プロローグ 伝承
はるか昔、人々は勤勉に働き、異形の獣を狩り、共に助け合い、苦難を分け合う穏やかなる日々を送っていた。しかし、それは突如として終わりを迎えるのだった。かの者の存在により…
かの者は、果ての地より生まれた。
かの者は、異形の姿をしていた。
かの者は、邪悪な力を持ち圧倒的な強さを誇った。
かの者は、暴虐の限りを尽くし人々に絶望を与えた。
かの者は、世界を支配すると言った。
かの者は、自らを『魔王』と名乗った。
人々は魔王に仇打つため、慈悲深い賢者の知恵を借りた。賢者は人々に『魔術』の知識を与えた。魔術は魔王の従者と渡り合える力ではあったものの魔王にはとどかなかった。魔王との争いが持久戦になり、人々が諦めかけたその時、その者が生まれたのだった。
その者は、普通の民家に生まれた。
その者は、人と同じ姿をしていた。
その者は、強き心を持ち挫けぬ信念があった。
その者は、魔を打ち払い人々に勇気を与えた。
その者は、世界を救うと言った。
その者は、自らを『勇者』と名乗った。
勇者は女神より授かった力と聖獣より与えられし聖剣を手に苦難の末、仲間と共についに魔王を打ち払ったのだった。
『勇ましき初代勇者』より抜粋
初代勇者が生まれた約500年後ある者たちが生まれた。彼らは、私たちにない知識と技術を持ってして世界を変えた。
家庭から出る不要となった汚水を一箇所にまとめ処理する『水道』
治安の向上を目的とし、国民一人一人を記録する『役所』
そして魔術を応用して誰でも使えるようにと作られた『魔道具』
彼らの存在によりこの世界は良い方向へと向かっていった。しかし、彼らがもたらした物はいいことだけではなかった。
魔術で砂嵐を纏い空中を漂い迎撃不可能な距離から砲撃を繰り出す殲滅戦特化型兵器。
引き金を引くと鉄の玉を目に見えぬ速度で射出する武器。
言われた命令を淡々とこなす人形。
多くの発明をした帝王は国を一つ滅ぼし多くの人々をその手で掛けたのだった。
『破滅と希望』より抜粋




