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幼馴染に告白したら「無理」と断られた。一年後、彼女に逆告白されたけど、「もう遅いよ」とちょっとだけ意地悪してみた

作者: 久野真一
掲載日:2021/05/27

春香(はるか)。ずっと、ずっと、好きだった。恋人になって欲しい」


 秋風が吹く校舎裏で、僕は精いっぱいの勇気を振り絞った。

 僕は、堀内浩二(ほりうちこうじ)

 彼女からは、「こう君」と呼ばれている。


 もう十月だというのに、喉はカラカラで、額からは汗がだらだらだ。


「そっか、ありがとね。こう君」


 困ったような笑顔を浮かべた春香を見て、次に続く言葉がわかってしまった。

 付き合いが長いのも考えものだ。


「でも無理だよ、こう君。私は付き合えない」


 ああ、やっぱりかという思い。

 谷底に突き落とされたような思い。

 二つの感情がないまぜになった。


「ありがとう、春香。ちゃんと振ってくれて」


 春香は数少ない僕の友達の一人だ。

 彼女は優しいから、僕を哀れんでよく一緒に居てくれたんだろう。


「でもね。こう君と恋人になるのは無理だけど、友達では居たいから」


 春香なりの善意だったんだろう。

 でも、それはやっぱり少しつらい。


「根暗な僕でも、友達では居てくれるって事?」


 教室の隅で、僕はよく本を読んでいる。

 お陰で、そう呼ぶ奴らが居るのを知っている。

 だから、自嘲気味に聞いたのだけど。


「もう!そうやって、すぐ自分を卑下するところは駄目だよ!こう君!」


 彼女の反応は予想外のものだった。

 目に灯ったのは激しい怒りの色。


「な、なんで怒られるの?春香は僕を振ったんでしょ?」


 春香の言いたいことがわからなかった。


「ねえ。考えてみて?私は、本当に、こう君の事は友達だと思ってる」

「う、うん……」

「自分を卑下するような人が友達で、私が嬉しいとでも思う?」


 その言葉で、彼女の言いたいことがわかった。

 でも、そんな事言ったって……という気持ちもあった。


「うん。良くなかった。これから、色々頑張ってみるよ……」


 泣きたい気持ちでいっぱいで、僕は走り去った。 

 こんな根暗で卑屈な野郎は振られて当然だという気持ち。

 でも、春香は僕のそんな部分もわかってくれていたはずなのに。

 卑屈になってしまう部分を理解してくれないのか。

 なんて、恨みがましい気持ち。


 その夜、僕は一晩中泣きはらした。

 翌朝、僕は決心した。


「変わろう。春香の友達として恥ずかしくないように」


 傷ついた気持ちは消えなかったけど、彼女の言いたいこともよくわかった。

 一晩、落ち着いて考えてみれば、春香はわかった上で指摘してくれたはずなんだ。

 もう卑屈になるのは止めてと。


 それから、僕は自己啓発書やら会話術の本やらを色々買い込んで来た。

 いきなり卑屈になるな、と言っても、僕にはきっと無理だ。

 だから、まずは、自分を見つめ直すためには参考書だ、という考えだ。


 そして、身だしなみをキッチリするようにした。

 考えてみれば、制服のシャツはヨレヨレな事が多かった。

 「身だしなみがきちんとしていないと、中身も相応に見られます」

 そんな言葉が参考書には踊っていた。

 

 次に、僕は毎日、積極的に、誰かに話しかけてみた。

 僕が、「違う世界の住人」と思っていた陽キャたちにも。


「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」


 我ながらうまく無い言い回しだった。

 でも、「傷つくことを恐れていては、始まらない」。

 そんな事が本に書いてあった。

 僕の現状にピタリと当てはまっていたから、グサっと来た。


「堀内か?どーしたんだよ?そんな真剣な顔して」


 陽キャグループの一人、守口陽太(もりぐちようた)の返事は簡素だった。

 僕は、陰キャな僕がいきなり会話に入って嘲笑されると思っていた。

 でも、守口は特に気にした様子もなく、単に疑問に思うだけの声。


「ああ、いや。今日から根暗な自分を変えようと思って」


 て、これだけだと伝わらないか。

 

「……その。だから、ちょっと話しかけてみたんだ」

 

 しばらくの間、守口のグループはシーンとしていた。

 やっぱり、そんな事いきなり言うなんて変だよね。


 聞こえて来るのは押し殺した笑い。

 ああ、こういうのが嫌だったんだ。

 それでも一歩を踏み出した。

 でも、次の一言は予想外だった。


「お前、思ってたより、ガッツあるんだな。ちょっと意外だった」

「うんうん。むしろ、一生懸命なところが、可愛くて萌える」


 同じグループの女の子の言葉。


「ふー。堀内君、前から見てて思ったんだけど」


 やっぱり同じグループでサバサバしていた子が立ち上がった。


「え、ええと。なに?」

「根暗とか、自分のことを卑下し過ぎ!」


 びしっと指を向けて、断言されてしまった。


「ちょ、寛子(ひろこ)。もうちょっと、言葉選びなさいよ!」

秋菜(あきな)は優しいけど、きっちり言ってあげないと」


 最初に、可愛くて萌える、と言っていた子。秋菜さんと言うらしい。


「あのね。はっきり言って、堀内君、前から自分を卑下し過ぎ。別に、他の人のほとんどは、君が根暗とかいちいち気にしてないよ。逆に、自分をそう言ってたら、人は離れてっちゃうよ」

「うん。それはその通り。ごめん」


 春香に言われた言葉そのままだった。

 一歩を踏み出したはずだけど、つい、癖で「根暗」と言ってしまった。


「だーかーら。別に今のままでも、誰も嫌ったりしないから。堂々としていいの!」


 何が腹立たしいのか、苛立たしげな寛子さん。


「でも、僕は、もやしっ子で、スポーツも出来ないし」


 言いながら、やっぱり、卑下を自ら体現してしまっている事に気づく。

 一日でそんなにすぐは人間変われないということだよね。

 

「もー。だーかーらー!」


 そして、僕の態度に、ますますお冠な寛子さん。


「落ち着け、寛子。いきなり変われとか無理強いすんなよ」


 と思ったら、守口の制止の言葉。


「悪かったな。寛子の奴、見ていられないとなると、説教し出すからさ」


 まあ、とにかく、と。


「そこ、座れよ。考えてみれば、お前とはロクに話したことなかったし」


 と、空いている席を寄せて来て、着席を勧められた。

 それから、何の本が好きだとか、どんな漫画を読んでいるだとか。

 家では何してるだとか、色々な事を聞かれた。


 てっきり、僕なんて誰にも相手にされないと思っていたのに。


(そっか。僕は、自分で勝手に殻を作っていたのか)


 その夜、僕が思ったのはそんなことだった。

 守口、いや、陽太のグループのラインには既に入れてもらった。

 別に、僕のことは全然気にしていない様子だった。

 他の二人も、特に異論はないようだった。

 

(よし。明日から、もっと、頑張ってみよう)


 会話は一歩を踏み出せた。次は、身体を鍛えよう。

 もやしっ子だと、自分を決めつけて、何もしていなかった。

 でも、「継続は力なり」と本にもあったし、始めないと。


 そんな風にして、ジョギングも始めてみた。


 それから、僕は、少しずつ新しい体験をすることになった。

 たとえば、陽太たちのグループで、一緒に遊びに行ったり。

 ゲーセンで皆と一緒に遊ぶなんて初めての経験だった。

 そんな経験は、春香と二人で、くらいだった。


 他のクラスの連中だって、話してみれば、悪い奴は多くなかった。

 僕にいきなり話しかけられて、驚いていた奴はいたけど。


 自分を変えようと色々始めて、一ヶ月経った頃。

 放課後、帰り支度をしようとした僕の横から、


「あの、こう君。その、一ヶ月前の事だけど……」


 何か言い出しづらそうな表情と声色の春香。


「謝らなくていいよ。春香の言いたいことはなんとなくわかるよ」

「え?」

「どうせ、振っちゃったけど、言い過ぎた。って思ってるんでしょ?」


 彼女への想いが消えたわけじゃない。

 でも、「卑下し過ぎ」と言ってくれたことにはむしろ感謝している。

 

「ええと、それもだけど。そういうんじゃなくて……」

「大丈夫。僕もそれで距離置いたりしないから。また明日」

「……うん。じゃあ、また、明日」


 その後も何か言いたそうな春香だったけど、本当に、気にしないでいいのに。

 もちろん、一ヶ月程度で、僕が変われたとは言えない。

 でも、今になってみれば、以前の僕が殻に閉じこもっていたのは明らかだった。


 別に会話がうまくなくても、スポーツが出来なくても。

 受け入れてくれる人は受け入れてくれる。それがわかった。

 逆にそれ故だろうか。

 かえって、それからの僕は自主的に鍛えたりするのが趣味になっていった。

 不思議な感覚だった。ここに居ていいと思えるから、安心して前を向けるなんて。


(でも、小学校から、先月まで。僕は本当に卑屈だった)


 そんな僕を彼氏にしたいなんて、春香が思わないのは当然だ。

 ちなみに、彼女は昔から、時折、激昂する癖があった。

 それを後悔して、後日に謝ってくれることがよくあった。

 今も、NOの返事だけで良かったのに、て後悔してるんだろう。

 本当に、春香は優しいんだから。


 さらに一ヶ月が経った。

 ほとぼりが冷めたのか、僕と春香は再び一緒に登校するようになっていた。

 今度は、普通の友達として。


「なんか、こう君、すっかり変わったね」


 なんだろう。

 春香の顔に少し陰がある気がする。


「一応、自分磨きっていうか。僕もやれば出来るでしょ?」


 ちょっとおどけて調子に乗ってみた。

 こういうのも、陽太たちから学んだことだった。

 真面目なだけじゃなくて、ユーモアも大切なんだと。


「調子に乗り過ぎ!そんなにすぐ変わらないんだから」

「それもそうだね」


 心の底では、気がつくと卑屈な面が顔を出しそうになる。

 でも、そんな事を友達はよく思わないことは既に知っている。

 意識的に抑えているだけだ。


「でも、今度は、私が頑張る番なのかなあ……」


 誰にともなくつぶやいた春香の言葉。


「頑張るって?春香は皆からの人気あるでしょ?」


 別に、成績優秀、スポーツ万能とかそんなお伽噺のヒロインじゃない。

 でも、明るく、誰に対してもフランクな彼女は人気があった。

 容姿だって、可愛い系ということで人気もある。


「ううん。もっと、違うこと。私の心の問題」


 そう言った春香は、恐ろしい程、真剣な目つきをしていた。


「僕で良ければ相談に乗るよ?付き合い長いしさ」

「ううん。いいの。私が解決しないといけない問題だから」


 春香が頑固なのは、よく知っていた。

 だから、これ以上言っても仕方ないだろう。


「わかった。でも、無理しないでね。春香は親友だから」


 告白して、振られて、親友というのは、白々しいかもしれない。

 でも、女として以前に、彼女の事はずっと大切だった。


「そうだよね。こう君は昔から、そういう子だった」


 クスっと少し可笑しそうな笑い声。

 少し懐かしい気がした。


「子って。春香には、よく世話焼かれてたけどさ」


 小学校の頃から人の輪に馴染めない僕を助けてくれたのは、いつも彼女。

 からかいから守ってくれたのも彼女。

 思えば、春香は、僕の姉のような気持ちなんだろうか。


「ごめんごめん」

「いいけどね。僕だって、もう独り立ちしてるんだから」

「今でも気にしてるの?お姉さんぶってた事」

「そりゃあもう、ね」

「別に今はそんな事思ってないよ?」

「僕は、まだ覚えてるからね。卑屈過ぎって説教されたこと」


 ちょっと冗談めかしてみる。


「あ、それは、本当にごめん。あんな事言うつもりじゃなくて」


 と慌てて謝ろうとするけど、


「気にしなくていいって。僕のためを思って叱ってくれたんでしょ?」

「……」

「本当に感謝してるから。これからも友達で居てよ」


 もちろん、半分はやせ我慢だった。

 でも、もう半分は本音で、彼女は親友でもあると思う。


「うん……」


 何故だか、春香は泣きそうだった。


 さらに季節は巡って、一年近くが経った。


【明日、放課後に話あるんだけど、いい?】

【いいけど、ラインじゃ駄目なの?】

【うん。ちゃんと、顔を見て話さないとだから】

【わかった。じゃあ、明日の放課後】

【あ、それと、学校から帰ってから、例の公園で】

【また懐かしいね。でも、なんで帰ってから?】

【ちょっと、私なりの勝負だから】


 夜に彼女と、そんなやり取りをしていた。


(まさか、告白……なんてないよね)


 だって、僕は一年前に振られたのだ。

 今はもういい思い出だと、そう言える。

 まあ、もちろん、彼女から逆に言ってくれるなら。

 そう思わないでもないけど、ないない。


(さて、小説でも読むか)


 スマホをいじって、『小説家を目指そう!』のページを開く。

 その一位は、


『僕を手ひどく振った幼馴染。ダイエットをして、モテモテになった後で、言い寄って来たけど、もう遅い』


 というものだった。


「なんだか、趣味悪いなあ」


 思ったのは、そんな事だった。もう遅いって。


(でも……)


 主人公を振った幼馴染。

 努力して、他の女の子に好かれるようになった主人公。

 なんとなく、状況が符合して、苦笑いしてしまう。


(現実には、モテモテなんてことはないんだけどね)


 一年前から、一日おきに、走り続けた。

 食事制限も合わせて、細マッチョと言っていい体格になった僕。

 そのせいか、以前よりも女子からは人気があるように思う。

 それに、話すときもどもる癖が出なくなったし。


 でも、せいぜい学校で仲良くおしゃべりしたり

 あるいは、陽太をはじめとした皆と一緒に遊ぶ程度だ。


(きっと、春香から何か相談でもあるんだろう)


 最近の彼女は何か言いたげなことが多そうだったから。


◇◇◇◇


「こう君。ずっと、好きでした。付き合ってくれませんか?」


 翌日の放課後、彼女から告げられた言葉は予想外のものだった。

 思えば、服装も、パンツルックを好む彼女らしくもなく清楚系な

 スカート。上は白いワンピース。しかも、イヤリングまでしている。

 待ち合わせ場所に来たときに、何か妙な気はした。


「ええと。冗談、じゃないよね?」


 だって、春香は一年前、僕を振ったはず。


「ううん。冗談なんかじゃない。私の、本気の本気。服見たらわかるよね?」

「うん。それはなんとなく」


 以前よりも女の子の服にも幾分詳しくなった。

 わざわざ、僕と会うために、こういう服に着替えてくる。

 つまりは、そういうことなんだろう。


「でも、君は僕を一年前に振ったよね。気が変わった、ということ?」


 もちろん、だとしても、嬉しい気持ちでいっぱいだ。

 それにしても、不審感は残るけど。


「ううん。少し、違うかな。あの時も、嬉しかったし。好きの気持ちも、結構あったの。でも、恋をしている程かというと、そこまでの自信はなかったし。そんな気持ちで付き合うのは失礼だから、断ったの」

「なるほどね。なんとなく、納得言ったよ」

「でも、卑下しないで、ってきつく言ったのは、ずっと、ずっと、後悔してたの。だって、私はこう君が自信がないこと、ずっと前から知っていたはずなのに。つい、イラっとして、あんな事言っちゃって」


 少し、落ち込み気味にそう締めくくった春香。


「春香が、気にしてるのはわかるよ。でも、だから、僕は、少しは変われたんだ」

「少しは、て。相変わらず、自信がないんだから」

「そこは、簡単には変わらないよ」

「そうかも。それに、そこまで変わっちゃったら、私も戸惑うよ」

「だよね」

「でもね。ずっと前から、こう君は優しくて、いい人だったけど」

「それは、ありがとう。うん」

「今は、凄く、いい男の子になったと思う」


 掛け値なしの褒め言葉を送られて、少し照れてしまう。


「だから、今度は私からの告白。それは、今どうかだけじゃなくて、あの日からずっと頑張ってたのを見てたから。でも、今度はこう君が判断する番。私なんかの告白、断ってくれていいから」


 なんか、と言いつつ、真っ直ぐ僕を見据えての真剣な言葉。


「なんか、って。人に卑下するなって言っといて、今度は春香が卑下してるよ」


 一年前と立場が逆転してて、少しおかしくなってしまう。


「だって、私は、なんとなく生きてて、それなりに友達が居て、ただラッキーだっただけ。こう君は、全部、一から頑張ったんだから、私よりもよっぽど凄いよ」

「ねえ。振られてから、一ヶ月後くらいからかな。ファッションとか、急に凄い気を遣い始めた気がしてたんだけど」


 あの時は、流していたけど。もしかして。


「だって、こう君が凄く頑張ってるのに、私が今の自分に胡座かいてたら、愛想つかされちゃうと思ったし。あの時、友達としての好きが、だいぶ恋に変わり始めてたんだ」


 照れくさそうな春香。


「でも、それだったら、あの時に今度は春香の方から告白してくれたら……」

「だって。振っておいて、一ヶ月後とか、言いにくいよ」

「そっか。そういうものかも」


 不思議な気分だった。

 元はといえば、彼女から振られたのが発端。

 それから、変わろうとあがき始めて一年間。

 今度は逆に告白されるなんて。


「それで、返事は、どうかな?」


 さすがに恥ずかしいのか、春香は俯いていた。


「そうだね……」


 少し考えて、YESを返しそうになって、昨日タイトルだけ見た小説を思い出す。

 一度振られたんだ。これくらい意趣返ししたっていいだろう。


「一度、振っておいて、今更、好きだなんて。《《もう遅い》》よ」


 我ながら、少し意地悪が過ぎるかもしれない。


「そうだよね。あの時に振っておいて、虫がいいよね。ごめんなさい」


 と、とぼとぼとと背を向けて去ろうとしてしまった。

 ちょっとやり過ぎた。


「あ、ごめん、ごめん。それ、冗談だから」

「じょ、冗談?」


 振り向いた春香は、目を白黒とさせていた。


「うん。昨日見た、ネット小説で、一度主人公を振った女の子が告白してくるけど、「もう遅い」って言うのがあったから。ちょっとやってみたくなったんだ」


 そんな意地悪を思いつくようになったのも、一年前からの変化かもしれない。


「もう。それ、ひどいよ。私、本当に真剣だったのに」

「ごめん。あの時のこと思い出して、ちょっとした仕返しのつもりだったんだ」

「こう君、随分意地悪になったよね。あの時のこう君の方が良かったかも」

「ええ?卑下しないように、僕なりに頑張ったのに」

「うそうそ」

「春香……からかったね?」

「こう君が変な意地悪するからでしょ」


 なんて、言い合って、お互い、ゲラゲラと笑っていた。


「なんか、僕も変わったと思ってたけど。そんなに変わっていなかったかも」


 唐突に思い出したのは、二人で一緒にゲームをプレイしていた昔の光景。

 レースゲームで、僕はよく、彼女に意地悪をするのが好きだった。

 考えてみれば、さっきのもそういうことかもしれない。


「そうだね。忘れてたけど、こう君、結構、意地悪が好きだったよね」

「じゃあその。あらためて、今度は恋人になっていい、んだよね?」

「私からお願いしたんだけど。うん。恋人になりたい」


 晴れた秋の空で、僕たちは、お互いにそう言って笑いあったのだった。

というわけで、一人の男の子が変わろうとするお話なのでした。


現実世界(恋愛)ランキングを見てて、上位に殺伐としたのが並んでたので、

こういうお話もあっていいんじゃないかなと思ったのが、書いたきっかけでした。


楽しんでいただけたら、ページ下部から【★★★★★】をタップして評価いただけると嬉しいです。あと、よければ感想やブクマ登録も頂けると励みになります。


ではでは。

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― 新着の感想 ―
[一言] 私もウジウジしていた自分を変えるべく、高校からちょっとした努力をするようになりました まともな恋愛をしたのは23才の頃でしたので、浩二くんがうらやましい〜 昔を思い出して懐かしくなりました
[良い点] ハッピーエンドが一番やな
[一言] 読点が多すぎる気がします。多いと話の中にスムーズに入れなくなるので、会話の中ぐらい少なくしてみれば?実際に喋っててこんなに読点いれませんよね普通。
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