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5-15 巡察使

 また誰かがオレ達を呼びに来るものだと思っていたが、ネゲイの首脳陣と巡察使団長であるエンゾ・ノール殿はオレ達が待機している長屋の一室にやってきた。「虫」によると、四の鐘が聞こえ、話の流れも丁度区切りの頃だったのでバースが休憩を提案し、その間にオレ達を呼ぼうとしたのだが、巡察使殿は「それなら領主館内の案内も兼ねて、オレ達が待つ長屋にも行ってみたい」と言ったのだ。先触れのジルが端的に状況を説明した。今はまだ領主館内巡りだが、そのうちにここへ来る、と。


 何人で来る?。椅子は足りているか?。茶器を片付けてテーブルを拭け!。などと動き始める。家族用の食卓として置かれているテーブルはそれほど大きくはない。椅子は六人分。誰をどこに座らせる?。この中で礼儀作法に一番詳しそうなジルの意見も聞きながらテーブルと椅子の配置を少し変える。上座に一席。ここへ巡察使殿。左右にそれぞれ二席、バース、ゴール、ヨーサ、ドーラ。上座の対面に一席。ここに多分オレかノルン。他の者は壁際で待機。そんな感じか。



「マコト殿。今日到着した巡察使のエンゾ・ノール殿だ。」


 部屋に入ってきたバースが言った。オレは一歩前に出て自己紹介をする。


「多分いろいろお聞きになっているでしょうが、私がマコト・ナガキ・ヤムーグです。長ければ、マコトとでも。」

「巡察に派遣されたエンゾ・ノールです。最近のネゲイは色々面白いことになってると聞いてますよ。マコト殿の考えるもので新しい商売が始まってるとか。」

「そのあたりは、バース様にも配慮いただいております。ここでお話しを続けますか?。あまり広くはないですが。」


 ノールが答えた。


「それもいいかとは思ってましたが、まだ部屋の外で入り切れていない人がいますから、やはり先ほどの部屋の方がいいかと思います。」


 バースが言った。


「あと、紹介しておくべきなのが奥にいるノルン君でね。ネゲイの生まれで、マコト殿が考えるものを作れるようにするために考えてもらってる職人だよ。」

「巡察使様、ノルンです。」

「エンゾ・ノールだ。なんか名前が似てるから間違えないようにしないとね。家名はないの?。」

「そろそろ名乗ってもいいかと思ってますが、名乗るとしたらノルン・ノルンですね。」

「じゃあ、初代様だ。」

「そうですね。」


 オレが知らない家名の付け方のルールもあるようだ。後で聞こう。ノールは笑いながら言い、バースが引き継ぐ。


「マコト殿。我々はもう少しここの案内をしてから戻るから、先に応接室へ行っててね。えーと、ジル!。マコト殿達の案内を頼むよ。」

「かしこまりました。」

「ヨークとダラスは、どちらか一人だけでいいね。ノルンは、応接室。あと、クララ殿?。済まないねえ。ちょっと名前をうろ覚えでね。マコト殿の助手のお嬢さん方も応接へ。頼むね。」


 顔合わせだけはできた。一行は去り、オレ達は木簡類を手早くひとまとめにして抱え込み、ジルに先導されて応接室へ向かう。いつもの部屋だろう。


 移動しながらさっき気になった家名についてノルンに聞いてみる。


「ノルン・ノルンって、さっき初めて聞いたけど、それで『初代』とすぐにわかるとか、家名の付け方にはどんな決まりがあるの?。」

「私は元々、ああ、私はエンリと同じように、ヤダじゃないですけどあんな感じの村で生まれて、ヤダの人達と同じように家名はなくて、そのままハイカク師匠に弟子入りしてたんですけど、そろそろ家名も使わないと困るかなってぐらいに手が広がってきまして、ええと、家名を名乗る初代は、自分の名前をそのまま家名にも使うんですよ。理由は知りません。『初代は同じ』という決まりだけは知ってます。」

「ありがとう。なんとなくわかったよ。」

「あと、名乗りを変えたら指輪も作り直しですからね。ハイカク師匠の弟子になって最初の仕事が自分の指輪だったから、これは大事にしたかったんです。」


 ノールがノルンの家名(候補)を聞いてすぐに「初代」と言ったことからみても、これは少なくともカースン全域で使われている習慣なのだろうと思う。こういう細かい習慣を知るのも面白い。



 応接室にて、八人掛けの長テーブルで話をするのだろうけれども席次がわからなかったので、部屋の反対側にある四人用の小テーブルで待った。オレとノルン、ダラスが着席している。クララ、ダイアナ、エリスはオレ達の背後に控えている。程なく、バース達が帰ってきた。ゴールがオレ達に声を掛ける。


「マコト殿。これから本格的にマコト殿関係の説明をしようと思ってるから、こっちのテーブルに来てくれ。」


 「主人の席」にノール。そこから見て左列にバース、ヨーサ、ドーラ。バースの対面にゴール。オレはゴールの隣、ヨーサの前の席を勧められた。ノルンはその横。ドーラの前だ。バースが話し始める。


「顔合わせはさっき終わってるから挨拶は抜きでね。ネリ、さっき頼んだ箱を。」


 ネリが箱をテーブルに載せた。バースは箱の中から蠟板、万年筆、紙など、オレが持ち込んだり作ったりしたものを取り出して並べる。主に商品化したり、商品化を考えているもの。丸まった羊皮紙はクボーの地図だ。内容がわかるように、ガラスのインク瓶と蠟板を文鎮代わりに少し広げてある。泡ワインの空き瓶まで出てきた。最後にコンテナを折り畳んで他のものと一緒に並べた。


「マコト殿関連はこれだけじゃあないんだよね。石鹸はさっき試してもらったとおり。濡れてるからここには持ち込んでないけどね。マコト殿は色々と便利なものを作れる知恵を持っている。そんな人が近くに来てくれたから、互いに便宜を図り合おうって、今はそういう動き方をしてるよ。」

「石鹸と蠟板はさっきから使わせてもらってますよ。何というか、投資したくなる気持ちはわかります。最初は蠟板で、それから色々増えてきていると聞いてますけど、一番最近のものが石鹸ですか。まだ『お試し中』だということですけど、これも近いうちに始めるんですよね?。ええと、マコト殿?。」

「石鹸に関しては、今は使ってみて不都合がないことを確認しているところです。その他に、安定して同じものを作り続けられるかとか、原価がどのくらいで作れるかとか、まだ考えるべきことはありまして、石鹸は、そういった事柄について報告して、その上での、ヨーサ様のご判断に寄りますね。」


 ヨーサが引き取った。


「マコト殿、この前から使わせていただいているもの、塊と液体と、どちらも問題ないと思いますから、話をしてるのはマリスの店だったかしら。次に進めてもらっていいわよ。」

「わかりました。今からでも誰か行かせましょうか?。今日、私は手伝いを連れて来過ぎまして、部屋を狭くしてしまってますから。」

「そうね。いつもは連れているのは一人だけよね。」

「今日は計算の用事が山ほどありそうだったので、増やしたんですけどね。もう計算の用事は終わったみたいですし。」

「じゃあ、そうして下さる?。」


 オレは後ろを振り向いてクララに指示を出した。


「クララ、マリスの店へ行ってくれ。レシピと現物、それから触媒を渡して同じ物を作れるかと、原価計算を頼んで欲しい。あと、試作にかかった材料費とかも記録しておくように頼んでおいてくれ。」

「現物と触媒がないので、バギーで一度船に戻ってもよろしいですか?。」

「任せる。あ、レシピに書いてある『手袋』とか『窓は開ける』とか、絶対に守るように念押しをしておいてくれ。」


 レシピは適当な木簡があればいつでも書き出せる。現物と触媒は、今日は予定外だったから仕方がない。クララは一礼して部屋を出る。ノールがオレにが言った。


「さっき言ってた計算の用事というのは?。」

「今日は蠟板の売り上げの確認とかをやっていました。」

「どんな感じです?。」

「バース様、これは話していい案件でしょうか?。」


 一応、聞いてみた。


「いいよ。それを気にしてるのは儂も同じだしね。ああ、その話、数字をまとめてくれってダラスに頼んでたよね。ダラスから説明を頼むよ。今朝頼んで、さっき蠟板で見せてくれたことだけ、合計だけでいい。細かいところまでやると時間がかかるからね。」


 壁際組にいたダラスは足下に置いていた箱の中から蠟板を取りだしてノールの正面に立った。


「では、簡単なところだけ。まず、先ほどノール殿の聞かれた蠟板の売り上げ、イヤ、受注の合計は、一〇〇八組。大体一ヶ月ほどの数字です。工房の収入にして、大金貨二一枚ほどになります。」


 ノールの次の問い。


「これまでに工房にかかった経費は?」

「建設費と、材料の仕入れその他で、大金貨にして一九二枚ほどでした。あと、収入としては蠟板の他に折り畳み箱の売り上げもありまして、これは昨日までの分で工房の受注は大金貨十二枚ほどです。」

「悪くないね。物珍しさが薄れたら売り上げは落ちるだろうし、もっと細かい数字を聞いてから判断するべきなんだろうけど、遅くても三年もあれば元は取ってるような気がする。」


 バースも言った。


「関係者みんなが気になってた数字だからね。正式には六月末決算を見るつもりだったんだけど、今の時点では変なことになってないことがわかったから嬉しいよ。」


 ノールは目の前に並べられているオレ関係の品を改めて見ている。蠟板と箱の話は終わった。ノールは目につきやすいガラスのインク瓶を手に取った。


「これはガラスですか?。そっちの大きな瓶も?。ガラスでこんな形に作ったものはあまり見たことがないです。ガラスもこれから作るんですか?。」


 ノールの前に並べられた品の選定にオレは関わっていなかった。この質問にはオレが答えなければならないだろうが、どこまで話していいのか悩む。バースの許可を仰ぐのはさっきやったばかりだ。これを繰り返しすぎるのはよくない。


「ガラスはまだわかりません。そこに並べられているガラス製品はバース様達に贈った品の一部、贈った品の入れ物です。ネゲイで同じ物を作るのは、蠟板のようにネゲイの道具と職人でこれを作るのは、まだちょっと難しいかと思っています。」

「ネゲイの道具と職人では……。ええと、蠟板なら単純に切った木を組み立てて蠟を貼ればいい、と、本当はもっと細かい手順がいるんでしょうけど。ええと。ガラスを作るのに必要なもの。ガラスを作るには何が必要です?。材料すら私は知らないんだけど。」

「材料は、主に砂ですね。色のない、白い砂がいいです。白い砂でも種類はあってガラスを作れないものもありますけど、ネゲイの近くでもある程度探すことはできます。材料をガラスの形にするには炉を使いますが、私がネゲイで見たことのある炉では大きさとか熱さとか、そのままでは使えないかなと思っています。」


 オレの答を聞いた少し考えてからバースに向き直った。


「バース様、先日ここに来ていたタラン・モルの報告は私も聞いてますし、陛下もです。その上で、マコト殿の知恵で何かをやるのにネゲイで不足するようなことがあればカースンでやればいいのでは、という意見が陛下から出されております。今聞かせていただいたガラスのことは、そのうちにそれに近いのではないかと思いますが、バース様のお考えも伺いたい。」


「娘婿殿がそこまで評価されて親としては嬉しいね。でもマコト殿の知恵を活かすのにカースン全部でというのは、今は賛成したくはないなあ。ネゲイでできないのは今だけで、来月にはできるようになってるかもしれない。そこの『紙』みたいにね。」


 バースはノールの前に置かれた紙を指さしながら言った。ノールも指さされた紙を摘まみ上げる。


「これはやはり羊皮紙の代用になる物として作ろうとしているのですか?。」

「マコト殿が次にやろうとしていることの一つだね。蠟板や箱と違って、一目見ただけでは作り方がわからない。マコト殿は、これを作るための道具をここで作ることから始めて、一ヶ月ぐらいかかってたかな?。」

「もう少し短かったかもしれません。その間にそればかりやってたわけでもないですし、まだ改良の余地はありますが。」

「ガラスはどうかな?。本気でそればかりやれば、どのくらいでできる?。」

「ガラスで何を作るかによりますね。簡単なもの、例えば今測量の羊皮紙を押さえているインク瓶みたいに重さだけで使うものなら、今でも材料さえあれば、できるでしょう。細工屋のハイカク殿は試したことががあるらしいですよ。私が話を聞いたのはハイカク殿だけですけど、他にも試したことがある職人はいるんじゃないでしょうか?。」

「ハイカクか。ハイカクの工房にも炉があったね。」

「ええ。ハイカク殿はガラスの加工を試してはみたけれども、欠片を融かして一つの塊にするところまでしかやってないと聞いてます。材料の質が悪かったか、炉の熱さの加減が悪かったのか、そこまではわかりませんが。」

「炉があればマコト殿でも作れるのかい?。」

「試すことはできます。これはヨーサ様達と話していたことの一部ですが、鏡が欲しいってお話しがありまして。」

「あれか。見たよ。ヨーサからも『頼んでみた』っていうところまでは聞いてるよ。」

「で、鏡には銀やガラスがいります。銀は買えばいいんですけど、ネゲイの近くでガラスの材料が採れそうなところを探したんです。」

「ガラスの材料は前にも聞いたことがあるな。白い砂とか言ってたね。どうだった?。」

「望みのありそうな場所は見つけました。分別は必要でしょうけど。あと、銀を貼り付ける方法も、悩んでいます。」

「マコト殿でもそんなことがあるんだな。」

「ここで使える材料と道具だけで、どこまでできるかと。」

「そこがうまく進んだとして、材料が揃ったら、あとは炉かな?。」

「炉も、改造がいりますけどね。で、材料を掘って、分別でどのくらい手間がかかるかそのあたりも確認して、あと、今日は偶々工房の収支について話を聞けましたけど、炉とか材料を掘り出す手間賃とか、またお金の話もありますから、下調べだけはしておいて、詳しい話は六月末の四半期決算を見てから相談しようかと思ってたんですよ。」

「今、あの時の鏡はあるのかな?。あればノール殿にも見てもらおう。」


 オレの背後にいたダイアナが物入れを探り、服の埃取り用のブラシを取り出した。小さいが鏡が付いている。


「先日ここで使ったものとは違いますが、鏡です。」


 バースはブラシを受け取った。


「刷毛と鏡を合わせてあるのか。面白い使い方を考えるねえ。ノール殿。見てくれ。」


 バースはブラシをノールに差し出す。


「はー。私はこんな顔なんですね。」

「初めて見た人は大抵そう言うね。」

「で、これもマコト殿のこれからの仕事の候補だと。」

「そうだねえ。マコト殿が忙しくなりすぎない限り、ネゲイとしては、資金援助はしたいねえ。」


 ノールは少し考えて言う。


「その資金援助について、陛下は乗り気でおられました。材料のことも、相談することができると思います。」


 バースも返答を頭の中で組み立てているようだ。


「ネゲイの資金回収も終わってないうちにそういう話は早すぎるよ。ノール殿も『提案はしておけ』とか言われてからここに来たんだろうけど、今は、儂の答えは『否』だな。言いにくいが、これははっきり答えておかないと。」

「『提案はしておけ』というのは、そのとおりです。断られるのも、予想のとおりです。陛下とか一位二位の方々はとても乗り気でしたが、三位宰相モル様は、『うまく進んだらネゲイの中だけでは収まらなくなるから、次の出資者が欲しくなったらモルでもカースンでも声を掛けてくれればいい』と。」

「そういう話なら、構わないよ。ムラウーに声を掛けるよりもカースンの中だけで進めたいということだよね。もちろん、優先順位はそうするよ。」


 話が平穏さを取り戻してノールもほっとした表情を浮かべる。


「鏡をお返しします。ありがとうございました。」


 ノールが差し出した鏡をダイアナが受け取った。ダイナが鏡を物入れに戻すのを見ながらノールが言う。


「それと、これも『提案しておけ』の話なんですが、マコト殿を一度カースンに招きたいと。時期は、早くてもいいし、遅くとも、次にバース様がカースンに来る秋に同行していただければと。」


 バースが答える。


「それは来ると思ってた話だねえ。いつかはそうしないと、と、儂も思ってた話でもある。マコト殿に頼んでる仕事の区切りのいい時期とか、今はよくわからないね。色々頼みすぎてるからかな?。マコト殿。カースンに行くこと、仕事の区切りのいい時期とか、どう思う?。」

「カースンは、イヤ、海のあるところは、私も行ってみたいとは思ってました。さっきの『白い砂』みたいな話もありますし、カースンまでの道中で、これから作るものの材料が集められる場所の候補も探せるのではないかと思います。」

「それだと、道中が普通の旅の二倍三倍の時間になってしまわないかい?。」


 衛星軌道からの観測で、全球地図はできているし、オレ達が動き回る可能性が高いムラウー国境からカースンまでの街道周辺などは、細かい地形の観察や土壌成分の分析なども他の地域よりも密になっている。「土壌が赤いのは鉄分が多い」というレベルよりも詳しい情報が蓄積されていて……。


『資源分布は衛星からわかる範囲だけはまとめてあるわ。でも現地確認はしてないし、実際のところは土壌を持ち帰るか、マコトが現地でウーダベーで集めてみるか、現地でレーザーで灼いてみて分光解析をやるかね。土壌を持ち帰る以外のやり方は、ここの人達と一緒に行動中はやらない方がいいわよ。』

『了解。効率のいい方法は別途考えるとして、今は時間短縮の旅を考えるよ。』


 αとの密やかな会話を終えて応接室の会話に戻る。


「じゃあ、海だけにしましょうか。片道、馬車で九~十日でしたか?」

「天候にもよるけどね。ずっと雨ならもっとかかるよ。」


 馬車で十日も移動する、往復二十日以上を想定するのは……。


『それだけの期間になると小ニムエの活動限界を超えるわ。他の人達と一緒に何日も過ごして食事しないのも変だし。バギーね。バギーなら有線で座席下に充電パッドを貼り付ければ活動限界の心配もないわよ。』


 やっぱり小ニムエ達に馬車で片道十日はきついか。


「バギーで、昼間は街道に他の馬車とかがいるでしょうから、夜中に移動します。馬車で片道十日として夜中なら街道に馬車もいないでしょうし、二晩でどうでしょう?。」


 距離的には多分一晩あれば着く。だが初めてのことでもあるし、余裕は持つべきだ。


「その『バギー』というのは、話は聞きましたけどそんなに速いのですか?。」


 ノールが聞いた。バースが答える。


「馬車じゃなくて馬を全力で走らせたぐらいの速さはあるよ。マコト殿、あれでカースンまで行くつもりかい?。確か、乗れるのは四人ぐらいまでだよね。少なくとも初めての時は儂も同行したいと思ってるんだけどね。」

「そうですね。荷物がなければもう二人、荷台に乗れますけど、荷物のことを考えたら荷台は一人まででしょうね。私と、アン達の誰か。バース様、あと、バース様の選ぶ誰か、これで四人です。他に同行させたい人はいますか?。」

「いつものカースン行きならミナルに一緒に行ってもらってるね。どうしようかな。」


 バースが悩み始めた。話を戻そう。


「ノール殿。私もバース様もカースンに行くことは同意、ということで、いつ行くかは、また後で話をすることにして、そろそろ四と五の鐘の真ん中あたりですし、休憩はどうですか?。」


 ノールはよくしゃべったが、名前の似ているノルンは一言もしゃべらなかったな。


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