誰が為に其れを求めたか
ピンとくるタイトル名やキーワードが迷子です。
人物像薄めです。
文字の羅列で重ねたい所は重ねたいので、放置してます、ごめんなさい。
「ニュークス侯爵令嬢、アリアよ!ブレッド男爵令嬢メアリーをことごとく苛めた罪により、お前との婚約を破棄させて貰うっ!!」
卒業パーティーの会場に、私の、いや、元婚約者である王太子である、フィリップ・シード・クライアスは声高々に私を断罪する
「私は何もしておりません!何かの間違いでは?」
といいつつも、私は冷や汗をかいた
証拠は大方集められ準備は出来ているはず
もう、駄目なの……と口を一文字に閉じる
ここまでやって来たのだ
相手も馬鹿ではない
協力者であった王弟が封じられた
だからこそここまでやってこれたというのに
「婚約は破棄されるのですか?決定ですか?」
あの人の顏が浮かぶ
可哀想に、無実の罪で断罪されるなんて思わなかった事だろう
「ああ、決定だ!それは覆らない!いやそれより何故己の罪を認めないっ!!」
今思うのは彼の、元婚約者の姿をあの人が見なくてすんで良かった、それだけだ
「私は彼女を知りませんし、私が苛めた覚えも、誰かにやらせた覚えもありませんわ……アリア・ニュークスは無実にございます」
凛として答えるとメアリー男爵令嬢はフィリップの腕にすがりつき涙を溢す
よくやるものだと俺は呆れる
これ以上は無理だ
こじ開けるしかない
深く溜め息をはいた後、ヴィッグに手を伸ばす
そして床に其れを叩きつけた
「婚約破棄は受け入れましょう!だが、俺に王家の花をくださいっ!!!」
誰もが驚いて俺を見る
姉、アリアには、病弱な弟がいる。とされていた
それが俺だ
「誰が誰を苛めたんだっけ!?」
俺はメアリー男爵令嬢を睨み付ける
俺は忙しくて誰かに気をやる時間はなかった
苛めをするほど暇ではない
そして、姉がそれを出来るはずがない
家で眠り続けている姉が出来るはずもない
また、優しい姉が誰がを貶める等出来るはずもないのだ
フィリップはどうやら思い当たったようだ
王家の花は、王家のみが立ち入る事が出来るプライベートガーデンにある花だ
俺達はその花を求めて、姉に成り代わり、婚約を得て王家に入り花を得ようと頑張ってきた
「ロッド……なのか?」
「説明は省く、御遊戯会は終わりにしたい
姉が《あの日》から呪いを受け眠り続けている、といえばわかるか?」
「本当か!?本当なのかロッド!!!」
無言で頷く
情報は敵方に悟られる訳にはいかない
フィリップはふらっと此方によろうとするも、メアリー男爵令嬢がさらにすがり付く
が、鎖をはずすように、そっと彼の取り巻きにメアリー男爵令嬢の手を払い、後は任せたと彼女を押しつけた
そして俺達は会場を後にする
誰も近づかせるな!と扉の兵士に言いつけて
幼少の事だ
フィリップをまもろうとした姉アリアは彼の代わりに呪いを受けて、眠り続けてしまったのである
最初はフィリップのお見舞いも受け付けていたが、姉の容態がおかしい為、別館に彼女を匿い、代わりに彼女と容姿が似ていた俺が、一旦彼女の身代わりにたったのだった
最初は父と仲の良い王弟が連れだってくれたので、王宮図書館にも入れて、呪いを解く方法を探し求められていた
そしてわずかに這い寄る不穏を感じる事もあった
だから従兄弟のリドにも協力してもらった
そして呪いを解く方法として上がったのが、王家の花に関する文献だったのだ
王弟ならばそのガーデンに入れると思った矢先に相手にしてやられた
彼らのたてた冤罪により、王弟は王籍を奪われてしまい、花の入手経路を断たれてしまった
そして、事を荒立てたくない我が家は、俺を姉として入籍させることでどうにか花を手にいれようと頑張ってきた
もちろん、フィリップ自身に何度か花を強請ったものの断られ続けて今に至る
今騒いだ事がいつ相手に知れるかわからないが、当時は勢力図を乱す事を憚られた為に、敵を泳がせつつ証拠集めといつでも動けるもの達を集めて準備はしてきた
フィリップは慟哭していた
自分は何をしてきた?
何故そこまでアリアを想わなかった?
どうして彼らは自分に相談してくれなかったのか?
何故、花の必要性を問わなかった?
何気なく避けられていたのはわかってた
でも其れを放置して、何故他の事にかまけてしまったのか
そして、何故アリアの顔が思い浮かばないのか
ロッドに似ているというのに、思い浮かばない
彼女の声も忘れてしまった
俺はフィリップに今までの事を事細かに伝えつつプライベートガーデンへと足を伸ばしていた
少なくとも今ついてる騎士は俺達の味方のようで、辺りを警戒してくれている
ガーデンにつくとフィリップはロッドをつれて花を探した
文献にあった花をありったけ摘むと侍女が簡易に花束へと形を揃えてくれる
裏手に停めてあった家紋なしの馬車まで移動するとリドが待機していた
「じいさんつれてきた、じいさんの御者テクニックは荒いが迎撃に強いから安心してくれ、ま、早く乗り込んでくれ!」
従兄弟のリドの家系は辺境伯で、各スペシャリストが育ちやすい領地で、親世代で一時期王弟含めた三バカトリオをやってたらしく荒事に向いていた
自身の馬車や王家の馬車は身元がばれやすくなるので別に用意した馬車で領地へ向かった
それでも何度かの襲撃(ただの荒くれ含む)を退け領内に入る
がそこにも敵は待ち伏せていた
本陣にして囮、として我が家は取り囲まれていた
が、ニュークス邸にて立ち向かう男達は、リド達が連れてきた猛者ばかりだ
リドは足早に先陣を切り邸内への活路を開いてくれた
「眠り姫に宜しくなっ!!」
そしてその頃、相手の本陣には父と兄が詰め寄り、証拠を持って黒幕を捕らえていることだろう
元の部屋に彼女は戻されていた
いくらかは治癒治療師により延命処置はされてるとはいえ、彼女は細く痩せ衰え、ただ静かに眠っている
其れを見たフィリップはその場で崩れ落ちる
「貴方が王となったとき、姉はこの世にいないそうです」
と、彼を断罪するかのようにいい、着替えをしに自室に戻る
ドレスはもう着たくない
簡単に着替えると、側に置いた文献を手に姉の部屋に戻る
フィリップは姉の手をとり呟いていた
「文献では、《王家の花の雫》を飲ませる、とあった」
が、《雫》がなんであるのかわからない
「何か知ってる事はあるか?」と問うと顔を横に降るばかりだ
彼はただただ花束を抱き締める
「知らないんだ、何もかも、どうすればよかったのかも、どうして気付いてあげられなかったのかも」
遠い日の彼女の手の温もりを思い出す
彼女の笑みを思い出す
彼女の声を思い出す
彼女を想いフィリップは涙する
彼女を抱き締めるように、涙をぼろぼろと
「アリア……」
涙が頬を伝い、花片を伝い、蜜と溶け合う
「アリア……」
ぼくをみて、アリア
いっしょにいて、アリア
だいすきだよ、アリア
花がゆっくりと光を放つ
フィリップは顔をあげ、ロッドは光る花の雫を飲ませるように彼を促す
溢れないように溢さないように慎重にアリアの口に雫を流し込む
輝く雫は彼女の中に滑り落ち、そして彼女もゆっくりと光を放つ
彼らは光が収まるのを待った
光が消え去ると、白い肌に赤みがさし、動かなかった指がピクリと動く
そしてゆっくりとアリアは目を開く
彼女は手を動かそうとするも重く、それでもフィリップに呼び掛ける
「フィル、大丈夫な…の…?」
まだ視覚も何も朧気なのだろう
多々ある違和感の中、彼女が呪いを受けた当時の続きのようにフィリップの事を心配していた
(ああ私、フィルを護れたんだ……)
と、再びそっと意識を解き放つ
その場にいたものは皆、涙し嗚咽した
外ではリドらが、敵の全てを打ち、何人かは仕留め、ゲロしそうな奴等を捕縛し情報を吐かせた
呪いを放った実行犯は当時すぐに捕らえたものの、吐かせる手前に誰かに殺されていた
フィリップが絡んでいただけに王宮内での処罰であったが、王宮内に敵の手が潜んでいたらしく伝手を絶たれてしまった
思い当たる人物はいれど、つながる手段を打たれていたために後手にまわった
王弟と共に色々手を尽くしたが、呪いを解く過程で敵の冤罪で王弟は籍を追われ、辛くも此方に匿う事が出来た
が、なかなか調査は進展せず貴族子息令嬢が通う入学の時期を経て動きが変わりはじめる
そして最初の断罪劇(ロッドいわく御遊戯会)に戻った訳である
黒幕はニュークス侯爵家と反発する派閥の大臣と、その間者達と取り巻きの貴族であった
彼らも一筋縄でなく、父らの手腕により瓦解し始めて出来た綻びより、ぼろぼろと彼らの悪行が出てきたらしく、結局遅かれ早かれ勢力図は著しく変わることとなった
が、当時としては隣国の動きもあり崩せなかった事もあり、立ち直せる今が最適であったともいえる
そしてその余波というか、彼らの末端にいたブレッド男爵家はとり潰しにあい、メアリー令嬢も、王太子やその側近候補、また取り巻きの子息らの持つ情報を引き出すハニトラ行為による悪事により、斬首された
そして少し時間が流れた
アリアは数日かけ寝たり起きたりを繰り返し、毎日フィリップがアリアを見舞いにやってくる
アリアはあの当時のままの記憶しかなく、大きくなった俺やフィリップの姿や自身の姿や声に驚き、説明を受け取るも、物悲しげにうつ向くばかりだ
「私は婚約破棄されてしまうのでしょうか……?」
遠くを見るようにアリアは呟く
断罪劇については話してないが、身体の事や妃教育等の遅れによるプレッシャーからなのか、破棄した方が良いのではと思うようになっていたらしい
因みに、断罪劇は突発的なもので、現実的な婚約破棄はされてはおらず、また、今回の騒ぎに乗じ有耶無耶となり、あの場にいたものには箝口令がしかれ、フィリップとアリアはまだ婚約者同士であった
そしてフィリップが、考え出した答えはアリアとの婚姻を待つ、というものだった
そしてアリアもその返事を受け止めた
お互い辛い道のりに違いない
が、彼女自身の勤勉さや知識欲や品位、人格の良さがあり、数年で学歴に似合う知識と妃教育を習得したという
そしてフィリップとアリアは長年の恋を実らせ夫婦となった
また、雫の加護か、それに導かれて目覚めたのか、彼女自身も光魔法を開花させて、王家に大いなる加護をもたらした
少女の献身により王子様が護られ、その彼女が受けた呪いを王子の愛が解き、その尊き愛により王国が光溢れるよい国になりました。というお伽噺となり、また、ニュークス家やリドらの活躍は活劇として姿を変えることになった
が、ロッドいわく本当の事はかする程度だよな、らしい
実質文献はあまり残らないものだ
歌や劇に紛れた話の方が残りやすいとも思う
ロッドはいつかの為に、王家の花の話をどこかに残そうと思った
記録ではなく、誰かを助く為の指針として彼らが求むその日まで残せるように
断罪劇で悪役令嬢が倒れてしまったらどだろうか?
から、弟との入れ替わりで、姉の冤罪を回避させつつ、弟が男爵令嬢を苛めない理由として、何かに切羽詰まってる。
その理由として、王家の花というレアアイテムを出し、それをゲットするために王弟や弟が頑張る事になったが、断罪劇で婚約破棄で花を得る機会をなくしたので、花をくれとぶっちゃける。
何故今なのか?から、敵が王宮内にいて、つつくと此方が手痛い目にあったり、勢力図がかわってドロドロに荒立てたくない。となり、今の今まで虎視眈々と機会を練っていた。
という流れになりました。
最後は力尽きた感じがしないでもないですが、閲覧ありがとうございました。