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クロとお風呂と俺の悲しみと

お風呂ネタを思いついたので。

「お腹もだいぶましになったし、そろそろお風呂に入るかな」


 見た目は人間でも舌は猫のままのクロに舐められれば、顔が赤くなってしまうのはしょうがないよな……。

 顔がまだひりひりするけど、クロのお陰で綺麗になったし。

 そろそろお風呂に入ってサッパリするか!

 それでクロはどうしようかな?もしかして、一緒に入ったら事案になるの妖怪でも?


「お風呂って水浴びの事かにゃ?」


 頭をコテンと横に倒して、お風呂ってなんだろうと不思議そうな顔をする我が家の猫耳幼女様。

 見た目は猫耳幼女でも中身は猫だし、そりゃ知らないよな。

 これは説明しといた方がいいな。


「暖かい水に浸かったり、身体を洗ったりする場所の事だ。それでクロはお風呂に入ったりできるのか?」

「んにゃ?クロは妖怪だから、普通の猫と違って水浴び平気にゃ。そのお風呂とやらも、入っても大丈夫だと思うにゃあ。あっ、でもクロは妖術で身体は綺麗にしてるから、お風呂に入らなくても別に汚くならないにゃ」


 な、なんだって……お風呂に入らなくても妖術で身体は綺麗になるだと!?

 くぅ……そのモフモフの猫耳を洗えるチャンスなのに!どうしてなんだ妖術!?そんな便利機能は俺のためにつけなくてもいいだろう……。ああっ……猫耳を洗いたい、モフモフしたい、タオルで拭きたい……。


 この時ばかりは、目から汗が止まらない……。


「俺の世界が終わる……天は我を見放したのか……」

「ふにゃ?どうしたのお兄ちゃん、そんなに涙を流して……何か悲しい事でも合ったのかにゃあ?クロでよければ相談に乗るにゃ!悩みを話すだけでも楽になると思うから話してみるにゃあ」


 ああっ……クロが天使のような微笑で俺に見ている。そして悩みを言ってと聖母のような暖かい心で俺に接してくれて、荒んだ俺の心が洗われるようだ……。……ってそうだ、クロの言うとおりに悩んでないで言ってみるべきなんだ。

 ぐだぐだ悩んでないで、お願いしてみてダメならダメって言ってもらった方が心も楽になる!

 そう心の中で、奮起してると……ズキズキとする痛みと頬をざりざりと削るような感触がする。


「ぺろり……涙はしょっぱいにゃ。クロにはお兄ちゃんの悩みを分かってあげられないけど……こうやって涙を拭いてあげる事はできるにゃ……れろれろ」

「あ、ありがとうクロ……」


 本人はただ舐めてるだけだと思うけど、舐められてる俺は皮膚を削られてるみたいで痛い……でも、痛くても俺は満足してるから大丈夫。でも……頬が削り取られないと良いな。

 さあ、言うぞ俺。言ってやるぞ!


「実は一緒にお風呂に入って……そのモフモフの猫耳を俺に洗わせてくれ!頼むよクロ!」


 手を合わせて、お願いするとクロは特に何も不愉快感を見せない。

 むしろニコニコしてる?


「うん、お兄ちゃんと一緒にお風呂に入るにゃ。良い機会だから、この耳も人間の洗浄術で綺麗にしてみたいにゃあ。それに……いつもは妖術を使って一瞬で綺麗にしてたから、もう飽きてたのにゃ」


 あれっ?あっさりと了解を得たぞ?むしろ協力的だぞこの猫耳幼女様は!

 その猫耳幼女様のクロは腰まで長い自分の髪を手で触って「人間の髪は長いにゃ。もっと短くすべきだったかにゃ?」と首を傾げている。


「俺の頼みを聞いてくれてありがとなクロ」

「にゃふふ……お兄ちゃんの頼みならこのくらいは、お安いごようにゃあ♪」


 二人でお風呂場の脱衣所に入ると、俺はとりあえず服を脱いでいく……が下着姿になってからようやくこのクロとお風呂に入って猫耳をモフモフ洗おう大作戦に重大な欠陥がある事に気がついた。

 お風呂だから裸にならないといけないじゃん……それにチラッとクロをみる。


「にゃにゃ?お兄ちゃん何か困った事でもあったかにゃ?脱げないなら、クロが手伝ってあげるのにゃ……んしょんしょ」


 うむ、猫耳幼女様はすでにスタンバイ完了していらしゃる……そうだよね、猫の妖怪だもんねクロは。

 さらに……俺が考えてる姿を下着を脱げなくて困ってると勘違いを始めて、小さな手で掴んで一生懸命に俺の下着を……下に……下にと下ろそうと体重をかけて引っ張ってる。


「ふーっ!ふーっ!なんで脱げないにゃあ!?」


 クロは髪の毛を逆立てて俺の下着を引っ張っているけど、俺が下着を掴んでるから脱げるわけがない。


「いやいや、下着ぐらいは自分で脱げるから先にクロはこの扉の先の浴室で待っててくれ。俺は少ししたら行くから」

「そうかにゃ……じゃあ、先に行ってお兄ちゃんを待ってるにゃ」


 俺の下着を下ろせなくて残念そうな目をして浴室に向かうクロ。俺は下着を下ろして、少し大きめなタオルを腰に巻いて浴室の扉を開けた。

 クロはシャワーのノズルを不思議そうに眺めていたが、俺が入ってくるのを確認すると……恥ずかしげもなくこちらに身体を向けた。そしてクロは不思議そうに俺の腰のタオルを見ている。


「にゃんで腰に布を巻いてるのにゃ?今からお風呂に入るなら、何も身に付けなくても良い筈にゃ。そんな布はとってしまった方が良いのにゃ!うにゃ!」

「うわっ!や、やめてくれクロ!ここだけは……ここだけは隠させてくれ!本当に頼むから、このタオルだけはそのままにさせてくれ!恥ずかしいから!」


 クロは小さな身体で猫のように俺に飛びかかるとタオルを取ろうと俺に密着してくる。クロのいろんな所が俺に当たるが今はそれどころじゃない!このタオルだけは取られるわけにはいかないんだ。


「クロは人間に化けたこの身体の裸をお兄ちゃんに見られても、別に恥ずかしくもないにゃ。それに元は猫のクロは人間の身体を見ても、なんとも思わないのにゃ。にゃから、そんなに恥ずかしがらなくても大丈夫にゃあ。さぁ、大人しくその布を取るのにゃ!」

「恥ずかしいからいやだ……あーっ………」


「ふぅ、これでクロと同じになったにゃ♪」


 ううっ……本気になった猫耳幼女様には勝てなかったよ……。俺のタオルを取り上げたクロは猫耳と髪の毛を洗うために、お風呂場に置いてある小さな椅子に大人しく座っている。


 そんなに頭髪用洗剤で洗うのが楽しみなのか、鏡に映るクロの表情はニコニコと笑っていた。


 俺は覚悟を決めてクロの後ろに立って目の前の小さな頭をシャワーで濡らしてから、手に頭髪用の洗剤の液体を垂らして……ゆっくりとクロのモフモフの猫耳に手を這わせて洗浄を始めた。

 こうやってクロの小さな頭を洗浄してると歳の離れた妹を思い出すけど、実家でちゃんと学生してるかな……。


「んっ……にゃ……今クロの耳にお兄ちゃんの手が触れたにゃ……」


 わしゃ…わしゃ……じゅる…じゅる……


 クロの耳だけじゃなく髪の毛も艶々で触っていても気持ち良い、でも腰まで髪が伸びてるから洗うのに時間が掛かりそうだな。今は先に耳を中心に洗っていこうかな。

 せっかくモフモフの猫耳を洗えるのだから、堪能しないとね。


「にゃっ……んんっ……なんかぬるぬるするにゃ。それにクロの耳がいつもよりも敏感になってる気がするのにゃ……はふぅ…ふにゃ。声が勝手に出てしまうのにゃ……にゃん……にゃふぅ」


 自然と頬がニヤニヤとなってしまう、猫耳を洗えて嬉しくて我慢が出来ない。

 洗っている手にも力が入り、念入りに耳の隅々まで洗剤のついた手で擦りつける。

 ふと、気づくと鏡に映るクロの顔が大変な事になってた。熱中していて気がつかなかったが鏡に映るクロは、顔を蕩けさせて俺の手が洗っている耳をピクンピクンさせている。ただ洗ってるだけなんだけど気持ち良いのかなクロ……。


「クロ、痒い所とかないか?」


 猫耳の痒いところってどこなんだろうな。


「んにゃそんなところは無いのにゃ……それよりももっとお兄ちゃんの手で耳をぐちゅぐちゅって洗って欲しいのにゃ。そのぬるぬるの手で耳を洗われると……なんだか……今まで感じた事の無い気持ち良さを感じるのにゃ」


 今まで感じた事無いって事は元は猫だし人間の身体になって、別の感覚が目覚めたのかな?

 「耳を洗われるとゾクゾクが止まらないにゃ」とクロは言って、もっと触って欲しそうに猫耳をぴくぴくさせている。


「こうか?それともこうかな?」

「にゃあ……にゃふ……そこにゃん!」

「ふむ、ココが良いのか?」

「そう、そこが良いのにゃん……」


 俺は言われた通りにあわあわの手でクロの猫耳をぐちゅぐちゅさせながら洗っていると、クロは身体を震わせたり、脚を内股にしてぷるぷるさせたり、小さな手を宙に突き出して手を閉じたり開いたりとなんか落ち着かなくなった。


「ふにゃ……耳を洗う事がこんなにも気持ち良いなんて、知らなかったにゃ…。んっ……にゃ……もう、なんだか身体のうずうずが止まらないのにゃ……」


 口が半開きになって、目をとろんとさせてそんなにも耳を洗われるのが気持ち良いらしい。

 そして耳を洗う速度をさらに早くすると、猫耳のピクピクが早くなりそして……。


「にゃ……にゃあ……耳が痙攣してるにゃ。このままだと、クロは……クロは……!」


 うん、耳も結構洗ったしそろそろ長い髪も洗うとするかな。


「このくらいで良いだろう。それじゃあ、耳の次は長い後ろ髪を洗うから」

「……ええっ。そんなにゃあ……もう少しだったのにゃ……」


 こちらに振り返ったクロは、頬を上気させて潤んだ瞳で俺を見つめて物足りなさそうにしていた。

 さらに艶やかな唇からクロははぁはぁと吐息を漏している。


 何だこれ?


 いや、猫耳を丹念に洗ってただけなんだけど……何かしたかな?

 まあ……猫耳好きとして、耳を隅々まで触ったのは反省してるけど。

 本人に聞いたほうが早いかな?

 さっきも相談したら答えてくれたし、聞いても良いだろう。


「それで何がもう少しだったんだ?猫耳洗う以外に何かしてたのか?」

「うにゃ!?それは……ううっ、何でもないにゃあ!」


 ゴンッ!


「ぐふっ!な……んで」


 何故か顔を赤くして激怒したクロに顎に良いパンチを貰うことになった……。

 クロのパンチが良い所に入ったのか花畑でまた銀髪のお嬢さんに再開して、「変態」と言われて現世に戻された。


 俺はただ猫耳を堪能しながら耳を洗ってただけなんだけど……。




ここまで読んでくれてありがとうございます。

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