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閑話2.君は天使

ブックマークありがとうございます。

一章が完結するまではノンストップで更新していく予定です。大体小説1冊分くらいになると思います。

少しずつ厨ニ感が増していくかもしれませんが、最後まで読んでいただけると嬉しいです。


瑶子の初めての七五三がやって来た。

平年より早く木々は黄色く色付いている。まるで瑶子の為に季節が準備したかの様だ、

今日は気合いの入り方が違う。一族の中からプロのカメラマンをしている者を探し出し、写真担当とビデオ担当とを用意した。瑶子の可愛さを収める準備に死角は無い。


本紋綸子(ほんもんりんず)の着物は紗綾形(さやがた)に蘭と菊をあしらった合わせ紋の黄色地。パステルカラーの鈴や桜花が多彩な刺繍で描かれており、瑶子の可愛さを引き立てている。


「玉藻。(うち)の子は何であんなに可愛いんだろう?一番輝いて無いか?」


「そうね。あなた。」


眺めているとゆっくりと転んだ。

ぺち


「あ、瑶子!」


急いで駆け寄る。起こしてあげるとはにかんだ笑顔を向けてくれる。


「痛くないか?大丈夫か?」


「うん。だいじょうぶ。」


笑顔が眩しい。


「玉藻。家の子は素晴らしく可愛いし、何て強い子何だろう?」


「そうね。あなた。」


「おててつないでおしゃしんとるの。」


「三人で並んでお写真撮りましょうね。あなた、震えてないで左手出して。」


感激に打ち震えてしまった。萌え死んでしまいそうだ。


「ああ。何て可愛いんだろうな…。」


「おかあしゃんきょうはおみみだしてるの?」


「ええ、ここだったら誰も珍しいコスプレくらいにしか思わないわ。」


沢山の朱い鳥居を抜け、本殿で祈祷してもらった。瑶子は千歳飴を貰い喜色満面。嬉しくて仕方ない様子である。


「千歳飴にはね、いつまでも元気で長生きして欲しい、という願いが込められているんだよ。私もママも瑶子にはずっと元気でいて欲しいと思っているんだよ。」


切実にずっとずっと元気でいて欲しいと思う。

彼女は千歳飴が気になるのか、飴を袋から取り出している。

袋を床に置いて、両手で飴を持ち力を入れている。彼女の力では硬く、変形もしない。どうしたいのだろう?食べやすい大きさに折りたいのだろうか?


「どうしたの?食べやすい大きさに折りたいのかい?」


「うん!!おとうしゃんとおかあしゃんにあげるの!!げんきでいてほしいの!」

瑶子は元気一杯に答えた。


私は感激のあまり、抱き締めそのまま抱え上げた。

「おとうしゃんどうしたの?」


「玉藻さん。どうやら君は天使を産んでしまったようです。どうしよう?私は世界一の幸せ者かもしれない。世界一綺麗で優しい女神みたいな奥さんに、世界一可愛いくて優しい天使が娘になってしまった!」


「私、あなたのそんな馬鹿な所、好きよ。」


「私も君を愛しているよ。玉藻も瑶子も愛しくてたまらない。」


「おとうしゃんおろして〜。」


「分かったよ。」


仕方なく瑶子を降ろす。彼女は千歳飴の袋を拾い、飴を仕舞う。走り出した。


「きつねしゃん!」


「狐さんはね。神様の使いでね、油揚げが大好物なんだよ。」


「きつねしゃんこんにちは!」


可愛いなぁと眺めていると、横から黒い気が溢れ出してきた。ちらりと横を見てみる。


神使(しんし)だか何だか知らないけど、駄狐(だぎつね)が。瑶子が挨拶しているんだから、無視してんじゃないわよ。油揚げじゃなくて、あんた達を吊るすわよ。」


怖い。

我が家の女神様はご立腹のようだ。

二体の石で作られた狐が黄色く色付き、本物の狐の様に動き出した。


「こーんこんこん。」

「こんこんこん。」


「こんこん?きつねしゃん、こんこんこんにちは!」


狐と戯れて凄く嬉しそうだ。本当に何て可愛いんだろう。貴い光景である。


「あんたら普通に喋れるでしょう?それに普通の狐でもそんな鳴き声しないでしょうが。まあ、娘が嬉しそうだから許すけど…。」


玉藻が小さな声で呟いている。私は何も聞いていない。




こんな幸せがずっと続いて欲しいと思った。

君の、君達の笑顔をずっと守りたい。








☆☆☆☆☆※※※※※※※※※☆☆☆☆☆

ストーリー外メモ


七五三の起源は平安時代辺りだと言われています。昔々、今の様に子どもの生存率は高くありませんでした。ですので7歳までは神の子として扱い、7歳を超えると初めて人の子となる訳ですね。

奇数が縁起の良い数字とされていたため、節目の3歳と5歳も祝うんですね。

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