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21.美味しいお水。


「今日も豆鬼退治がてら、お水を持ち帰りましょー。」


今回はちゃんと準備している。

柄杓、汲む用の木桶、持ち帰り用の非常に大きな甕。

当然甕はコウちゃんが背負い、柄杓と木桶も持っている。


『其れで若しもの時は動けるのかの?』


「ああ。全然問題ないが、帰りだと水が溢れるかもしれんな。」


「それなら問題ないねー。皆にも美味しいお水を飲ませてあげましょう。」


村の井戸水も美味しいが、お寺の湧き水は更に美味しいのだ。『薬師如来の天然水』として売り出せば、売れそうなくらいである。

あ、何だか健康にも良さそうな名前。万病に効くとかいう謳い文句で。薬事法で捕まりそうだね。村にそんな法律はないだろうけど。


「それにしても、どうして村人が飲む分も持って帰るんだ?飲みたい奴には自分で汲みに行かせたらいいだろう?」


「ふっふっふ。コウちゃん良い質問ですね。実は私達には広大な計画があるのです。」


「広大な計画?」


「そうです。まずですね、村の人にお寺のお水を飲んでもらいます。美味しいです。村から近いので自分達でも汲みに行くかという人達が現れます。お寺に行きます。お寺の惨状を見ます。心を痛めその内に再建計画が建ちます。私達も便乗して、隣に黒乃神社を建てるよう捩じ込みます。お寺と神社が建ちました。完璧です。」


「お…。おう。そうか…。」

コウちゃんはあまりの完璧さに驚いているようだ。


「そんなに上手くはいかんだろう…。」

小さな呟きは瑶子の耳に拾われる事は無かった。



「あ、今日も平田さんがいるね。」


平田 六郎

年齢:30歳位?

魂力:2

種族:人間

職業:隣村の村人

状態:最悪


平田さんはまた村の出口付近でウロウロしていた。


「怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」


「平田さん、こんにちは!」


「ヒッ!」

驚き目を見開き、呪文のように唱えていた言葉は止まった。


「こんにちは!平田さん大丈夫ですか?」


「俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない」

今日もブルブル震えだした。


「悪くないって、何か疑われているんですか?」


「俺は悪くない俺は悪くないんだーーーっ!」

呟きから突然叫ぶように大きな声を上げ、村の方へ走り去ってしまった。


「うーん。難しいねー。カウンセラーの人ってどうやってるんだろうね?」


本当は病みきっている人に対して、素人がカウンセリングの真似事などしてはいけないのは分かっているのだが、そのままにしておくと良くないことが起こる予感がするのだ。


『吾も分からぬが、難しそうじゃのう。』


「どうして平田さんの村は全滅しちゃったんだろうね?ここらへん豆鬼しかいないのに。」


「そうだな。分からんから見に行くんだが、腑には落ちねーんだよな。」


「例えば急に大鬼が出たら、村が全滅したりする?」


「大鬼くらいだったら、結界の中に入れねーし、仮に入れたとしても村長クラスの奴が撃退できる。村にはそれぞれ一人か二人はそれなりの実力者がいるもんだからな。」


「んー。そうなんだー。大鬼より強い化け物が出たとか?」

大きな鬼より強い化け物とか怖すぎるね。


「ここら辺りで、そのレベルの化け物が出るなんて聞いたことねーが、それ位しか俺にも思いつかないな。」


「名探偵瑶子にも解き切れない謎だね。真実はいつも一つのはずなんだよ。」


「それ、まだやってたんだな…。」


……


「豆鬼40体倒したけど、魂力上がらなかったね。」


黒乃

年齢:200万歳位?

魂力:4

種族:上位神

職業:神、巫女

状態:良 疲労

権能:占い、千里眼、(過去視)、(未来視)

能力:陰陽術、読心

加護:瑶子

信者:34人


土御門 瑶子 

年齢:30歳位?

魂力:4

種族:人間?

職業:巫女

状態:良 疲労

式神:桃太郎(上位式神)、服部半蔵(上位式神)

能力:看破の魔眼、護身術、式神

加護:黒乃、不動明王、(薬師如来)

信者:33人


『今日はこれ位で終わって、水を汲みに行くかの。』


「そうだねー。明日は何体倒せるか、限界にチャレンジしてみよっか?」


『それも良いのう。少し早めに朝の相談所を切り上げて行くかの。綱太郎も良いかの。』


「俺はほぼ付いて行くだけだから、何でもいいぞ。早めに広場に行けばいいのか?」


『うむ。其れで頼むのじゃ。』



「やっぱり柄杓があると雰囲気出るね。」

今日もお寺にお参りしている。


「そうじゃの。」


今日はちゃんとした作法で手水を行った。

しかし、湧き水でやるのも良いが手水舎が欲しい。再建計画だ。


柄杓を右手に持って水を汲み、そのまま左手を洗い、左手に持ち替え右手を洗い、右手に持ち替え左手に水を溜め、その水で口を濯ぐ。最後に柄杓自体を清めるように中の水を全部流す。


「では、お参りしましょう。」


『うむ。賽銭を渡すのじゃ。』


「うお。今日は金貨かよ。大金貨ほどは無くとも、大金すぎるな…。」


『綱太郎よ。そういう所がいかんのじゃ。信心が足りぬのじゃ。』


「すまんな。俺は小市民なんだよ。」


金貨を本殿に置き、手を合わせ、礼をする。


「お祈りをすると、身が清められる気がするよね。」

昔から神社仏閣を参拝するの結構好きなんだよね。


『綱太郎よ。瑶子を見習うのじゃ。』


「分かったよ。気を付けるよ。」


「再建計画はしばらく掛かるだろうけど、せめて先に賽銭箱くらい欲しいよね。」

賽銭が集まれば、再建費用も集まるかもしれない。


『源太に頼むかの?』


「良いね。そうしよう!」


「再建はすることが確定してるんだな…。」

綱太郎が呟いた言葉は瑶子達の耳には届かなかった。



「水を汲んだのは良いとして、凄い重さだね。私だとビクともしないよ。」


『吾もじゃ。どうやっても動かぬ。二人で持ち上げてみるか?』


「うん。何事もチャレンジだね!」


「やめとけ。倒して割る未来しか見えねーよ。」

そう言って、コウちゃんはヒョイと甕を持ち上げた。


「それ重さはどれくらいなの?」


「そうだなー…。5()(がめ)だから(かめ)の重さも合わせると100Kg超って所かな。」


「コウちゃんはそれで大丈夫なの?持ってこさせて何だけど…。」

深いことは考えていなかったため、申し訳ない気持ちが湧いてくる。


「持つのは余裕だよ。ただ、デカいし、形が形だから背負い辛い。」

コウちゃんはちょうど良さそうな位置に背負い直そうとしている。


「ごめんねー。考えなしだったよ。木桶と柄杓は私達が持つね。」

当たり前の事を提案してみる。


「それは助かるな。重さは大丈夫だが、手が空いている方が安心できる。」


助かるなんて言えるとは、本当にイケメンだ。

私達は惚れたりしないが、世の女性達は黙っていないだろう。

このワイルドイケメンめー。このこのー。


「ボーッとしてないで帰るか。」


『そうじゃな。帰るのじゃ。』



……



「このお水すっごく美味しいですね!?お料理にも使えるかも!どこに湧いているんですか?」

帰って多恵子さんに飲んでもらったところ、好感触である。

これは再建計画イケるかもしれない。フフフ

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