 桜が散るから」
去っていく君の背中に そのまま消えてしまうのだろうから
「好きだよ」 やっと言えた
真夜中 桜の花びらを大事に握りしめて・・・
愛しさが溢れてくる
窓の外へ花びらを散らした
花びらはひらひら ひらひら
名残惜しくなって
一枚の花びらを手の平につかんだ
夢で会えたら・・・
次の日 向こう側の駅のホーム 彼女はいなかった
代わりにカラーコンタクトをしたショートカットの君がいた
君は僕に手を振る
僕も一枚の花びらをつまみながら手を振った
今度聞いてみよう
「夏は何の妖精になるの?」