9.髪は女の命。
読み進みて頂きありがとうございます。
『シャンプーとリンスを作るのじゃ!』
「では簡易的なシャンプーとリンスを作っていきます。まず、シャンプーですが、石鹸とおろし金を使います。石鹸をひたすらおろし粉状にします。粉にした物を水に溶かして、頭皮を洗います。」
シャカシャカと石鹸をすりおろしていく。
「そんな事で良いのかの?石鹸で髪を洗った事もあるのじゃが、髪がパサパサになってしまったのじゃ。」
シャカシャカとすりおろし続ける。
「パサパサになっちゃうよね。そこで登場するのが、リンスです。ホントは匂いの少ないクエン酸とエッセンシャルオイルが良かったのですが、背に腹は代えられません。お酢と水と香水を混ぜて作ります。」
シャカシャカ
『そんな事で良いのか?思ったより簡単じゃな。』
「商品として、売られてた物は作り方は分からないんだよねー。でも、簡単なのでも結構キレイになるんだよー。」
シャカシャカ
『楽しみじゃのう。良くこんな事を知っておるの?』
「オババ様が物知りで色々と教えてくれるの。むしろクロちゃんにま知らない事があるんだね。」
シャカシャカ
『オババ…?あやつか…(ボソッ)。吾は全知でも全能でもないのじゃ。知っている事しか知らぬし、視たいものしか、視てこなかったのじゃ。髪も肌艶も力を失うまでは何もしなくても輝いていたのじゃ。関心が向く頃には何でもは視えなくなっておったのじゃ。』
「そうだったんだねー。よし、大体これくらいあればいいかなー。次はリンスだね。リンスはそんなに長持ちしないから少しにしとこうかな。」
ジョボジョボ
『思ったより削るのが大変そうじゃったな。ワクワクしてくるのう。』
「出来た!!ではでは、使い方を実践していきましょー。お風呂が無いのが非常に残念だけど、室内に洗い場があるのはとっても親切だね。」
『そうじゃの。外じゃと湯着も用意しないといかんからのう。サラサラツヤツヤ楽しみじゃ。』
「では、クロちゃん、こういう時はやっぱり。良いではないか、良いではないか。だね!」
『脱がすでない!自分で脱げるわ!わゎ!何故だか恥ずかしいのじゃ。』
クロちゃんがあられも無い姿で胸や大事な所を隠している。
ごくり
同性だけど、とってもキレイだね。
「じゃあ、実際に洗っていくねー。まずはお湯で土埃などの汚れを落とします。」
『有り難いが、目がちょっとオカシイのじゃ!恥ずかしいのじゃ。』
恥ずかしがっているのが、唆られる。
変な扉が開いちゃいそう。
『開いちゃいそうじゃないのじゃ!』
心を読まれましたが、仕方ない。続けましょう。
「続いて粉状にした石鹸をお湯で溶かします。それを頭皮をマッサージしながら、洗っていきます。」
『凄く気持ち良いのじゃ。』
パシャパシャ
しっかり洗ってから石鹸シャンプーを綺麗に洗い流す。
「続いてはリンスです。髪全体にしっかり馴染ませていきます。酢の酸で髪が整いサラサラになります。」
『匂いが心配じゃったが、良い香りじゃな。』
「大成功だよ!防腐剤が入ってないから長持ちしないけど、これは良さそうだね。」
パシャパシャ
「完了です。ツヤツヤだね。毎日続けるともっとキレイになるかもしれないね!」
『満足なのじゃ。良いのじゃ。交代なのじゃ。』
クロちゃんが裸のまま、服を脱がせにかかってくる。
「ちょっと!私は自分で出来るから大丈夫だよ!」
『良いではないか。良いではないか。吾だけ恥ずかしいのは狡いのじゃ。存分に洗うのじゃ。』
これは恥ずかしいかも。
「いやーー。」
『わはははは。』
剥かれてしまった。
「お代官様。何だか恥ずかしいです。」
奇しくも先ほどのクロちゃんと同じ体勢になる。
逆にクロちゃんは堂々としている。
『すぐに慣れるのじゃ。まずは髪を洗ってみるのじゃ。』
パシャパシャ
土埃を落とす。
『シャンプーはこうじゃったな。溶かしてから頭皮を揉む様に洗うと。痒い所は無いかの?』
ワシャワシャ
「クロちゃん初めてなのに上手だね。気持ち良いよ。才能あるかも。」
極楽じゃ。
頭のマッサージって何でこんなに気持ちいいんだろう。
『次は洗い流してから、リンスじゃったな。』
パシャパシャ
ワシャワシャ
『良し。完了じゃ。』
パシャー
「ありがとー。気持ち良かったよー。」
『折角じゃから、身体も洗ってやろう。』
「良いよ。良いよー。自分で洗えるからー。」
お代官様再びな雰囲気だ。
『良いではないかー。』
わしゃわしゃ
「あ~れ~。」
わしゃわしゃわしゃ
洗われ揉まれ泡々だ。良く泡立つ良い石鹸だ。
「お返しだよー!」
わしゃわしゃわしゃわしゃ
『止めるのじゃ!』
わしゃわしゃわしゃわしゃわしゃ
二人揃って泡々になった。
…
……
………
「いやー。恥ずかしかったけど、楽しかったねー。」
『そうじゃの。ちとはしゃぎ過ぎたが、楽しかったの。』
「お風呂がほしくなるねー。普通の人にお風呂は普及してないのかな?」
『欲しいのう。ここは辺境の村じゃからないが、街の方にはそれなりにあるはずじゃ。街に行ったら風呂のある宿にするのじゃ。温泉も良いの。』
「温泉もあるの!?それはすごく良いね!」
『うむ。温泉は近くには無いが、この世界にもそこそこあるのじゃ。いつかは行くのじゃ。』
髪が少し乾いてきた。
ドライヤーが欲しいなー。
「楽しみだよ。クロちゃんの髪、さらにサラツヤになったね。」
さわさわ
綺麗な黒髪って憧れるね。
『うむうむ。気分が良いのう。ドライヤーも使ってみたいの。そうじゃ。これは商売になるのじゃ。』
「商売?ドライヤー作るの?」
『ドライヤーは作れぬが、シャンプーとリンスだけでも商売になるのじゃ。何処に行っても美しさとは女にとって重要なものじゃ。』
「それはそうだね。でもシャンプーもリンスも作るの簡単だから、自分達で皆作っちゃうと思うよ。」
『そうじゃの。真似出来てしまうので、莫大な利益とは行かないかも知れぬの。じゃが、上手くやればそれなりには儲けられるのじゃ。路銀を補充してみせるのじゃ。吾に任せておけ。』
流石お大尽様。
商売は得意なのかな?
「分かりませんが、分かりました。お任せ致します。私は精一杯働くよー。」
「すみませーん。夕御飯をお持ち致しましたー。」
多恵子さんの声が外から聞こえてきた。
「はーい。すぐ開けまーす。」
カチャ。ガラガラガラ。
多恵子さんが食器を持ち、後ろでクマさんが鍋とおひつを持っていた。
二人並ぶと親子にしか見えない。
やっぱり多恵子さん若すぎる。
「今日は猪鍋です。綱太郎さんがたくさん狩ってきてくれたんですよ。食卓の上に置かせていただきますね。」
「ありがとうございます。すごく良い匂いですね。」
じーっ。
「多恵は料理上手だからな。自慢の嫁だよ。」
じーっ。
多恵子さんが私とクロちゃんを交互に見ている。
どうしたんだろう?
「すみません。お二人ともお昼より髪の毛の艶がましてませんか?椿油ではないようですが…。」
あ。
リンスだ。多恵子さん目敏い。
『ふふふ。やはり気になるじゃろ?滞在する間、村で髪を綺麗にする商売をしようと思うのじゃが、良いかの?』
「うーむ。村人は適正価格を知るのが難しいから、ワシが仕入れたものを、適正価格で販売するようにしているから、直接販売の許可を出しづらい。商品はあるのか?」
『商品は有るが、今の所販売する予定はないの。吾らが髪を綺麗にしてお代をもらうつもりなのじゃ。駄目かの?』
「うーむ…。」
クマさんが唸っている。
「私で試してみて値段も含めて良さそうでしたら、許可しましょう。お幾らの予定ですか?」
『金貨一枚の予定じゃ。徐々に値段は下げるかもしれぬ。』
「金貨一枚!多恵、そんなに簡単に決めてもいかんだろう。せめて寄り合いで話してからでも…。」
「何を言ってるんですか!寄り合いで決まらない内にお二人が旅に立ってしまったら暴動が起きますよ!何よりも私が怒ります!!村長が仕入れをするのは村人が騙されないためです。村長が認め、村人も納得すれば誰も文句を言う人はいません!」
すごい。
気付けば商談が始まり、気付けば味方が出来てる。
クロちゃんの腕ハンパないよ。
多恵子さんの勢いもハンパない。
「分かった分かった。多恵が試して問題なさそうだったら、商売しても構わん。」
クマさんお尻に敷かれちゃってるんですね。
亭主関白かと思ってました。
「では、金貨持って来ますので、いつから始められますか?お食事後にはいかがですか?」
すごい。
勢いが止まらない。これは断れなさそうだ。
チラリ
クロちゃんが頷いている。
「大丈夫ですよ。ご飯を頂き次第やりますね。」
「やった。楽しみにしてますね!」
多恵子さん嬉しそうだ。
ルンルンで戻っていった。
これがWin-Winというやつか。
いきなり一万円の収入が確定。
クロちゃんハンパないって。
この手腕でどうして新興宗教成功しなかったんだろう?
…
……
………
多恵子さんは大変満足され、また受けに来るそうです。
ただ、少し問題が発生しました。本日はそのまま裸になってもらい、洗髪しました。
濡れても良い湯着の様な物が必要だね。
でも、多恵子さん何であんなに色っぽいのでしょう?
年齢詐称ではないでしょうか?
『恐らく宣伝せずとも、洗髪して欲しい人は集まるじゃろう。一日上限六人に限定するのじゃ。濡れても良い格好で来てもらい、欲を言えば深く凭れられる洗髪のし易い椅子が二脚欲しいの。』
「早速改善点が見つかったね。でも、どうして六人だけなの?そんなには時間掛からないから、二人でやればたくさん出来るよ?」
大儲けだね¥¥
『手に入り辛い物や事の方が人は欲しくなるから限定するのじゃ。其れとじゃな、力を得るために時間を使う方が重要なのじゃ。最低限の準備は出来たから、明日から特訓を開始するのじゃ。』
明日から特訓をするらしい。
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ストーリー外メモ
最近はお代官様の
「良いではないか。良いではないか。」「あ〜れ〜」や「越後屋、お主も悪よのう。」「お代官様こそ。」という時代劇を見た事ある若者は減って来たのですかね?
後輩の子に「忠臣蔵」を知らないと言われた時は、本当に衝撃を受けました。
殿中でござる。




