何事にも希望があることは忘れてはいけない
隣国ネオニスについたのは次の日の夜明け前だった。
今回は速度を出したお陰で、早く着いた。
特に問題はなく、入れた。
前来たときよりも、発展しているように見える。
それは何よりだ。
そうして、歩いていると、冒険者総合本部の目の前まで来た。
だが、なにか違和感があった。
「おーい。ナナー」
返事はない。俺は急いで、中にはいった。
中はいつもと変わっていなかった。
俺は、すぐに二階にある総合本部最高指導官がいる部屋へ、すぐに行き、入る。
「ナナ!」
扉を開けてすぐ、椅子に座り、こちらに背中をむけている。
「ナナ。返事くらいしろよ」
「……そうね」
いつもと様子がおかしい。
暗い感じというか、なんだろう、雰囲気自体が別物って感じ。
「おい、ナナ。こっち向いてくれ」
「わかった」
椅子が回り、こっちに顔が見える角度になった。
「久しぶりだね。レオ」
瞳が赤い。
いつもは黄色だ。
「おい、どうし―――」
「アトミックブラスト」
「!?」
俺の肩を貫いた。
痛みはない。この一瞬で、痛覚が麻痺した。だが、血は流れている。意識しないと、貧血で倒れる。でも、この状況で、意識しながら戦うとなれば、相当苦戦する。実力では俺のほうが圧倒的ではある。だが、相手は総合本部最高指導官と言うだけあり、冒険者歴十年超えの人をぶっ飛ばすくらいは簡単だ。
この状況を見るに、おそらく、何者かに、魔法をかけられていると見た。
こういう、支配系魔法は、大抵、人の言葉を聞かない。支配とはそんなものだ。
「……一足遅かったのか」
「……」
ナナは何も答えない。
ここは一体退散する。
俺は即座に、逃げ、魔導通信機を出し、レニアに通信を取る。
「もし……もぐもぐ……もし」
「レニア大変だ」
レニアはお菓子を食っている。
「どうしたの?もぐもぐ」
「ナナが、支配系魔法に支配された」
そう聞いたレニアは手に持っていたクッキーを落とす。
「……冗談よね……?」
「いいや。ホントだ。俺の肩を見ろ」
「血が……流れているね……」
「だろ?これはナナにやられた」
レニアの表情が変わる。
いつもみたいに無表情ではなく、強張っている。
「今すぐ逃げて。後ろは見ないで」
その意味がわからなかった。
だが、割れた鏡の反射で、わかった。
ナナが後ろにいる。なぜ待っているのかわからない。殺そうとしているのは事実。
だが、待つ理由がない。
でも、今は、考えている暇なんかない。
俺は、魔導通信機を持ち、窓を突き破り外へ出た。
ナナは追ってこなかった。
「レニア。外に出たぞ」
「ふぅ……まずは、ネオニスから出て。そうしないとおそらく、レオは死ぬ」
「……わかった」
そんなことはないだろうけど、一応外には出ておく。
俺は、走る。走った。そして、何事もなく外に出れた。
「外に出たよ」
「わかった。そのまま、待機してて」
俺は木の下で休む。
レニアは画面越しで、ドタバタしている。
忙しそうだ。
その時、地面が揺れ始めた。
「何だこりゃ」
「始まった」
「?? 何が?」
「罠が」
罠?罠って、なんの罠だよ……。
俺は、そう思いつつ、レオニスの外壁を見る。
(半透明な紫色の膜?)
外壁をよく見ると、ドーム状に膜が形成されるのが見える。
「見えた?あれが、罠。世界総本部のね。おそらくだけど、レオを閉じ込めようとしていたのね」
「私の予想通りね」
レニアってやっぱすげぇ。
そう、改めて思った。
■【レニア視点】
レオは私の幼馴染で、大好きな人。
今私が話しているのもレオ本人。
今、レオが助けを求めている。
私が助けないわけない。
私は、昔から、感情が顔に出ないから、ナナ以外は気づけていないと思う……。
でもいいの。私の事を頼ってくれるだけでも。それだけでも満足で、幸せな気持ちになる。
「レオ。次はおそらく、ネオニス周辺に罠とかが敷かれる筈。だから、そのタイミングを狙って、敵を確実に減らしていこう」
「わかったよ」
私は頭が良いと昔から言われてきた。
世界総本部の幹部をやっている理由もそう、頭が良いから。
私は組織の頭として使われている。
だけど、私は世界総本部の今の政策は気に入らない。特に気に入らないのは、レオの排除。私も悪いところはある。ちゃんと、世界総本部最高指揮官に言えてない。私も何されるかわからないから、勇気が出ないから。だから、私は裏で手助けを行って、組織を中から壊そうと考えている。
それが上手くいく保証はない。けれど、レオがいるなら大丈夫。
なんだか、利用しようとしている感じで、悪いけどね……。それは後で、謝っておこう。
今は、レオを救う事を第一に考えよう。
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