四.軍神武甕槌神①
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「鹿島神宮に行くかい?」
「唐突ですね養父さん。神頼みに行くのですか?」
「似たような事だよ。軍神武甕槌神様の加護を得に行く。」
「加護はどうしたら頂けるのですか?」
「正直私にも分からない。オババ様はとにかく行けば分かると言われているが…。死相は出ていないみたいだけど、結構大変らしいよ。覚悟があれば付いて来て。」
養父さんは上を見上げて、何か覚悟を決めているようだ。と云うことは、もしかすると死の間際までは行くような事なのかもしれない。
「もちろん行くよ。姉さんの為になるなら、死ぬこと以外ならやってみるよ。」
死んだら姉さんの為になる事が何も出来なくなってしまうからね。
「僕も同じ気持ちだよ。日曜日までに戻ってこないといけないから、早速準備したら行こうか。今回は念のため守り刀も持っておいて。」
守り刀を渡され、養父さんは不動明王の羂索と50cm程の直剣、大量の札、形代を用意している。
姉さんは会社に勤め出したばかりで、仕事から帰るとお風呂に入り、出ると直ぐに力尽きる、というだけの生活をしている。休みの水、日以外は顔を合わせる事が無くなってしまった。
守り刀を抜いて刃と拵えを良く眺めてみる。
「養父さんこれ…。北谷菜切じゃないですか!何て危ない物を渡しているんですか!それにこんな物持ち出して大丈夫なんですか!?」
「んー。影打ちだから大丈夫。警察に持ち運びの許可は取ってあるけど、流石に神社ではそんな物騒な物は見せられないから隠して持って行くよ。本当は太刀か打刀を持って行きたかったんだけどね…。」
この様子だとオババ様に長物の持ち込みは止められたのであろう。常識的に考えて小刀位の物までしか隠して持って行く事は出来ない。
しかし、養父さんがこれ程警戒をするとなると、嫌でも緊張感が高まっていく。
車で高速道路で向かい、その日は茨城の旅館で一泊した。
…
「やっぱり茨城は遠かったねー。ウチと変わらない位田舎だねー。」
鳥居を抜け、境内を歩いていく。木々が深い緑色をしており、空気はとても澄み、ピンと張り詰めている。
「肌がピリピリします。相当力の強い神様ですね。」
「うん。そうだねえ。肌が痛いよ、本当にどうなることやらだね。」
「何か分かりますか?」
「今の所は何も分からない。とりあえず普通に参拝してみようか?」
本殿に行き、賽銭を入れ普通に参拝をする。
二礼二拍手一礼。祈りを捧げ、
目を開けた。
そこは知らない場所だった。
周りは草も生えていない平地が広がり、目の前にはゴツゴツした大岩があった。
その大岩には、一柱の神が鎮座していた。
その神の身体は途轍もなく巨大で、鎧に身を包まれており、髪は黒くザンバラで所々が逆立ち、目は光をも吸い込むような漆黒であった。
『鼠が入り込んだようだな。そこの鼠共よ俺の神域に何用か?』
「もしや貴方様は武甕槌神様ですか?」
「がっ!」
養父さんへと天より雷が落ちてきた。
『そうであるが、質問に質問で返すな。無礼であろう鼠。』
「はい。大変申し訳ありませんでした。」
養父さんは普通に受け答えしているが、普通の人であれば黒焦げになっていたのではなかろうか。
武甕槌神 Lv.???? 超位神
HP ???????/???????
MP ???????/???????
攻撃力 ?????
守備力 ?????
敏捷性 ?????
神力 ?????
運 ?????
スキル:雷、???、???、???、???、???、???、???、???、???、???、???、
称号 :火神の血より出でし者、力の神を降す者、軍神、雷神、剣神
あまりにも格が違い過ぎて、何も見えてこない。
ただ次元の違う強さがそこにはあった。
『退屈しておったので良いが。で、何用だ?』
「我が娘、この子の姉を救う為に力が必要で、貴方様のご加護を頂きたく参上致しました。」
『ほう…。俺の加護が欲しいか。そこの小僧も同じか?』
「はい。是非武甕槌神様のご加護をお与えください。」
『はっはっはっはっは。愉快だのう。だがな、そんな鼠程度の力しか無い者どもが俺の加護とは、片腹痛いわ!!』
神の声が轟き、風が吹き荒れた。
「力をお示しすれば、加護を与えて頂けますか。」
養父さんが食い下がり、霊気を極限まで練っている。僕も負けじと霊気を練りだした。
神は目を眇めた。
『ほう?野良猫程度の力はあるか。面白い。』
武甕槌神様はにやりと笑い、立ち上がった。すると、山ほどにある身体が縮み、2メートル程の大きさになった。
気付くと神は僕達の目の前に来ていた。一度も目線は外していない。
圧倒的なプレッシャーに冷や汗が止まらない。
『握手をしようか。』
武甕槌神様が両手を差し出した。養父さんは左手を両手で包み、僕は右手を両手で包んだ。
『10分耐えてみせよ。』
バリッバリバリバリッ
「あがががががが」
「あああああぁぁ」
『手を振り払い逃げても良い。攻撃しても良い。10分後に立っている者に俺の加護を授けよう。』
咄嗟に掴まれていない、片手を離し、式神を召喚した。
「ぐうぅ。前鬼、後鬼よ神を攻撃せよ!急急如律令!」
「あぁぁ。貂、神を切り裂け!急急如律令!」
貂 Lv.12 低位妖怪 鎌鼬
HP 51/51
MP 20/20
攻撃力 65
守備力 13
敏捷性 85
妖力 9
運 11
スキル:烈風Lv.2、瞬脚Lv.3
称号 :春愛希の式神
前鬼 Lv.93 上位鬼 赤鬼
HP 3295/3295
MP 1120/1120
攻撃力 2382
守備力 985
敏捷性 532
妖力 285
運 29
スキル:斧術Lv.99、剛力Lv.99、投擲Lv.99、鬼火Lv.99
称号 :役行者の式神、後鬼の夫
後鬼 Lv.91 上位鬼 青鬼
HP 2386/2386
MP 2122/2122
攻撃力 1331
守備力 732
敏捷性 1828
妖力 1121
運 52
スキル:棒術Lv.99、連撃Lv.99、瞬脚Lv.99、鬼火Lv.99
称号 :役行者の式神、前鬼の妻
前鬼が横から斧で斬り掛かり、後鬼が後ろから棍で殴り掛かった。貂は足元を切り裂いた。防御は間に合わず、全てが命中した。
武甕槌神様は手を離し、両手を挙げた。
『わっはっは。逃げずに攻撃を優先するか!愉快愉快!』
パッチパッチパッチ
実際には一切のダメージが無く、大きな動きで笑いに合わせ拍手を打っている。
「春愛希!全く効いていない!後ろに回り込んで合わせなさい!」
「はい!!」
『次は何をやるのか楽しみだ。特別に受けてやろう。残り9分。』
養父さんのやりたい事を目線で理解し、同じ動きで合わせていく。
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン、ノウマク サンマンダ バザラダン カン。」
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
神の前後からそれぞれ九字を唱え印を結んでいく。
普賢三昧耶・大金剛輪・外獅子・内獅子・外縛・内縛・智拳・日輪・隠形
「護符よ彼の神を封じよ!急急如律令」
護符は五芒星の形に展開され、上下1枚ずつ二重の結界が出来上がった。相当な霊力が込められている為か白い雷の様なものが迸っている。
「油断するな!続けるぞ!!」
「はい!!」
僕が羂索を左手に構え、養父さんは直剣を左手に構えた。
「朱雀・玄武・白虎・勾陣・帝久・文王・三台・玉女・青龍」
「羂索よ彼の神を縛れ!急急如律令」
「不動の剣よ彼の神を穿て!急急如律令」
羂索が神の身体に纏わりつき、剣が胸へと突き刺さった。
力尽きなければ、二章は春愛希編です。
構想中ですが、厨ニ系モテモテ高校生活編になるやもしれません。




