表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/44

一.白銀の



 しんしん しんしん


何も見えない


 しんしん しんしん


何も聞こえない


 しんしん しんしん


雪は僕を取り込み、

世界は白に包まれた。


無音の中、

雪が降り積もっていく。

辺り一面白銀の世界。

穢れの無いその世界には、

生き物の気配は存在しない。

静寂だけが広がっていた。


僕は空から世界を見ていた。

ここには何も無い。

意地悪する人もいない。

優しくしてくれる人もいない。

寂しいけれど不安もない。


燃え盛る太陽の様でウェーブがかかった長い赤い髪。

意思の強そうな大きな瞳は宝石の様で、金色(こんじき)に輝いている。

健康的で艶やかな肌は汗ばみ、頬は桜色に上気(じょうき)している。


きれい


彼女は焦っている様だった。

走っては止まり大きな声を出すということを繰り返していた。


なにをしているのかな


「春愛希くーん!どこにいるのー!?春愛希くーん!!」


ぼく?ぼくはここにいるよ?


「春愛希くーん!返事をしてー!!」


おねえちゃんにはぼくのこえはきこえないみたいだ


どれくらいそうしていだろう。

彼女は何かに気がついたようで、走ってきた。

そこには僕がいた。


「見つけた!春愛希君大丈夫!?」


全身の雪を払い抱きしめている。


「冷たい!息してない!!死んじゃ駄目よ!!」


彼女から赤い靄の様な何かが見える。

コートを脱ぎ、僕を包んだ。


さむそう


心臓マッサージと人工呼吸を繰り返す。

赤い靄の様な何かも僕の中に入っていく。


「戻ってきて!お願い!!」


トクン


僕の心臓が動き出した。

目の前には泣き顔のお姉ちゃんがいた。

僕のせいでお姉ちゃんを泣かせてしまった。


「なかないで。」


「良かった!良かったよ!!お姉ちゃんと家に帰ろう!」


暖かい。

安心する。

この人と一緒にいたいと思った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ