28.森野村襲撃。③
クロちゃんが倒れている。
黒乃
年齢:200万歳位?
魂力:7
種族:上位神
職業:神、巫女
状態:瀕死
権能:占い、千里眼、(過去視)、(未来視)
能力:陰陽術、読心
加護:瑶子
信者:58人
まだ、生きてる!
きっと、大丈夫。
「ンン?よクみタラあッチのホウがウマそ〜ジャね〜カ〜」
だめ!
行かせない
行かせない
行かせない
「行かせない!」
心を落ち着け、精神を集中する
不動明王の真言を唱える
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン。」
九字を切る
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
「式神達よ、クロちゃんを守って!急急如律令」
手元から形代が鬼人へと飛んでいき、刺さっていく。
桃太郎と服部半蔵が輝き、一回り大きくなって鬼人へと襲いかかる。
「うグッ!ガっ!なンだ!?いテェ!」
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン」
「いテェ!やメろ!」
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン」
一心に願い、唱え続ける
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン。」
「くソ!ヤっパリおマエかラこロしテやル!」
クロちゃんの所に行くのをやめ、鬼人はこちらに向き直り、式神を防ぎながら歩いてくる。
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン」
鬼人が目の前にやって来て、こん棒を振り上げた。
しかし、一心に真言を唱え続ける。
目の前にこん棒が迫ってくる。
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン」
ザシュッ
「うガっ!」
「スマン!遅くなった!!大丈夫…ではなさそうだな…。綱太郎もすぐに来る!」
間一髪村長が到着した。
「すみません!鬼人任せます!!」
「荷が重いが綱太郎が来るまで持たせてやる!」
村長と鬼人が対峙する。側面からは桃太郎と服部半蔵はヒット&アウェイを繰り返す。
すぐにクロちゃんの元へと走っていった。
クロちゃんはグッタリとしている。息も絶え絶えでいつ死んでしまってもおかしくないように見える。
体からは神気が漏れ出している。溢れ出て来るというより、零れ落ちていくような。
マズいマズい。どうにかしないと、クロちゃんが死んでしまう。
揺らさないよう、ゆっくりと楽な体勢へと動かす。
クロちゃんは薄らと目を開けた。虚ろで目の中に何かが映っているように見えない。
「クロちゃん!!」
クロちゃんの手を強く握りしめる。
『よ…こか?』
「うん!瑶子だよ!クロちゃん!!絶対助けるから!」
『すま…ぬの。ず…とい…しょに…やく…そく……もれぬ…かも……ぬ』
「一緒にいる約束?」
このままだとクロちゃんは死んでしまう。
「約束だから!絶対助ける!あきらめちゃだめ!!」
我ながら酷なことを言っているとは思う。思うのだが約束を諦めることを許してはあげられない。
何としてでも助けるんだ!
練習では一度も発動しなかった、薬師如来の癒し。
ここで出来なければ一生後悔する。
再び、深く深く精神を集中させていく。
クロちゃんの手を握りしめたまま、薬師如来の真言を唱えていく。絶対に救うと願いながら。
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」
「お薬師様クロちゃんをお救い下さい!」
何かが起きる気配はない。
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」
必死に唱え続ける。
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」
これで何も起きなければ、確実にクロちゃんはしんでしまう。
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」
…
……
どれ程一心に唱え続けていただろうか、
変化は突然訪れた。
ハル君にもらったネックレスが光輝きだした。
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」
光が強くなっていく。
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」
光は私の体を伝い、クロちゃんへと流れていく。
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ、
オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」
目も開けていられないほど、一際強く光輝いた。
『瑶子よ。締めの呪文は忘れてならぬぞ。』
クロちゃんがはっきり目を開けた。
ちゃんと呼吸をしている。
漏れ出ている神気も止まった。
顔色も良いように見える。
私の涙が零れ落ちそうだ。
「クロちゃんっ!!」
がばっ!
全力で抱きしめる。
『瑶子よ。痛いのじゃ。』
「クロちゃん!クロちゃん!!ううぅ。」
なでなでなで
『また、暫く一緒にいられそうじゃの。』
「うん!しばらくじゃなくて、ずっと一緒だよ!最低でも1000年は一緒にいてもらう予定だから!!」
泣き笑いをして答える。
『万年かも知れぬよ。話は変わるが、鬼人はどうなったのじゃ?』
クロちゃんが微笑ましそうに笑って答える。
「あ」
大切な事を忘れてた。
もちろんこちらの方が大切な事なのだが、完全に忘れていた。
まだ命の危機であったではないか。
そろりと後ろを向く。
クロちゃんも私が言葉に詰まったためか、顔を出し、私が見ている方向を一緒に見た。
熊吾郎が援護し、綱太郎が止めを刺す瞬間であった。
……………………………………
時は少し遡る
「お嬢ちゃん結構不味そうな感じだな…。」
熊吾郎は呟いた。
「ジャまシてクれたナ。ん?おマエはソンちょウか。ナゼおマエがココにイる?ごロウはドウした?」
「ごろう?もしかして、お前みたいな鬼人の化け物の事か?」
「そウダ。おマエごトきにヤラれルとハおもエんが、アシどメにシッぱいシタか…」
「綱太郎が相手をしているから、とっくにヤラれてるんじゃないか?綱太郎はワシよりずっと強いぞ。」
「なンだと!オれノさいゴのタイせつナかぞクだゾ!おレがコロすンだ!おレがクうンだ!そレヲそレヲそれヲぉぉ!!」
ずざざ
熊吾郎は一歩後方へと跳んだ。
「狂ってんな。とりあえず、綱太郎が着くまで付き合ってくれ。」
手頃な石を拾い、鬼人へと投げ付けた。
「ガあアあああぁァ」
ドンッ
鬼人がこん棒を地面へと殴り付けた。
ドンッドンッドンッ
地面が抉れていく。
「当たるとヤバそうだが、何とか避けられない事は無さそうだな。」
桃太郎、服部半蔵が後方や側方から、攻撃を加えていく。
「えェイ!ウっとウシい!!」
ブンッ
こん棒が空を切る。
ガッ
熊吾郎の投げた石が当たった。
「コのッ!ナメるナぁ!」
ドンッドンッ
地面が掘られ地形が変わっていく。
「広場を畑になっちまうじゃないか。」
サクッサクッ
式神達がすかさず攻撃を加える。
ダメージはほとんど通っているようには見えないが、逆上させ、攻撃を単調なものにさせている。
「思っていたよりはっと!大した事ないなっと!」
ドンッドンッ
熊吾郎は避けながら、挑発する。
「おマエもオレをバかニすルのカ!ユルさン!ユルさン!」
「馬鹿は馬鹿にされると怒るんだなっ!」
「グオお!!ばカにスルなー!」
ザシュッ
鬼人の左手の先が落ちた。
「待たせたなー。あいつ思ったよりは弱かったぞ。」
綱太郎が辿り着いた。
「早かったな。ワシもさっき着いたばかりだぞ。」
「全力で走ったからな。」
全力で走ってきたのは間違いないだろうが、全く息があがっていない。おかしな体力をしているようだ。
「あガアぁぁァ!イてェー、イてェーよォー。」
「お前ら全く基礎がなってないんだよ。俺よりスピードも力もあるようだが、ただの雑魚だよ。」
「コロすコロすごロずー、グガァァアあああ!」
「村長、安全に狩るから援護頼むわー。」
「おう。」
ザシュッ
ガッ
ザシュ
ガッ
綱太郎が切り裂き、熊吾郎が石を投げる。
単純作業のように繰り返され、肌が裂け、右手首が落ち、左肩までも落ちた。
「いダい!イだい!ナんデ!ドウしテ」
「お前も散々やった事だろう?後悔しながら死んでいけ。村長、そろそろ止めを刺すから、足を狙ってくれ。」
「了解した。」
ゴリッ
村長の斧は回転しながら飛んでいき、見事に左足に刺さった。
「アがぁアアアアああaaaaa!!」
「じゃあな!」
綱太郎が斬り掛かった。右上から袈裟懸けに斬り、体は真っ二つになった。
「やっぱりコイツも消えねーな。後で魔石だけでも抜くか。」
血だけ簡単に拭い、鞘へと太刀を収めた。
「あいつらは大丈夫か?」
キョロキョロとする。
「いた。」
抱き合ったまま固まり、二人で口を開けこちらを見ている。ポカンとしていて、少し阿呆のように見える。
綱太郎は力が抜けたようで、緩んだ表情で二人へと歩み寄るのであった。
……………………………………
コウちゃんがこちらへと歩いてきた。
「おーい。大丈夫かー?俺の雄姿ちゃんと見てたかー?」
「ごめん。全然見てなかった!止めを刺す瞬間だけ見た。というより、コウちゃんが来たのその時気付いた。」
「ひっで。華麗に倒したのに。」
コウちゃんはおかしそうに笑っている。
『吾等つい先程まで死にかけていたのじゃ。危うく輪廻の輪に飛び込む所じゃったわ。』
「そうかー。大変だったなー。」
『其方、さては信じておらぬな!!瑶子の力で復活したのじゃ!!』
「そうかそうかー。」
とても楽しそうだ。
何とかなって本当に良かった。後少しで、私のせいで、クロちゃんが死んじゃう所だった。
少し落ち着いたら、申し訳ない気持ちでいっぱいになってきた。
『瑶子よ。其れは違うのじゃ。瑶子のせいではない。誰だって初めてならああなっても仕方ないのじゃ。誰が悪いかで言えば、遅れてきた綱太郎のせいじゃ。』
「ちょっと待て!これでも全力で走って来たんだよ!そりゃ無いだろう!」
『瑶子が泣いていたのじゃ。瑶子に謝るのじゃ。』
コウちゃんが私の涙の後を見る。
ちょっとの間固まり目を瞠った。
「遅くなって、すまなかった。俺が悪かった。」
バツが悪そうにしている。
「プッ」
おかしくなってきた。
「コウちゃん悪くないのに、何謝ってるの。アハハハハ」
笑いが込み上げて来る。
このワイルドイケメンめが。
よし!
「クロちゃん!それでもやっぱりごめんなさい!危ないのが来ても逃げられるように、クロちゃんも守れるように強くなります!これからもよろしくお願いします。」
がばっ
勢い良くお辞儀をする。
『うむ。そういう事なら良い。許すのじゃ!』
クロちゃんも優しく笑っている。
「そっちの顔の方が良いな。落ち込んでると調子が狂っちまう。」
「綱太郎ー。楽しそうな所悪いが、鬼人の素材の剥ぎ取りと魔石取るの手伝ってくれー。」
クマさんが呼んでいる。
「分かったー。すぐ行くー。あ、隣村の鬼人魔石も取ってねー。」
「バカ野郎!そのままだと危ないだろう!」
「仕方ねーだろ!滅茶苦茶急いでたんだから!」
「確かにそうだが…。明日若いもんに行かせるか…。弔いもせねばな…。綱太郎も行ってこいよ。」
「わーったよ。行ってくるわ。大丈夫だとは思うが、警戒しとけよー。」
…
鬼人の素材を剥ぎ取りながら、打ち合わせをしている。
『吾等は帰って、休ませてもらうかのう。』
「そうだねー。疲れちゃった。服もデロデロのドロドロだよ。」
『髪と体だけは洗いたいの。とても眠いのじゃ。』
「村長さーん!コウちゃーん!先に帰って休んでもいいー?」
「もちろんいいぞー!ゆっくり休めー!」
クマさんから大きな返答が返ってきた。
「ありがとうございまーす!では、失礼しまーす!」
元気に返事をし、一礼して帰っていった。
…
『宿が無事で良かったのじゃ。此れで休めるのじゃ。』
「考えてなかったけど、壊れたお家もあったもんね。皆大丈夫かな?」
『心配は心配じゃが、取り敢えず今日はゆっくり休むのじゃ。疲れておるじゃろう?』
「そうだねー。もう限界。」
髪と身体を洗い、布団に入ると即落ちしました。
ぐぅ




