27.森野村襲撃。②
「せっ!よっと。」
ザシュッザシュ
「スピードも力もあるが、思ったよりはよえーな。」
ザシュザシュザシュ
「イタい。イタいヨ、ニーちゃン」
「一応、知性は残ってるみたいだな。お前の目的はなんだ?」
「ソンちょウのアしドメするダけデいいッてイッてタのニ」
「独り言みたいだが、目的教えてくれたな…。さっさと片付けないとイカンな…。兄ちゃんとやらも鬼人か?」
「グがあァアあぁああが」
「答える気はないか…。」
ずっと八咫烏は八の字に飛んでいる。
「焦っても良い事ないからな…。」
綱太郎は太刀を一度納刀し、深呼吸し、霊気を練った。
「抜刀術、昇龍!」
「ガァァァァあああ!!!」
霊気が込められた太刀を抜刀し、下から斜め上へと切り上げた。
鬼人の身体は胴の左下から斜めに真っ二つになった。
「ニーちゃ…。イタぃ…」
鬼人の目からは光が失われ、事切れたが、身体は消えずその場に残った。
「やっぱり鬼人で合ってたか…。急ぐか…。」
綱太郎は森野村へ戻るため、全力で駆け出した。
……………………………………
「桃太郎、何だか強いね。」
桃太郎
年齢:0歳
魂力:6
種族:上位式神
職業:瑶子の式神
能力:鬼特攻
加護:瑶子
称号:ももちゃん
服部半蔵
年齢:0歳
魂力:6
種族:上位式神
職業:瑶子の式神
能力:偵察、瞬脚
加護:瑶子
称号:ハットリくん
桃太郎は子鬼を一撃で倒していっている。
シュッシュッ
「鬼特攻は、やっぱり鬼に対して強いんだね。」
『そうじゃな。格上の相手でも闘えているようじゃの。後は大鬼と鬼人が来て、どうなるかじゃな…。』
「大鬼と鬼人が来ました!!皆さん広場へと避難して下さい!!」
多恵子さんが叫んだ。
周辺に出ていた人達は急いで広場の中へと戻った。
鬼人は大鬼を二体従えてやって来た。
大鬼の身長は二メートルくらいあったが、鬼人の身長が4メートルを超えており、大人と子どものような体格差だった。
大鬼
年齢:?
魂力:12
種族:下位鬼
大鬼
年齢:?
魂力:15
種族:下位鬼
鬼人
年齢:?
魂力:38
種族:中位鬼
「ふぁっ!」
驚いて変な声が出た。ヤバい。明らかにヤバい。どうしよう!?
「クロちゃんヤバいよ!魂力12、15、38。鬼人はコウちゃんより強いかも!?」
『それは不味いのう…。取り敢えず弓で射ってみるかの。』
「うん!」
お父さんに教えてもらった護身術を活かす時が来た。
集中する。弓を引く。射る。大鬼に的中。
集中する。弓を引く。射る。大鬼に的中。
ささってはいるが効果自体は薄いかもしれない。大した反応がない。
集中する。弓を引く。射る。鬼人に中るが、ささらずに落ちた。鬼人には全く意味が無さそうだ。
『霊気を込めて射るのじゃ!』
「そうか!やってみる!!」
集中する。霊気を込める。弓を引く。射る。大鬼に的中。
「がアァァ」
痛がっている。効果がありそうだ!
集中する。霊気を込める。弓を引く。射る。矢は鬼人に掴まれた。
「これは効いてるかも!」
「オじょウちゃンイたイじゃアなイかァイ」
「喋った!こわっ!!」
『鬼人は元々人じゃから、喋るし、知恵もあるのじゃ!』
良く見ると鬼人が右手に大きなこん棒を持ち、左手に何かを持っている。
「あ!」
平田 六郎
年齢:30歳位?
魂力:2
種族:人間
職業:隣村の村人
状態:最悪
「平田さんが捕まってるよ!!」
「こレ?あァ?キイてルよ、フデきナオトうトがおセヮにナっタヨうデ。」
『弟じゃと?貴様平田の兄なのかの?』
「ソウだヨ。オにいチャんダよ。サアさあ、ロくろうクん、こコのキもキってヨ。」
ボトリと平田さんを地面に落とした。
ブルブルブル
「嫌だ!もう嫌だ!!一郎兄ちゃん勘弁してよ!!」
「あア!ハやくヤれヨ!おレたチのムらモ、こノむラのイりグちもヤっタカら、モうイっしョだロ?」
本当に兄弟のようだ、平田さんが結界を壊してしまった事が判明してしまった。
「それでも嫌なんだよ。俺のせいでまた人が死んでしまう。嫌だ、嫌だーーーー!!」
「もウ200ニンみごロしにシタんだカラ、いッショだッテ。おヤもきョうダイも、しヌのミてタんダから。サイて、つブしテ、もイで、くっテ、ツルしテ、なゲて、けッてさー。タのシかっタなぁ〜」
「嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」
「まタそレかヨ。オにニもナラねーシよオぉ〜。ゴロうヲみなラえヨぉ〜」
「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」
「はァ、もウイイや」
鬼人は平田さんを右手でヒョイと持ち上げ振りかぶった。
どうするつもりだろう?
「いやだいやだいやだいやだいやだ」
投げた。
平田さんは凄い勢いでこちらの方に飛んできて、桃の木へとぶつかった。木は根元から折れてしまい、血だらけでピクリとも動かない。
平田 六郎
年齢:30歳位?
魂力:2
種族:人間
職業:隣村の村人
状態:死亡
死んでしまった
ショックで言葉が出ない
「おッ、コレはイイなァ」
危機的な状況であるが、思考が追いつかない
鬼人は大きな岩を持ち、再び投げた。
凄まじい勢いで飛んできたが、桃の木に弾かれた。木は大岩がぶつかった程の揺れではなかったが、サワサワサワと揺れていた。
「だメかァ、ひトがオちてタらいイんダケどナ〜。あ!イイこトおもイつイたー。おイ、おマエ。そウ、おマエ、ぜンリョくでブつカッテ、きヲおッテこイよ。」
鬼人は一体の大鬼を指差し、話している。
「イヤ…ダ」
大鬼は嫌がり、拒否している。
「いカなイと、おレがオマえをヒキさイてコロす。ドチらガいいカえらベ」
大鬼は鬼人とこちらをキョロキョロと何度も見て、意を決したようだ。
「ガアアァァァ!!」
こちらに全力で走ってくる。
ドンッ
ボギッ
桃の木がさらに一本折れてしまった。
大鬼は拳大の石を残して消えていった。
「まダちょットせマいナあ」
チラリと大鬼の方を見る。
「おマえもイケよ」
大鬼は一瞬考え込む素振りを見せるが、今回は決断が早く、直ぐに走るだした。
「ウグゥアアアアァァァァ!!」
ドンッ
ボギッ
桃の木は折れたが、今度の大鬼は瀕死のようだが、まだ息があった。
「よシ、ひろクなッタ」
鬼人はゆっくりと歩いて来ている
「結界が破られたぞー!逃げろ逃げろー!!」
遠くで声が聞こえる気がする
『瑶子!瑶子よ!!逃げるのじゃ!!』
鬼人は大鬼から落ちた石を拾い、おもむろに食べだした。
ボリッバリッボリッ
「ンー。これクらイだトもうツヨくなラね〜カぁ〜」
ジーッと倒れた大鬼の方を見る。
グチュッ
頭を踏み潰した。
再び大鬼は消え、石が落ちた。
バリッボリッバリッ
「マダだメかー」
『瑶子!瑶子よ!!気づくのじゃ!!』
ぱちん
両方の頬を両手で軽く叩くように挟み込まれる。
「あ」
『気付いたか!逃げるのじゃ!!』
「うん」
クロちゃんに手を引かれ、ノロノロと動き始める。
皆逃げていく。
親とはぐれた子が泣き叫んでいる。
多恵子さんが見つけ、抱えて走っていく。
「クズをクってモそンなニたしニならネーよナ〜」
鬼人はきょろきょろと何かを探している。
「うまソ〜なヤつハ〜 。 イた」
目が合った。
『走るのじゃ!!』
手を引かれ走り出した。
ドスッドスッドスッ
「ニがサね〜よー」
ドスンッ
後方からこん棒が振り下ろさた。
走り続け間一髪避ける。
ドスンッ
また、間一髪。
「逃げ切れぬのじゃ!」
クロちゃんに強く引っ張られ私だけが加速し、クロちゃんとの前後が入れ替わる形になった。
クロちゃんは立ち止まり鬼人と対峙した。
「式神よ、鬼人を縛れ!吾等を守れ!急急如律令!」
式神が同時に展開されていく。一方は鬼人の上半身に絡まり、一方は私達の目の前で広がり、盾のようになった。
『瑶子!今の内に逃げるのじゃ!!』
ハッと我に返った。
このままだとクロちゃんが殺されてしまう。
「桃太郎!服部半蔵!クロちゃんを守って!!」
桃太郎と服部半蔵が鬼人の前に立ちはだかり、攻撃を加える。
「タイしテいたクもね〜ガうットうシイなァ」
ブチブチブチッ
拘束は解け、鬼人はこん棒を両手で横に全力で振りかぶった。
「よーイせ〜」
ブオン
バシッバシッ
桃太郎、服部半蔵が遠くまで飛ばされていった。軽いためか、召喚は切れていない。
「もウいッチョ」
逆向きに振った。
ドゴンッ
鈍い音がなった
クロちゃんが空中へと投げ出された
スローモーションのように飛んでいく
ズザザザザーーー
遠くまで飛ばされ、全く動かなくなってしまった




