約束……?
「一緒にご飯食べよ!」
いきなり押し掛けて来た彼女は早速爆弾を投下した。
教室がざわざわ騒がしくなる。
「折角のお誘い、ありがたいんですけど……」
「早瀬さん、今少しいいかな?」
なんて断ろうか悩んでいると隣の席の女子が呼ばれた。
彼女は早瀬凜
二大美少女の片割れだ。佐藤さんは明るく元気でまさに太陽みたいな感じだが、早瀬さんはその逆、静かで落ち着いている月のような存在だ。
早瀬さんはコクンと頷くとこちらに一瞬目をやり、呼び出した彼についていった。
……やることができたな。
「すいません佐藤さん。折角お誘い頂いたのですが、やらなければならない事ができてしまったのでまたの機会に」
それだけ告げ、俺は急いで早瀬さんの後を追う。
二人は校舎の影に入って行った。男はかなり周りを警戒してたみたいだけど、それじゃあ今から何か悪いことしますって言っているようなものだ。
少し時間を空け、足音を立てないように近づく。
少し時間を空けたのは彼が変なことを考えてなく、ただ告白して終わりだったとき、その言葉を聞いてしまうのは失礼だと思ったからだ。
チッ……
舌打ちが聞こえた。
「なんだ?顔が良いからって調子乗ってんのか?あぁ?」
「……違う」
「ならなんだって言うんだよ?おい!お前ら出てこい」
最初からそのつもりだったのか……
まったく、同じ男として恥ずかしいな……
俺がいるのと反対側から複数人の気配がした。
いつでも出ていけるように待機する。
「まずはその変わらない気持ち悪い顔を見れなくしてやる」
男が腕を振り上げた。
しかし、その腕が振り下ろされることはなかった。
俺が止めたからだ。
「男が大人数で一人の少女囲って威圧して……恥ずかしくないの?」
邪魔されたからか、煽り文句に反応したからなのか、男たちは一斉に殴りかかって来た。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「……ありがと、今回も助けられた」
「気にしないで、勝手にやってることだし」
二人の側には男たちが揃って倒れていた。
「……それでも私は助けられてる。何かお礼をしたい」
「と言ってもな~、特にお願いしたいこともないからなんかあったら言うわ」
俺は外していた眼鏡を付けた。
「……今更だけど眼鏡付けると別人」
「自分でも思います。でもだからこういうことが出来てるのですよ」
「……確かに」
早瀬さんは入学初日に告白され、その人から腹いせに殴られそうになっていたところを助け、それ以来トラウマになってしまったのか、呼び出されたときはいつも同行している。
乱暴しようとした者達にはすべて恐い思いをしてもらっている。
最近は『番犬が付いているから気を付けろ』と噂が流れ、呼び出し自体がなくなっていたのだけど……
ん、予鈴が鳴った。
急いで教室に戻らなくては。
駆け足で教室に戻る二人を見ている者がいたことを知るよしもなかった。
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