5.若返ってた。
「着替えが手に本当に入って良かったよー。」
二人とも服はベタベタでドロドロだったし、一刻も早く着替えたい。
石鹸と椿油を手に入れた。服も体も洗える。
ビバ文化人!
宿はお風呂は無くて、お湯も井戸から水を汲んで共同の竈で沸かさないといけないみたいだけどね。
それでも良い。贅沢は言えぬ。
でもでも欲を言えばシャンプーやリンスもほしいかな、その内何とかなるかな?
お化粧も…。面倒くさいけど、やっぱりほしいな。
『そうじゃな。シャンプーとリンスとやらはやっぱり良いのか?視たことはあるがら、使ったことはないのじゃ。気になっていたのじゃ。』
やっぱりクロちゃんも女の子だね。
髪は女の命である。
大切である。
私の髪はバサバサ。
つまり私の命は瀕死である。
「すごく良いよー。髪がツヤツヤサでラサラになります。まあ、クロちゃんの髪はツヤツヤでサラサラのすごく綺麗だから、それ以上になるか分かんないけど。本当に使ったことないんだよね?羨まし過ぎるよ。」
『もちろん我も気を付けてはいたが、それ以上があるなら目指したいのが女心じゃろう。そういう瑶子もツヤツヤでサラサラではないか。』
ん?
クロちゃんは何を言っているんだ?
バサバサでゴワゴワだよ。
さわさわ。
あれ?
サラサラしてる。
枝毛がない。
指通りが滑らかだ。
何が起きた?
「クロちゃん鏡持ってないよね?」
『先程の買った荷物の中に入っておるぞ。』
どれどれ?
「!!!!!」
『どうしたのかの?』
「何だか若返ってる!」
何だ。何だ!何が起こった!
10歳くらい若返ってる感じがする。
女子高生瑶子がそこにいる。
いや、流石に言い過ぎか?
『吾に会ったときから、変わっておらぬぞ。恐らく根源に取り込まれ時に、若い姿で再構築されたのではないかの?』
そんなことが!?
奇跡が!
奇跡が起きてしまった!!
何と言うことだ。
『何を考えておる。奇跡なんぞ、とっくに起きておろう。根源から戻って来れたことが一番の奇跡であろう。』
そうだった…。
生きていること自体が奇跡だったし、無事に村に着いたことも奇跡だった。
奇跡のオンパレードだ。
ハル君とクロちゃんと世界全てに感謝しよう。
『おい。戻ってこい瑶子!ずっと意識が旅立っておるぞ!』
はっ!
また盛大にトリップしてしまった。
まあ、仕方ないよね。
それ位衝撃だよね。
「クロちゃん様戻って参りました。お体を洗いましょう。洗いっこしますか?お風呂はありませんが?」
『まだ錯乱しているようじゃが、まあ、良い。とりあえず早く体を拭うかの…。』
「お食事は半刻(30分)ほどで出来ますが、お部屋に運んでおきましょうか?」
緑の作務衣を着た、黒髪ショートヘアーの小さく可愛らしい感じの女性がいた。
似てないけどクマさんの娘さんかしら?
「ありがとうございます。よろしくお願いします。クマさんの娘さんですか?」
「クマさん…?あっ!主人のことですね!自己紹介がまだでした。私、熊吾郎の妻の多恵子と申します。お食事を担当させていただきますので、瑶子さん、黒乃さんどうぞよろしくお願いします。」
え。
娘さんじゃないの?
若すぎない?
大丈夫?
事案発生?
『よろしくなのじゃ。熊吾郎とはえらく歳が離れてるのじゃの。三十は下に見えるのじゃが…。』
あ。
クロちゃんが切り込んだ。
確かにすごく気になるよ。
「ふふっ。よく言われますが、熊吾郎とは同い年なんですよ。やっぱり若く見られるのは嬉しいですね。」
!!
なんと!
クマさんって50歳手前くらいって言ってなかったかしら?
どう見ても10代にしか見えない。
奇跡の体現者がここにもいたよ!
多恵子さんは上機嫌で村長邸に戻っていった。
「…。気を取り直して、お湯を持って部屋に戻ろっか。」
『うむ…。そうじゃの…。』
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ストーリー外メモ
自作のシャンプーやリンスを使っている方も結構いるみたいですね。シャンプーもリンスも安くで買える世の中で自作するなんて…。美への追求をしている方々は凄いですね。
私もハイブリッド式の加湿器を買ってみました。朝起きた時の喉の乾燥や肌の感じが全然違います。(※個人的見解です。)
ただ、手入れをちゃんとしないとすぐに給水部分が臭い雑巾みたいな匂いにすぐなってしまいます。凄く良いけど面倒くさい。美への追求をしている方々は本当に凄い。