第三十二話 暫くの後、再び現れる
管制室から転移装置がないか探す。
以前の倍程度の情報が流れてくる、だが、痛みは感じない。
「あった!地下だ!地下にある!移動を開始しろ!」
監視カメラから味方が次々と地下に移動していく。
俺たちも移動だ。
階段しか地下への道がない。
一人ずつ慎重に降りる。
「こっちだ真!この向こう側が奴らの首都らしい」
部屋の真ん中に一つポツンと扉の枠がある。
「紫!女王を連れて来てくれ」
「もう来てるわ」
隣に紫とフィオナ、そして綿月姉妹がそばに立っていた。
「こいつを広げて地上に出せるか?」
「無理ね、完全に固定されてるから境界をいじれないわ」
「私ならこの接続先を変えて安全な所へ転送できる」
「頼む」
何やら端末を操作している。
しばらくすると。
「完了したわ、これで敵の基地の目の前に出ることは無いわ」
「そうか、ではテレビ局かラジオ局に繋いでくれ、第一小隊とあんたらの兵士に護衛させろ」
そう言って、カルロの方を向く。
彼は途中からとはいえども、この戦闘まで月を裏切ってまで俺たちについて来てくれたことを誇りに思う。
「カルロ、ここでお別れだ、向こうで生きてたら、また会おうぜ」
カルロと握手を交わす、その時、カルロから何かを手渡される。
「縁起でもない無いことを言うな、それと、眠れる姫様には接吻が必要だ、昔話のお決まりだろ?」
それだけ言うと、待っている月の兵士達に向いてこう言った。
彼ら第三部隊も最後まで一人も欠けることなくこの日を迎えた。
今は妖怪の山で合流したフィオナの近衛兵と共にいる。
「総員、そのまま良く聞け!
我らはこの時をずっと待ち望んでいた、
我らは気づいていた!政府が女王フィオナ様の下から離れていたことを!
我らはは気づいていた!悪意有るものが政府を牛耳り、腐敗させていたことを!
我らはこれから、本当のフィオナ様の護衛に着く、これを誇りに思わないものはこの任務から離れろ!」
すると、今まで静かに聞いていた月の兵士達が突然大声を上げた。
『我らは女王陛下を護る盾なり!誰がこの場を離れるものか!』
「その言葉を待っていたぞ同志達よ!一つ目は何だ?!」
『鍵を手に入れる!』
「二つ目は?!」
『闇の中に入り込む!』
「三つ目は?!」
『邪魔する者を穴だらけに!』
「四つ目は?!」
『真実を受け入れよ!』
「我らは怯まぬ!逃れぬ!我らは決して立ち止まらない!」
そう言ってフィオナを囲い、ゲートに入っていった。
タスクフォースも彼女の援護をさせるように指示した。
幻想郷の住人にもついていくように紫に頼んだ
俺たちの番だ、行き先を変更し、敵の行政施設が集まるビルへ乗り込む。
「準備はいいな?」
「いつでもどうぞ?あんたこそビビってないわよね?」
「とっとと行こう、面倒なことは素早く片付けるに限る」
「よし、行くぞ!」
意を決して、ゲートをくぐる。
逃げないこと
3月27日、20:17
白神真
ブルーイーグル分隊
月行政区画
《真、いい?作戦を再確認するわ、あなた達の目標は議長であるアヴァランチ・セルゲイの確保もしくは殺害、博麗霊夢の救助よ、なんでも霊夢はビルの最上階にいるそうよ、
最上階の部屋にはカードキーが必要よ、カルロに聞いたけどあなたは持ってる筈よ、
敵の構成はクローンの兵士とドローンがいるそうよ、兵士は皆議長の言うことを守るように洗脳されてるから遠慮はいらないわよ、
それと、副目標としてクローン研究室がビルの中にあるそうよ、破壊するか救助するかはあなたの好きにしなさい、
では、幸運を祈るわ、ブルーイーグル》
視界が開けると、目の前には二十階程のビルが立っていた。全てガラス張りだ。
ビルの前は広場になっていて、何人かスーツを着た者もいる、皆ウサギの耳が付いているが。
皆こちらを見ると散り散りに逃げていく。
それと交互にクローン兵士とドローンがやってくる。
接近は分かっていた為、来る方向に事前に銃口を向け、見えた瞬間一斉掃射する。
数十人程いたが、十人程に減らした。
《そこまでだ!青鷲!》
聞き覚えのある声が無線から入ってきた。
サソリだ。
《あと少しで工作が完了し、博麗の巫女を助けることができたというのに、お前がやって来たお陰で気づかれてしまった、お前に怨みはないが、従わなければ妻と息子を殺されるんだ》
《いくぞ!青鷲!…ガハッ!》
どういうことだ?こっちにまだ距離があるのに突然血を大量に吐き出して倒れたぞ?!
「真!上だ!上から撃って来た!」
ビルの上か!よく見ると清掃用のゴンドラから下をスナイパーライフルで狙っている人影が見える。
「あのゴンドラに集中攻撃を!こちらを攻撃させるな!」
チームに攻撃指示し、敵の狙撃を阻止させる。
その間にサソリの元に駆け寄る。
《気をつけろ…奴は博麗の力を利用してウイルス兵器を作ろうとしている…早く逃げろ!俺にはそのウイルスの試作品が打たれている!そいつは……》
といった瞬間、体が痙攣し出す。
ライフルを構え直し、下がりながら警戒する。
背中が割れ、背中から触手の様なものが生え、近くのクローンの死体を取り込み出した。
一度始まると止まらない、次々と死体を取り込んでいく。
全ての死体を取り込んだ後、突然大きくなる。
動きが終わった後、見上げて見ると、黒い毛の生えた何かの怪獣となっていた。
二本の足、二本の腕、それは人間の形をしているが、とてつもなく大きなものになっている。
身体の表面は若干溶けて異臭を放っている。
「真!ここは俺たちに任せろ!お前は霊夢を助けてこい!」
健吾からとんでもない提案が飛んでくる。
「いくんだ真!霊夢だってあんたが行けばきっと喜ぶ!今になって言うけどな…………」
少し間を開けて、魔理沙が叫ぶ。
「霊夢は真のことを好きだったんだ!行ってやれ!真!」
「……俺は長い間戦い続けたせいで恋愛感情がなくなってる……俺には恋というのは何か知らない、だが……ここは任せた、俺は霊夢を助けてくる、チーム、ここを確保しろ!」
それだけ言って怪物の足元をくぐり、正面玄関をぶち破る。
その直後に怪物のパンチが正面玄関の上に当たり、玄関は崩落して戻れなくなった。
Missionsupdate
最上階に向かい霊夢を救出する。
アヴァランチ・セルゲイを見つける。
Submissions
クローン研究室を見つける。
一階のホールはクリアだ、外からは銃声や轟音が響いている。
カウンターにあるパソコンにノルンを接続し、研究室の場所を確認する。
十九階か、エレベーターは動いている、使用しないときつそうだ。
エレベーターホールに向かい、エレベーターに乗って銃を構える。
一階から二階、三階とゆっくり上昇する。
十五階に入った瞬間、ビルが大きな衝撃に襲われ、エレベーターが停止する。
外の様子は見られない。天井のハッチから出て、扉を爆薬で破壊する。
部屋にはオフィスデスクがずらりと並んでいる、当然敵兵も多数存在している。
アサルトライフルを取り出し、物陰に隠れながら撃ち続ける。
グレネードも駆使しながらフロアを制圧する。
敵の士官からカードキーを奪い、端末からクローンの情報を手に入れる。
かなり非人道的な実験を繰り返したらしい、なんて奴だ、しかも議長のセルゲイの署名が入っている。
これで奴との関係が明らかになった。
階段を上り、十八階までに到達したところで、突然ソナーが反応した。
数は十人程。
しゃがんで階段を上り、部屋に静かに入る。フラッシュバンを投げ入れて奇襲をかける。
ノルンで強制的に動体視力を強化し、敵をひとりずつ倒す。
このフロアにセルゲイはいる。




