三.鎌鼬降伏
ガサッ
ガサガサガサッ
「春愛希そっちに行ったぞ!」
「はい!任せて下さい!護符よ!邪なる者を封じよ!急急如律令」
妖怪の周りを護符が五角形に囲んでいく。
簡易の結界が張られ、妖怪はその中に閉じ込められた。妖怪はその結界の中で暴れ続けている。
「グルグルグル。シャーーー!!!!」
「活きが良いな。低位妖怪鎌鼬。悪戯で服や肌を切り裂く妖怪だ。これ位ならもう降伏させられるだろう。やってみなさい。」
「やってみます!」
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
両手を用い、同時に九字の印を結んでいく。
普賢三昧耶・大金剛輪・外獅子・内獅子・外縛・内縛・智拳・日輪・隠形
「邪なる気を祓い給え、清め給え。汝、矛を収め、我に降伏せよ!汝の名は貂!!」
唸り、叫び続けていた鎌鼬は途端に大人しくなり、姿は縮み、最後には動物の貂の姿となった。
邪気が払われた為か結界をすり抜け、僕の前に歩いて来て小さな頭を垂れた。
貂 Lv.6 低位妖怪 鎌鼬
HP 9/18
MP 10/12
攻撃力 12
守備力 8
敏捷性 20
妖力 2
運 7
スキル:烈風Lv.1、瞬脚Lv.1
称号 :春愛希の式神
「オン・キリキャラ・ハラハラ・フタラン・バソツ・ソワカ、オン・キリキャラ・ハラハラ・フタラン・バソツ・ソワカ、オン・キリキャラ・ハラハラ・フタラン・バソツ・ソワカ。オン・バザラ・ド・シャ・コク 。」
忘れずに解術文を唱える。
「良くやった。これでお前も陰陽師として一人前だ。でもそれにしても、名前はもうちょっと何かあったんじゃないか?貂って動物の種類だよ?」
「ありがとうございます。良いんですよ。鎌鼬にイタチとかカマイタチとか名前を付けるよりマシではないですか?」
「それはまあ、確かにな…。だが、良く良く気を付けるんだよ。降伏させた式神は主人に相応しく無いと感じると、牙を剥く時がある。常に成長し、隙の出来ぬ様、精進しなさい。」
「はい。精進致します。僕も姉さんの為に早く強くなりたいです。」
自身の手を見つめる。
安倍 春愛希 Lv.8 人間 陰陽師
HP 56/56
MP 20/28
攻撃力 25
守備力 25
敏捷性 25
霊力 65
運 25
スキル:剣術Lv.1、槍術Lv.1、体術Lv.1、式神Lv.1、結界術Lv.1、陰陽術(木Lv.1 火Lv.1 土Lv.1 金Lv.1 水Lv.2)、看破の魔眼Lv.15
式神 :貂(鎌鼬)
加護 :不動明王
称号 :才能の申し子
「私も気持ちは同じだ。しかし、一歩一歩着実に成長しなさい。君はまだ基礎すら出来上がっていないからね。焦りの心は目を曇らせる。ちゃんと瑶子と話をするんだよ。」
最近、姉さんが僕に避けられているんじゃないかと気にしている。実際にそんな事は無く、訓練の時間を優先してしまっているだけだ。本当は姉さんとの大切な時間を削りたくはない。
「分かってはいるんですが、何と話して良いか…。」
「全てを話すことは出来ないが、今の気持ちを伝えるだけで良いと思うよ。聡い瑶子なら、必ず気持ちは伝わるから。」
「はい…。僕も姉さんとは話したいので、近い内に気持ちだけは伝えてみます。」
大切な姉さんの為にしている事が、姉さんを傷付けてしまっては本末転倒だ。
丁寧に気持ちを伝えよう。
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ストーリー外メモ
仏様や菩薩様には真言があります。
真言とは真実の言葉、秘密の言葉という意味です。
本編で書いている所の真名の様なものですね。
例えば、
不動明王のご真言は
「ノウマク サンマンダ バザラダン カン」
薬師如来のご真言は
「オン コロコロ センダリ マトウギ ソワカ」
です。
「薩婆訶」という句には事が成就する意味が込められているそうです。
九字を切った後は必ず、刀を抜いたら必ず鞘に収めるような決められた動作をしなければいけません。
その中の一つに、
「オン・キリキャラ・ハラハラ・フタラン・バソツ・ソワカ」と三回唱え、「オン・バザラ・ド・シャ・コク」 と言う事があります。
「宇宙心の威徳により、悩みを転じて楽となし、 災い転じて幸せとなし給うことに、心から感謝を捧げます」という意味があるそうです。
でも、どこの部分がどう対応しているのかは私には分かりません。半端じゃなく奥が深いですね。




