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陰キャの陽キャロールプレイ  作者: Aみんみん
第一章 準備は入念に
2/5

まずは頭から

第二志望の大学に入学することが出来ました!パチパチパチ!第二志望の大学は第一志望の大学よりかは近いけど、十分遠いので夢の陽キャライフを遅れること間違いなし!第一志望に落ちたのは残念だけど、母親は海を超えなくて良かったと安堵していました。いや、志望校に落ちたことを慰めてくれよとは思いますが。母親にとっては家から大学が近い方が嬉しかったらしいです。


さてさて、みんな知ってると思いますが、大学生活が始まる前にやっておかなきゃならないことがあるんです。


それは……美容院に行くことです!え?今まで行ってなかったのかって?いや、高校までは床屋に行くのがセオリーですよね?そんな年頃から美容院で高い金払って金の無駄使いだと思わないんですかね?髪切りは身分相応にってね。まぁ、陽キャなら美容院に行きかけないですが、うちの学校は髪を金髪にしたり、ピアスしたり、パーマかけたりっていうのは校則で禁止されてました。だから、陽キャなんていうのは存在しませんでしたよ。てことは、美容院なんて行ってるやつ居なかったはずです。そもそも、それが普通ですから。



さてさて実際に美容院にやってきました。美容院って高いんですね。普通1000円なのに、3000円もカットだけでかかります。まぁ、中身が随分オシャンティーだから許してあげますが。



……実はと言うと、こんなに余裕ぶった態度を取っているんですけど、めちゃくちゃ緊張してます。そのせいで、髪が汗まみれでベットリしちゃってます。この髪触らせるの恥ずかし。で、なんで緊張してるかと言うと、陽キャが美容院でなんて言うかが未知であるからです。これを僕は陽キャのブラックボックスと呼んでいます。一体、美容院でどんな髪型を頼んで、あんな陽キャっぽい髪型に仕上げられるのか全く分かりません。だけど、分かってることもあるんですよ?


「はい、お待たせしました。あちらの席へどうぞ」


どうやら僕の番が来たようですね。僕の腕の見せどころです。どうやって、美容院に来た陽キャらしくできるか一晩中考えてきました。それを今実行するときです。この勝負僕が貰いますよ!


「髪型はどうされますか?」

「パーマ、金髪、濃いめ、オススメでよろしく」

「?」


「ごめんなさい。もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか?」

「パーマ、金髪、濃いめ、オススメでよろしく」

「……えっと、濃い金色で、パーマにしたくて、髪の切り方はオススメってことで合ってますか?」

「そうだ」


これは完全勝利ですよね?僕みたいな黒髪の陰キャそうな奴が、こんな陽キャなこと言うはずが無いと、めちゃくちゃ驚いてますね。こんな新鮮な反応を見られるなんて、陽キャになった実感が湧いてきます。あ、あともちろん陽キャはタメ口で話すので、今後一切敬語は使わないつもりです。


「そうですね、髪は短い方が良いですか?長い方が良いですか?」

「オススメで」

「分かりました」


とりあえず、何を聞かれてもオススメと返しと来ました。台本にないことを聞かないで欲しいですね。全くもう。アドリブは大の苦手です。じゃあ後はぐっすり眠るだけですね。おやす


「美容院来られるのは初めてですか?」


これは、質問されてます?どゆこと?、なんで質問してくるのでしょうか?何か意図があるのでしょう。普通は質問なんてされないですからね。さて、これ陽キャならなんて答えるのが正解なんでしょうか?でも、初めてですとは絶対言わないはずです。陽キャが初めて美容院に来ることなんてないんですからね。これは正解は沈黙のパターンですかね?でも、陽キャが黙ることって基本ありませんよね。これは会話を始めるのが吉だと感じます。


「何百回かは」

「あ、そうなんですね」


あんまり驚きませんでしたね。むしろ、呆れの感情の方が強そうな感じです。流石に少なすぎたでしょうか、美容院に来た回数が。陽キャはもっと来てるものなのですね。メモメモ。


「最近何かハマってる飲み物とかありますか?私最近、ス〇バの抹茶クリームフラペチーノにハマってるんですよ」


スタ〇!!……まずい、まずい!いや、〇タバのメニューが美味しくないとか言ってるわけではないんです。僕はスタ〇に行ったことがないんです。だから、〇タバの話をされても全く会話にならないと思います。人生で1度でも行っとけばこんな事にはならなかったのに。一生の不覚です。どうしましょうか。


え?好きな飲み物を聞かれてるから、好きな飲み物言えばいいじゃんって?ふふん、これだから陰キャさんは。この質問の本質はそこじゃないんです。重要なのは、好きな食べ物の後、スタバについて語っている点です。僕は賢いので引っかかりませんでした。これは、好きな飲み物を聞いているに見せかけて、ス〇バで基本何を飲んでるのって質問なんですよ!!僕のこと陽キャだと勘違いしてるから、もしかしたらオススメを聞き出そうとしているのかも知れません。


……フラペチーノとか、あの人は言っていましたよね?一体何なんでしょうか。フラペチーノって。ここで下手なことは言っては行けませんので、原点に帰りましょう。スタバってそもそもなんだと思いますか?そうです。かふぇです。かふぇってことは?そうですね。コーヒーです。分かりましたか?ここはコーヒーと言えばいいのです。クリームとかフラペチーノとか要りません。きっと陽キャもコーヒーは頼みがちに違いありません。


「スタバのカー↑ヒー↓」


ちなみに僕は英語の発音にも自信があります。


「コーヒーですか?へぇ、大人ですね」

「陽キャです、だ」


まぁ、ぼちぼちなんじゃないでしょうか。てか、ほんとになんでこんな質問してくるのでしょうか?……もしかしてですけど、いや、別に自惚れてる訳じゃないんですが、僕のこと好きなんじゃないですか?基本的に女子は陽キャとしか付き合わないので、僕が陽キャかどうか見極めてるって所ですか。こんな年上のおねいさんに好かれるとは。陽キャとは恐ろしいものです。まぁ、ここで僕の物語を終わらせちゃっても良いです。素晴らしい陽キャを演じましょう。


「コーヒーは結構飲まれるんですか」

「飲んではいるが、酒よりは少ないかな」


陽キャは酒を飲みがちです。酒を飲まない陽キャなんて居ないでしょう。なので、ここがアピール時でした。コーヒーも飲む。けど酒の方がいっぱい飲むよということで、あっ、この人完全な陽キャなんだと思わせることに成功したに違いありません。


「そうなんですね、家で酒を飲むって感じですか?」

「あぁ、前は女5人を連れて家で飲みまくったぜ!もちろん徹夜でな?」


……き、決まったーーー!女を連れ込んでるアピールをしつつ、徹夜しちゃったという事実を言うことが出来ました。これはもう、このおねいさんは、こいつは生粋の陽キャであることを認識し、結婚まで辞さない態度を取ることでしょう。自分の陽キャへの適正が高すぎて困ります。こんなに陽キャになり続けて一体どうなっちゃうんだ!?外見も陽キャになっちゃうんですから、もうどうしようもないですね。大学生活勝ちました。陰キャ、陰キャ言ってた人達にはこれから陽キャと呼ばせることにしましょう。


「へぇー凄いですね」


やっぱり、このおねいさんも感激してるようです。さてさて、プロポーズの受け取り方でも考えておきますかね。指輪って俺の指のどこにはめればいいんでしたっけ?まぁ、ぶっつけ本番でどうにかなるでしょう。






あれ?質問がありませんね。このおねいさんは今、きっとプロポーズの言葉でも考えてるのでしょうか?それとも、もう陽キャすぎて逆に質問することないとか。こっちにとっても話すのはとても体力を使ったので、ゆっくりしてようと思います。さようなら〜。






「お代は1万3000円になります」


え?

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