何か
僕の家の階段には物心ついた頃から「何か」が居ます。
「何か」がいると思う理由は、誰もいないのに階段を登ってくるような軋む音や、愛犬達が家に来てすぐの頃はリビングの扉のガラス越しに見える階段に向かって夜中になると吠える等の事です。
十数年そんな家に暮らしていると、「何か」には慣れてしまって、軋む音を聞いても特に何も思わなくなっていました。
そんなある日、僕が次の日の英単語の勉強をしていた時、階段から軋む音が聞こえてきました。軋む音はそのまま廊下に進んだので、僕はその音が今家にいる母親が、僕の部屋から出て廊下の反対側にある両親の寝室に向かっているのだと考え、足音が部屋の前に来た時に声をかけました。しかし返事が無く、足音が止まり、寝室の扉を開ける音も聞こえませんでした。
僕は不思議に思い、扉の方に振り向き気づきました
扉の隙間から見える廊下が真っ暗なことに。
僕の家の廊下は通ると勝手に電気がつく人感センサーが付いていて、犬にすら反応します。
そこで初めて僕は階段の「何か」が廊下に来ていることに気づきました。
生まれてから初めて「何か」が階段以外の場所に移動したのが分かり、鳥肌が立ちました。
が、特に扉のが開いたりすることも無くドキドキする心臓をそのままに僕はテスト勉強を再開しました。
しかし、勉強しようとする気持ちは後ろからした重い物を引きずる音の前に消えました。
バッと後ろへ振り向くとベットの横においてあった金属製のベットの柵に引っ掛ける小さな物置棚が半分、ベットの下に動いていました。
僕は「何か」が扉も開いてないのにベットの下に移動し、重たい物を引き摺る力を持っていたことが分かり、大慌てでした。
ベットは扉のすぐ横にあり、出たいのに出ようとベットに近づこうものなら引き摺り込まれそうだし、ベットの下を覗いたら「何か」が凄い勢いで這ってきそうだと思い何も出来ず30分が経ったときに、僕は意を決して猛ダッシュで扉を開け、下のリビングまで全力疾走しました。
下には母親がおり、どうしたのと言われたけど、信じるわけがないと思い「何もないよ」と言い繕いました。
あれから、「何か」は階段から出てくることもなく、軋む音も無くなりました。
しかし最近、兄夫婦の犬を預かった夜に階段に向かって吠え始めたので「何か」はまだ僕が今この小説を書いている家にいるのだと思います。
これ実は実話なんです!
何かダジャレみたい!
怖い話って説明するのも書くのも難しい…
あと何個か話があるので適当に書いていきます