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17.廃寺があります。


「いやー。今日の豆鬼狩りは順調だったね!」


『そうじゃな!予定を早く切り上げられたのじゃ!』


「出鼻から転けてたよな?まだ時間が結構あるから続きやっても良いような…。」


「もう今日はイヤ!やめるの!!喉も渇いた!」


『そうじゃ!そうじゃー!』


決して最初に失敗し、精神的に疲れたからではない。

今日のノルマが達成できたからだ。

嫌になったからではない。


「まあ、俺としては給金も貰っているし、何でも良いが…。近くに美味しい湧き水が湧いている所があるが、寄っていくか?」


「美味しい湧き水?近くなら行く!」


「近く近く。すぐそこだ。」


そう言いながら。獣道ような所を親指で指差す。


「こんな所入っていくの?」


『奥が暗いのじゃ。』


「大丈夫だよ。すぐ開けるから、昔は良く使ってた道なんじゃねーか?」


コウちゃんが獣道の中に入っていく。


「仕方ない。行きますか。」


『そうじゃの…。』


コウちゃんの後に続き、暗くも紅く色付く森の中に入っていった。

道中暗いだとか、道が狭いだとか文句を垂れる女子’sを先導し、10分程歩いた所突然視界が開け、石畳(いしだたみ)と石の階段が出現した。


コウちゃんはブーブー文句を言う年上の女性のお守りが出来て立派だと思いました。引き続き文句は言うけど。


石段は所々苔生(こけむ)しており、最近はあまり使われていないようだ。少し削れている辺りはコウちゃんが歩いた後だろうか?

気を付けて行かねば我ら二人は転けるビジョンが浮かぶ。


「クロちゃん、最新の注意を払って行こう。コウちゃんは一番後ろで私達が転んだ時に備えて。」


『転ぶわけには行かぬの…。』

「あいよー。そんなに気を付けなくても大丈夫な所だが、あんたら二人は確かに危ないかもな。」


クロちゃんを先頭に一段一段踏みしめながら階段を登っていく。


「ゴール!全然問題なかったね!」


『余裕じゃの。』


「すぐに調子に乗れる二人は本当に凄いと思うぞ。」


石畳(いしだたみ)の先を見ると、そこにはいつから放置されたのか分からない廃寺があった。平屋で20坪くらいだろうか?寺としては小さめであり、建物自体は朽ち、半分以上が崩れている。


『仏の気配を(かす)かに感じるの。』


「ご加護が貰えるの。」


『祈りを捧げてみねば分からぬが、やってみる価値はあるのじゃ。』


「ご加護?水は良いのか?」


『先に水の所に行くのじゃ。手水舎が無いので湧き水で清めるのじゃ。』


「湧き水は建物の右側に湧いているぞ。」


『分かったのじゃ。柄杓(ひしゃく)が欲しい所じゃが、仕方が無いの。気持ちが大事なのじゃ。』


寺院の右手側に行くと、こんこんと綺麗な湧き水が2カ所湧いていた。


こくこくこくこく


「すっごく美味しいねー。」


『美味いのじゃ。本来手水は飲むものでは無いから気を付けるのじゃ。もう一カ所の湧き水で手と口を清めるのじゃ。』


空の水筒(竹筒)で順番に清めていく。

まず水筒(本来は柄杓)を右手に持って水を汲み、そのまま左手を洗い、左手に持ち替え右手を洗い、右手に持ち替え左手に水を溜め、その水で口を濯ぐ。最後に水筒(本来は柄杓)自体を清めるように中の水を全部流す。


「やっぱり柄杓じゃないと雰囲気出ないねー。」


『そうじゃのう。』


ちなみにお寺でも神社でも手水は同じ作法で行います。


『では参るとするかの。』


寺院の正面に回った。


『寺でのお参りは柏手を打ってはならぬのじゃ。』


「知ってるよー。神社は二礼二拍手一礼だよね?」


『ほぼそうじゃが、流派にもよるの。寺は賽銭を入れてから、合掌して祈りを捧げ、最後に一礼じゃ。賽銭は投げず丁寧に入れるのじゃ。では、賽銭を渡すのじゃ。』


お小遣いを渡す感じで私とコウちゃんにそれぞれ大金貨が渡される。

一人5万円!高すぎない?


「賽銭にしては高すぎないか?俺の10日分のお()り代じゃねえか…。」


あ、この人今お()りって言った。綺麗な女性を二人捕まえて失礼な。確かにお()りかもしれないけど。


『この(たわ)けが!言葉に気を付けぬか!うら若き女子の護衛をお()(など)()うな。』


あ、クロちゃんが突っ込んだ。そうだそうだー。行け行けー。


「それはお嬢様方失礼を致しました。こんな綺麗な方々の護衛を任される等光栄の極みで御座います。」


丁寧な喋りも出来るんだ。イケメンは何しても様になるなぁ。くそう。

いやいや、淑女は悔しがり方もお上品でないといけない。

このワイルドイケメンめが。


『あまり巫山戯(ふざけ)て無いで、真面目に祈るのじゃ。』


「そうだね。」


「もったいねーな。」


私達が賽銭を置き、コウちゃんも不承不承、大金貨を置いた。


合掌




『どうじゃ。加護は付いたかの?』


皆を見てみる。


渡辺 綱太郎

年齢:21

魂力:35

種族:人間

職業:武士


黒乃

年齢:200万歳位?

魂力:3

種族:上位神

職業:神

権能:占い、千里眼、(過去視)、(未来視)

能力:陰陽術、読心

加護:瑶子


土御門 瑶子

年齢:30歳位?

魂力:3

種族:人間?

職業:巫女

式神:桃太郎(上位式神)、服部半蔵(上位式神)

能力:看破の魔眼、護身術、式神

加護:黒乃、不動明王、(薬師如来)


「ご加護二人は付いてないねー。私だけふんわり付いてるかも。丸カッコで薬師如来様が付いてる。」


『吾はまあ仕方ないかの。廃寺じゃから得にくいのかも知れぬの。綱太郎は信心が足りぬのではないかの?』


「神仏に頼るような生活はしてなかったからな。何か問題があるのか?」


『問題は無いのじゃ。じゃが、強くなりたいなら神仏の加護はあるに越したことは無いのじゃ。渡辺綱も八幡・住吉・熊野三神の加護を得ておったの。』


コウちゃんがじっと考えこんでいる。


「お祈りを捧げて、そんなに簡単にご加護は得られるものなの?」


『そうじゃのう…。簡単と言えば簡単じゃし、難しいと言えば難しいのじゃ。如来や菩薩等の仏は慈悲深いから、信心深ければほぼ加護を貰えるのじゃ。神は気まぐれじゃからのう。気に入られれば信心が無くても加護が付く事も有れば、全くの逆もあるのじゃ。』


「クロちゃんは神様だから、ご加護貰えなかったの?」


『恐らくそうじゃの。弱体化したとは言え太古の神じゃ。同等か上位存在と言えなくもないからの。』


「俺も信心があれば、今より強くなれるのか?」


コウちゃんが考える人から復帰した。


『其れは間違い無いのじゃ。軍神や明王の加護が付けば飛躍的に強くなるかも知れぬの。』


「そうか。」


それだけ強くてもまだ強くなりたいんだね。流石男の子だ。

コウちゃんは考える人はやめた様だが、真面目な顔のままだ。真面目な顔もイケメンだ。

このワイルドイケメンめが。


『では目的も達成した事じゃし、帰るかの。』


「そうだねー。美味しい水だけ汲んで帰りたい。」


再び水筒に水を入れ、コウちゃんを先頭に帰り出した。

階段を降りる時に油断したのがいけなった。


『わっ!』

クロちゃんの叫び声が聞こえたので振り向くと、階段を滑ったようだ。前向きに倒れてきた。私は振り向き様に見事にクロちゃんを受け止めたのである。


「わわっ!」

受け止めたは良いが、私も足を滑らし、クロちゃんを抱いたまま後ろ向きに倒れていった。


「仕方ねえなぁ。」

コウちゃんは私を抱きとめ、お姫様抱っこの体勢になり、後ろへ跳んだ。クロちゃんは私の胸の中のままだから相当器用だ。


『ッ!』

驚いて逆に声が出ない。


綺麗に着地し、私達を優しく地面に降ろした。


「ありがとうございました。」

『助かったのじゃ。』


「そうなる気はしてたんだよ…。」


コウちゃんはマジワイルドイケメンでした。



☆☆☆☆☆※※※※※※※※※☆☆☆☆☆

ストーリー外メモ


手水舎の読み方は、「ちょうずや」、「ちゅうずしゃ」、「てみずや」、「てみずしゃ」どれでも大丈夫です。知らない子がいたら、是非ドヤってやりましょう。

手水舎のお水が美味しい事がたまにありますが、清める為なので飲んではいけませんよ。逆に綺麗でない所は口に含んだフリで大丈夫です。

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