倒さなければならない理由がある 中編
ナナは助けた。あとは、目の前にいるこいつ。
世界総本部最高指揮官を殺せば終わりだ。
「さて、殺すとしよう」
俺は魔剣を構える。
「レニア。ナナを持って、後ろに下がってろ」
「わかった」
レニアは後ろに下がる。
指揮官は何も喋らないし、動かない。
「魔剣、戦闘モード」
魔剣のモード切替をする。
戦闘モード。それは、モードの中で、一番攻撃力が上がり、使いやすく、早くなる。だが、魔力消費が激しく、俺でも、十分持つか持たないである。
手から魔力が吸われる感覚がある。
それを感じ取るかのように、指揮官も動き始める。
「なんか喋れよ。クソ野郎」
「……」
相変わらず何も喋らない指揮官。イライラするが、抑える。
俺は、足に力を入れ、地面を蹴る。
一瞬で、指揮官の目の前まで。
はじめの攻撃を頭にぶち込む。
だが、弾かれた。
俺は弾かれた反動で、後ろに吹っ飛ぶが、体制を崩さず、着地する。
今、弾かれた。剣一本じゃ、こいつと相性が悪い。
なら、こうすれば、さっきよりはマシになるはずだ。
「マルチモード」
これは、戦闘モードを使っている時に発動できる、サブモードだ。
マルチは複数と言う意味を持つ。
だから、考えによっては、無限に増やすことができる。
だがその代わり、増やすごとに、剣が小さくなる。だから、ちょうどいいのは、二本までだろう。
もちろん、俺は二本で行く。
そしてまた、指揮官に向かう。
両手に剣を持っている。
さっきより、速くなる。
音は置き去り。影すらも追いつけない。
だが、現実は甘くない。
あらゆる方向から、攻撃しても、指揮官は一歩も動かず、すべて、受け流す。
時々、当たるが、ダメージは少ない気がする。体感は五分経った気がする。
時間の感覚が麻痺してくる。
俺はまだ、攻撃をし続けている。
その時、指揮官が一歩動く。
「!?」
俺は、瞬時に距離を取った。
もし、あのまま攻撃し続けていたら、俺は確実にバラバラ、あるいは、貫かれていたと思う。
あの一瞬、あの一瞬で、俺の肩は血まみれになった。
ナナにやられたのもあるが、また血が流れ始めた。
クソ……。今の俺じゃあ刃が立たないのか……?
俺だって、力には自信があった。
『ここで負けるのか?』そんな言葉ばかり、脳裏をよぎる。
ここで負けたくない。負けたくないさ。でも、今、負けそうになっている。
俺は、ナナを救った。レニアを救った。だけど俺はまだ起こっている。
目の前にいるこいつは、ナナを支配魔法で、従え、レニアを脅した。そんなのは許せない。だが負ける。
……俺が犠牲になってやる。
俺は、レニアと目を合わせた。
「俺は負けない」
こんなセリフは女子の姿で、言いたくはないんだが、仕方がない。
「俺は、ここで勝つ。お前みたいなクズに負けてたまるかよ!」
俺は、自分の魔力をすべて、剣に乗せる。
ナナの時、放った魔力は意外と少なかった気がした。
だが、今から放つのは、あの魔法とは何もかも違う。
今日だけで、魔力を少しずつ使ってきた。だけど、これは一気に使う。
死ぬかもしれない。もう二度と、レニアにもナナにも会えなくなるかもしれない。だけど、俺はレニアが、ナナが死ぬほうがよっぽど嫌だ。だから俺が覚悟を決めて、殺るんだ。
「ラスト・エポック」
細い赤の線が指揮官に向かう。
当たった筈だが、まだわからない
意識が遠のく。
視界もぼやけていく。
さて……どうなるかな……。
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