13.桃太郎と服部半蔵。
朝食を終え、今日も広場へと向かう。
道中落ち着き無くキョロキョロとしている挙動不審な男がいた。
???
年齢:30歳位?
魂力:2
種族:人間
職業:村人?
珍しい。子どもと同じ強さだ。
まあ、私はボコボコにされるくらいの強さらしいけど。
見るからに不審者だし、私の勘(看破の魔眼?)が近付くべきではないと警鐘を鳴らす。
触らぬ神に祟り無しだ。
『あの男、恐れの心で支配されておる。何をするか分からぬから近寄るでないぞ。』
「うん。あの人マズいと思う。早く広場に行こう。」
…
「恵子さん。向こうで挙動不審な男の人がいたんですけど、大丈夫ですか?」
「んー。多分平田さんね。平田六郎さん。隣村に住んでたんだけど、少し前に鬼に襲われたらしくて…。村は全滅したらしいの…。命からがら逃げて来たみたいで、ずっと怯えてるの。」
とっても可哀想な人だった。
不審者とか思ってごめんなさい。でも、勘(?)では危ない人だと思ったんだけどな。
「全滅…ですか?隣の村も化け物は入って来れないんですよね?どうしてそんなことになってしまったのですか?」
「それが分からないの。平田さんは鬼が襲って来たとしか言わないし、強い鬼がいるかも知れないから、中々確認にも行けないし。近い内にお父さんと綱太郎さんで確認に行くみたい。」
「危なそうな所に行って、二人は大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫。お父さんも綱太郎さんも物凄く強いから。」
クマさんは見た目通り、とっても強いようです。流石クマさん。
噂をしていたら、クマさんと渡辺さんが広場の方に歩いてきた。
「村の周りは以上無かったな。豆鬼しかいない。隣村に確認行くまでコータローは狩りと警戒を続けていてくれ。」
「おう。いつ確認に行くんだ?」
「もう少し六郎に聞き取りをするのと村人全員に警戒を促さないといけないから、一週間後だな。」
「分かった。一週間後だな。」
森野 熊吾郎
年齢:40代後半
魂力:25
種族:人間
職業:村長
渡辺 綱太郎
年齢:20代前半
魂力:35
種族:人間
職業:武士?
つっよ!二人とも物凄く強い。魂力20以上の人今までいなかったけど、渡辺さんなんて35。ヤバすぎる。
熊さんは恵子さんとも打ち合わせがあるようで、恵美ちゃんと三人で村長邸に帰って行った。
『瑶子よ。綱太郎の事をどう思う?』
クロちゃんが小声で話しかけてきた。
「どうって?物凄く強いね。」
ヒソヒソ話をしてみる。
『信用できると思うかの?』
「間違いなく信用出来るよ。ピキーンと来る。」
『やはりそうかの。』
ヒソヒソヒソヒソ
「なーにお嬢ちゃん達ヒソヒソ話してんだ。ちょっと聞こえてるぞ。別に良いけどよー。」
渡辺さんは耳が良いみたいです。
『何、ちょっと綱太郎にお願いがあっての。良いかの?』
「内容を聞かないと何とも言えないが何だ?桃太郎の話は忘れてないよな?」
『桃太郎の話は時間があるなら、この後してやろう。お願いというのはな、時間がある時で良いのじゃが、吾等が豆鬼を倒しに行く時に護衛をして欲しいのじゃ。』
「ん?それなら村の周りに行くだけだな。警戒のついでだし、いつでも手伝ってやるよ。とりあえず、桃太郎の話を聞かせてもらおうか。」
『助かるのじゃ。確りと給金も払うのじゃ。』
「本当は金を貰う程の事でもないが、貰えるもんは貰っておこうか。」
『うむ。仕事には対価を払うのが礼儀なのじゃ。』
黒乃株式会社はホワイト企業の様です。
そんな会社ないけど。
私の働いていた会社も見習って欲しいよ。残業代はみなし残業とか良く分かんない事言ってるし、22時以降だけ一時間200~300円だけもらえる良く分かんない仕組みだし、時給換算すると600円台だよ。バイトの最低時給以下。年間残業1,200時間オーバー。本来は年150万円~200万円は追加で貰えないとおかしいよね?何ナニ何なのよ!
『瑶子よ。聞いておるのかの?』
「え?」
『また何処かに旅立っていた様じゃな…。綱太郎に桃太郎の話をしてやるから、瑶子は式神の特訓の続きをしておるのじゃ。』
どうやら話が聞こえないくらいトリップしていたみたいです。
「分かったよ。今日こそは動かしてみせるよ!」
早速式神の操作に取り掛かる。
丹田で気を錬るイメージは完璧。手にも流していける。形代には留まってくれない。
難しい。
…
しばらく続けてみるが、やっぱり留まってくれない。全身に気を巡らせてみる。問題無く全身に行き渡る。
再び、形代に流し込み、留まらせてみる。出来ない。
名前付けたら勝手に動いてくれたんだけどなー。
式神が忍者みたいに動いたら面白いなー。桃太郎でも二回転バク宙決められるし、忍者なら空飛べたりして、紙だし。凧で飛ぶシーンとかあったよな。
んー。
「服部半蔵とか格好いいよね。」
ポツリと呟いた。
ピカッ
あ。
服部半蔵
年齢:0歳
魂力:1
種族:上位式神
職業:瑶子の式神
能力:偵察
加護:瑶子
やってしまった。名前が付いてしまった。今度は何か能力まで付いている。偵察?忍者だからかな?
まあ名前が付いてしまったものは仕方ない。折角だから、桃太郎も出し、2体に命令する。
「クロちゃんのお手伝いをしてあげて、人形劇とか楽しそうだし。」
2体が走ってクロちゃんの元に向かっていった。
服部半蔵走るのかなり速いな。
よし、式神の操作を続けるか。
…
出来た。出来たよ。とうとう出来た。
「クルクルその場を回れ!急急如律令」
クルクル回り出した。完璧だ。
「クロちゃーん!出来たよー!」
走ってクロちゃんの元へ向かった。
クロちゃんの方も話が終わったのか雑談している。
その手には犬、雉(?)、猿、鬼の形の紙を持っている。
やっぱり人形劇形式にしたのかな?
『其の様じゃな。良かったのじゃ。じゃが、順番が完全に逆じゃぞ?もう一体自律的に動く式神が増えておるようじゃし。』
「ははは…。それは失敗しちゃった。」
『普通は失敗で名が付くことないのじゃがな…。』
「桃太郎の劇面白かったぞー。ありがとなー。それはそうとお嬢ちゃん達二人とも陰陽術士なんだな?もしかして貴族か?」
ほんの少しだけ警戒した目でこちらを見ている。
「二人とも全然違うよー。貴族だと何か問題あるの?」
「いや、問題なぞないが、失礼があってはいかんなと思ってな。」
ピキーン
何か隠し事をしている香りがする。でもまあ、隠し事を暴く必要もないか。一応クロちゃんには報告しておくか。
「クロちゃん。問題は無いと思うけど、渡辺さん嘘ついて誤魔化してるよ。」
『うむ、分かっておる。誤魔化しておるな。』
ヒソヒソヒソ
「だから聞こえてるって、さっきより距離近いんだぞ。内容は秘密だ。後、瑶子も渡辺さんじゃなくて、綱太郎でいいぞ?」
やっぱりこの人サッパリして良い感じだね。顔はワイルド系イケメンだし。
「分かったー。じゃあ、コウちゃんって呼ぶね!」
「一気にフランクだな。問題はないが…。」
「あ、コウちゃん忍者とか新撰組の話とか好きなんじゃないかな?」
「忍者?新撰組?」
『そうじゃろうな。では、明日豆鬼退治の後にでもしてやろうかの。』
「内容は全く分からんが、楽しみにとくわ。」
『では、吾々は明日の連携の練習でもするかの。綱太郎はどうするかの?』
「俺は狩りにでも行って来るわ。今日は見回りのみで、まだ一匹も狩ってねーし。」
『そうか、頑張ってくるのじゃ。』
「おう。じゃーなー。」
コウちゃんは颯爽と村の外に駆けていった。
滅茶苦茶速いな。あの人が忍者みたいだ。
『練習する前に聞きたいことがあるのじゃが、真名を付けて気分が悪くなったり、何か違和感があったりはしていないかの?』
何だろう?何か問題があるのかな?
「全然無いよ。元気いっぱい。」
『其れならば、良いのじゃが。普通はの、こんなに短い期間に連続して真名を付けるの難しいのじゃ。清明並であれば出来るであろうがの。瑶子は今やっと豆鬼並じゃからな。』
豆鬼並!
私も成長したもんだ。まだ子どもには勝てないだろうけど。
「そういうものなんだね。名前を付けられないと何か問題があるの?」
『形代では問題は無い。じゃが悪行罰示式神、化け物を降伏させる時には十分に気を付けるのじゃ。失敗すると激しく襲って来るのじゃ。一回り位は強く感じるはずじゃ。』
こわっ。
普通に襲われても怖いのに。
雑魚と書いて雑魚が普通に強敵になってしまう。
「重々気を付けます。しばらくは形代に名前も付けない方が良いかな?」
『そうじゃのう…。出来るならやっても良いかもしれぬが、豆鬼にでも試すかも知れぬから控えておくかの。』
「了解だよー。とりあえず式神を自由に動かせるように頑張るよー。」
『うむ。其れでは連携を練習するかの。』
「あいあいさー。」
…
本日の洗髪も口コミにより4人集まった。興味を持っている人がかなり多いみたい。
多恵子さんが予約順を整理してくれるらしい。ちゃっかり自身の大幅な値引きと優先権を交渉している。やり手だ。
色々とお世話になってるから、元々イヤとは言えないけど。




