一.白銀の
雪
しんしん しんしん
何も見えない
しんしん しんしん
何も聞こえない
しんしん しんしん
雪は僕を取り込み、
世界は白に包まれた。
無音の中、
雪が降り積もっていく。
辺り一面白銀の世界。
穢れの無いその世界には、
生き物の気配は存在しない。
静寂だけが広がっていた。
僕は空から世界を見ていた。
ここには何も無い。
意地悪する人もいない。
優しくしてくれる人もいない。
寂しいけれど不安もない。
燃え盛る太陽の様でウェーブがかかった長い赤い髪。
意思の強そうな大きな瞳は宝石の様で、金色に輝いている。
健康的で艶やかな肌は汗ばみ、頬は桜色に上気している。
きれい
彼女は焦っている様だった。
走っては止まり大きな声を出すということを繰り返していた。
なにをしているのかな
「春愛希くーん!どこにいるのー!?春愛希くーん!!」
ぼく?ぼくはここにいるよ?
「春愛希くーん!返事をしてー!!」
おねえちゃんにはぼくのこえはきこえないみたいだ
どれくらいそうしていだろう。
彼女は何かに気がついたようで、走ってきた。
そこには僕がいた。
「見つけた!春愛希君大丈夫!?」
全身の雪を払い抱きしめている。
「冷たい!息してない!!死んじゃ駄目よ!!」
彼女から赤い靄の様な何かが見える。
コートを脱ぎ、僕を包んだ。
さむそう
心臓マッサージと人工呼吸を繰り返す。
赤い靄の様な何かも僕の中に入っていく。
「戻ってきて!お願い!!」
トクン
僕の心臓が動き出した。
目の前には泣き顔のお姉ちゃんがいた。
僕のせいでお姉ちゃんを泣かせてしまった。
「なかないで。」
「良かった!良かったよ!!お姉ちゃんと家に帰ろう!」
暖かい。
安心する。
この人と一緒にいたいと思った。




