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19.豆鬼しかいないの?


「ねえ、ねえ。気になってたんだけど。この世界の化け物って豆鬼しかいないの?」


最初にクロちゃんに聞いた時は鬼や妖が跋扈する厳しい世界だと言っていたような?

今の所、豆鬼がいる以外は牧歌的な世界なように感じる。

私もクロちゃんもずっとのほほんとしている。


「久し振りの非常識発言だな。まあ、別世界から来たのなら知らなくてもおかしくはないのか…。」


『おるはずなのじゃが、豆鬼しか見ておらぬの。』


「今はここらへんでは豆鬼しか出ないみたいだな、というより、結構各地で豆鬼しかいない地域が増えてるみたいだぞ。」


『何故じゃ?此処も化け物が少ない地域とは言え、其れなりの化け物はいたはずじゃが?』


「俺も詳しくは知らないんだが、各地で化け物共を根こそぎ狩っていってる奴がいるらしいんだよ。」


『吾等としては助かるが、各地で根刮ぎ狩っていくとは…。その者に何の利点があるのじゃろう?』


「俺にも分からん。詳しく知りたければ村の連中に聞けばいいんじゃないか?」


ビビッと来たぞ!


「ここは名探偵瑶子の出番だね。ずばり!コウちゃんみたいに武者修行している人なんだよ!」


名探偵土御門瑶子爆誕!


『吾もそう思ったのじゃが、其れならば根刮ぎ狩る必要はないのじゃ。強者なら弱い化け物を狩っても大した成長はないからの。のう綱太郎よ。』


「おう。弱い奴を狩り尽くすより、強い奴を探しに行った方が断然効率が良い。」


迷探偵土御門瑶子誕生。


「事件は迷宮入りだね。大人しく村の人に聞いてみます。」

次の候補はボランティア精神に溢れる人だけど、流石に説としては弱いよね。


話が一区切り付いたところで村の出口に着いた。



「死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ怖い怖い怖い怖い怖い怖い絶対死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ絶対絶対絶対。」


平田 六郎

年齢:30歳位?

魂力:2

種族:人間

職業:隣村の村人

状態:最悪


そうですよね。やっぱりいらっしゃいますよね。今日は一際怖いですね。

可哀想だとは思うけど、知らない病んでいる人に手を差し伸べてあげられるほど、人間が出来てはいない。

何かしてあげるべきかという気持ちも浮かびはするが、君子危うきに近寄らずを実践してしまう。


『瑶子よ。気にするでない。吾等は仏では無いし、聖人君子でも無い。自分が無理をしてまで他人を救おうと思わなくても良いのじゃ。』


それもそうだとは思う。しかし、クロちゃんも辛そうな顔をしているし、見ないようにしているだけで、気にしているのだろう。

私達の方が強くなったし、やっぱりいっちょ声かけてみましょうか。

関係のない他人でお節介かも知れないけれど、少しの勇気を出してみる。


「こんにちは。平田さん。」


「怖い怖い怖い怖い」

平田さんはブツブツ呟きながら、少しだけ顔を上げる。

「怖い怖い怖い怖い」

また俯いてしまった。


「平田さんは何が怖いんですか?あ、怖い目にあったのは聞いてはいますが。」


また、チラリと顔を上げる。

声を聞いてはくれてそうだな。

「鬼が来る鬼が来る鬼が来る鬼が来る鬼が来る」

言葉が変わった。


「隣村じゃなくて、ここに鬼が来るんですか?」


「ああぁあぁぁあぁ」


平田さんはガクガク震えだした。


「大丈夫ですか?」


「ああああああああああぁぁぁ」


平田さんは村の方へ叫びながら走って行ってしまった。

足速いな。


良い事をしたとは思えないけど、私はやらない後悔よりもやった後悔の方がマシだから後悔しないようにしよう。

あれ?自分でも何を考えているのか分からないぞ。


『ものの善し悪しについては分からぬが、瑶子は凄いのぅ。吾はあんな感じの者に話し掛けるのは無理なのじゃ。』


「いやいやいや、私も同じだよー。怖いものは怖いし。でも、何となく自分達のために話し掛けた方が良い気がしたんだよ。人の為じゃなくて、どちらかと言うと利己的な考えで。」


『其れでも凄いのじゃ。吾も瑶子と同じ様に成長する為励むのじゃ!』


「クロちゃんの課題はコミュ障な所だよね。」

からかうように笑う。


『吾はコミュ障等ではない。ちょっぴり人見知りなだけじゃ。じゃが、其れが課題と言えない事も無くは無い事も無いかも知れぬ。』


ええと。

ない事=ない

ない事も無い=ある

ない事も無くは無い=ない

ない事も無くは無い事も無い=ある


きっとあると言うことだね!

チャウチャウちゃうちゃうちゃうんちゃう?


「あんたらが真面目な話してるとすっごい違和感あるな。すぐに崩れてたが。」


「それは良くないイメージが付いてるね。私達結構真面目な話もするんだよ!」


『そうじゃ、そうじゃ!』


「そうなのか?俺はじゃれ合っている所しか見たことないぞ。」


そんな事は…?そんな事は一部あるかもしれない。私は間違いを認められる女なのだ。

だってクロちゃん可愛いんだもの。


「では、気を取りなおして豆鬼退治致しましょうか。」


「あ、誤魔化しやがった。」


でも、やっぱり間違いを認めるのは別の機会にしよう。


「あ、早速豆鬼いたよ!一体だから今日も試してみる?」


『うむ。試してみるのじゃ。今日は慎重に行くぞ。』


「そうだねー。コウちゃん危なかったら助けてね。もう手出し無用なんて言いません。」


「おう。危なかったら助けに入るわ。」


『頼むのじゃ。では、行くぞ。式神よ、豆鬼を捕らえよ!急急如律令きゅうきゅうにょりつりょう


早九字を切る。

左手から手刀を抜き取り左上から順、格子状に九字を切っていく。

(りん)(ぴょう)(とう)(しゃ)(かい)(じん)(れつ)(ざい)(ぜん)


「邪なる気を祓い給え、清め給え。汝、矛を収め、我に降伏(こうぶく)せよ!汝の名は豆!!」


今回はどうだ?


ピカッと

光らない!


ミチミチミチ

嫌な音がする。

バリバリバリッ

式神の拘束が解かれた。


豆鬼(激怒)

年齢:?

魂力:1

種族:下位鬼


今回も激おこぷんぷん丸だ。


ヤバい。速い。

凄い速度でこちらへと走ってくる。


「あ、先に桃太郎(ももちゃん)達召喚しておけば良かった!」

ごそごそごそ。形代どこ入れてたっけ?


『やばいのじゃ!間に合わないのじゃ!』


「キャーーーーッ。」

『にゃーーーーっ』


咄嗟に白檀の棒を振り回した。

体に馴染んだ動き。横から豆鬼を殴り、下から顎を突き上げ、胸を全力で突きフィニッシュ。

豆鬼は消えてった。


「良かった~。」

『助かったのじゃ…。』


少し落ち着いてきた。コウちゃんが全く動かず立っていたことに気が付いた。


「コウちゃん何で助けてくれなかったの!?手出し無用なんて言わないって言ったよね!」


「お、おう。確かに言ったが、今回は全然危なく無かっただろう?」


豆鬼のいた位置を振り返ってみる。考える。確かに危なくはなかったのかもしれない?


「もしそうだったとしても、女の子達が怖がってたら助けるもんでしょ!打ち身になったらどうするの!」


理不尽な怒りをぶつけてみる。


「それは…。確かにそうだな。申し訳ない。」


なんだと!

この理不尽さに謝って返すなぞ、イケメンではないか!

このワイルドイケメンめが!


「ごめんなさい。八つ当たりでした。本当は私が申し訳ないです。」


やっぱり理不尽な事は良くないよね。


「間違えたことは言っていないから謝る必要はないだろう?俺がちゃんと気を付ければ良い話だ。『女性に優しく』が渡辺家の家訓なんだよ。」


ワイルドイケメンのくせにフェミニストだと…。

現代日本では男女平等。一部では『女性に優しく』『女性を大切に』も差別だと怒られるんだぞぅ。

でも私は優しくされたい派だから、黙認しよう。


「でも…。」


『有難う。此れからもよろしくお願いします。で良いじゃろう。』


「そうだな。」


「んー。はい。これからもよろしくお願いします。」


流石クロちゃん年の功だ。コミュ障なのに納め方が素晴らしい。


『何が年の功じゃ、何がコミュ障じゃ。ちょっとお姉さんでちょっと人見知りなだけじゃ。』


「豆鬼が6体一気に出て来たぞ。攻撃されそうになったら勝手に加勢するけど、いいか?」


「はい。お願いします!」


やっぱりイケメンではないか。



30体目を倒したところで、強くなりました。クロちゃんのお陰で効率良く探せるけど、ボチボチ半日での狩る数の限界が見えてきました。


黒乃

年齢:200万歳位?

魂力:4

種族:上位神

職業:神、巫女

状態:良、筋肉痛

権能:占い、千里眼、(過去視)、(未来視)

能力:陰陽術、読心

加護:瑶子

信者:8人


土御門 瑶子 

年齢:30歳位?

魂力:4

種族:人間?

職業:巫女

状態:良、筋肉痛

式神:桃太郎(上位式神)、服部半蔵(上位式神)

能力:看破の魔眼、護身術、式神

加護:黒乃、不動明王、(薬師如来)

信者:7人


あっという間に村人(弱め)位になりました。

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