閑話3.君を守るために
「オババ様!何故瑶子に陰陽道を教えてはいけないのですか!?」
「気持ちは分かるが、瑶子が術を使える様になると、必ず八十神の目に留まる。普通の子として育て、出来るだけ長く存在を隠さねばならぬ。」
「それは分かりますが、八十神なぞ我々が退けてしまえば良いではないですか?」
「泰成よ。お主の力が強いことは知っておる。知っておるが…、防げぬのじゃ。どの様に占っても必ず瑶子は別世界へと連れて行かれるのじゃ。儂とて何の力も持たぬまま別世界なぞに行かせたくない。」
「では、せめて私も一緒に行くことをお許し下さい。」
「それも出来ぬ。未だ別世界に行く方法が見つからぬ。時間を稼ぎながら出来る方法を全力で探すのじゃ。時間稼ぎの後、生き残る相は出ておる。お主も玉藻も辛かろうが、堪えるのじゃ。」
悔しい。どうしてあの子なのだ。あの子を守る為なら、神を滅ぼすことも、自らの命を掛けることも厭わぬと云うのに。
「私達に出来ることは何がありますか?」
「安倍家より五年以内に、世界を渡れる可能性を持つ子が生まれてくる。その子を見つけ出すのじゃ。」
「どのように探すのですか?力や見た目に何か特徴はありますか?」
「力は清明様、見た目は葛の葉様と言った所か。白銀の髪をしておる、見れば一目で分かるはずじゃ。」
「分かりました。何か他には出来ることは何かありませんか?」
ただ生まれる子を待つ訳にはいかぬ。
「そうじゃのう。まず自身を鍛えよ。魑魅魍魎どもを成敗し、力を蓄えよ。瑶子には陰陽術は教えてならぬが、特別に武術は教えても良い。念の為に護身術と言い聞かせて教えるのじゃ。」
「はい。他には何が出来ますか?」
居ても立っても居られぬ。他には他には何かないのか?
「落ち着くのじゃ。今出来ることは他にはない。一つずつ着実にこなしていけ。我が導きの神より託宣が下れば、すぐに教えてやろう。」
「分かりました。では、これから瑶子に武術を教えに行ってきます!」
…
ヤーー
遠くから瑶子の嫌がる声が聞こえてくる。
「だから落ち着けと言うておるのに…。まだ瑶子は6才じゃぞ…。」




