兄の本気は誰よりも強い
俺は人生の中で本気をあまり出さなかった。なぜなら、本気を出すほどの敵はいなかった、出くわすこともなかったからだ。
人生で初めて本気を出したのは、ドラゴンと戦った時だったかな。結局勝負は俺が負けたさ。ドラゴンと戦うのは百年早かったかな。
そして……。今だ。
「フィア。お前は、本当にそれでいいんだな」
「何かあるのか?」
「いいや、なんでもない。お前の魂を壊せばいいだけだしな」
「なるほどねぇ……。まあ、やってみないとわからないよ」
「そうだな」
そう言い、俺は魔力の制御をやめる。圧はフィアのほうがあるが、多さは俺だ。その魔力を魔剣にのせ、構える。
俺は地面を思い切り蹴り、距離を詰める。
「姉貴!そんな速度じゃ、私は殺せないさ!」
だが、俺はこんなものではない。俺は、徐々に速度を速くしていく。
もうここまでくると、人間を超えた判定にはなるだろう。だけど、俺の本気の速さはまだまだ先。さて、こいつは、フィアの体でどのくらい行けるのか。
その時、剣が消えた。
「あれ?驚いた?」
フィアが剣を持っていた。そしてすぐにわかった。支配権が奪われたのだ。
ここまで、できるとは驚きだ。だが、まだ甘い。
すぐに支配権を奪い返し、攻撃を再開。
そして、魔剣を取るために消耗した魔力のせいで、守りと攻撃に乱れが出始めた。ここで決めなければならない。そう思った。
俺はこの一瞬で、フィアの本物の魂の位置を掴み、封印を解く魔法式を使い、魂を薬が入っていた瓶に入れ、蓋を締める。
そして兵器を取り出し、魔力を流す。この兵器が吸わなくなるまで。そして、魔力が最大まで溜められた通知が来た。
「よし」
俺はこの兵器を作った者でもある。だから、知っているんだ。満タンにしたときにだけ、変形できる形態があると。
「第三形態」
兵器が長くなる。魔力の密度が尋常じゃないほどの魔力弾ができる。
「これは、お前の魂を跡形もなく消し去る魔力弾だ。死ね」
その言葉がハッタリじゃないと感じたのか、逃げ始める。
「クソッ!あの兵器には勝てない」
「逃さねぇよ。クソったれが」
耳が破裂するほどの衝撃波が発生し、フィアの腹部分に穴が開く。フィアのからだは、ゆっくりと倒れる。あの魂の気配はどこにもない。
俺はフィアの体に近づき、ヒールをしてあげる。そうすると、穴がふさがり、血が止まる。そしてさっきの瓶を取り出し、魂を体に入れこむ。
「……はっ!」
「姉貴!」
抱きついてきた。
「……一緒に戦うか?」
「……いいの?」
「ああ。いいぞ。お前の気持ちはよくわかった」
「あ、姉貴!」
「じゃあ……殺るぞ」
そうして、最後の戦いが始まる。
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