第二話 Welcome to another world
"All that is necessary for evil to succeed is for good men to do nothing." -
Edmund Burke
悪が栄えるために必要なのは、善人が何もしないことである。 ―― エドマンド・バーク
私はその時人里にいた。
食品を買うためだ。
だいぶ買いたいものがそろってきたときに周りが騒がしくなってきた。
なにか見せものをやっているのだろう…そう思い気にしなかった。
しかし、直後に爆音が鳴り響いた。
音が鳴った方を見るとそこには。
長い棒のような物を持った男達が辺りの人達に攻撃していた。
□□□□
『もう俺は長く生き過ぎた…撃てよ…その銃で俺を撃てよ!』
誰かの声が聞こえる。
『…………』
もう一人がなにかを言うが遠すぎて聞こえない。
『撃て!お前は心の準備ができたと言っただろう!』
また最初の人が話す。言い方からして正気を失っているのだろう。
『撃て!この臆病者!撃て!
撃てぇぇぇぇ!』
そう一人が言うと、頭に直接声が響いてきた。
…し………起き……
誰だ、俺を呼ぶのは。
…あなたはこの戦争を終わらせる重要な人、いわゆるキーマンなの、だから必ず生きて帰ってきなさい
呼ばれた声とは違う声が響く。
そしてまた呼ぶ声が聞こえる。
…真……起きて…
…真!起きて!真!
…さっさと起きんかいゴラァ!
ドグシャ!
□□□
「ゲベラッ!」
メシャァ!
「グハッ」
「いたい!」
ややこしいので説明を三行でしよう
・桜が(物理的に)起こそうとした
・なかなかおきないのでヘッドバットしようとした
・振りかぶると同時に飛び起きて頭がブレイク
以上。
「いたたたた、何でヘッドバットで起きると思ったんだよ!永遠に起きなくなるだろ!」
「だって、前読んだ本に殴って起こすと確実に起きるって書いてあったもん!」
「ちょっとその本貸せ!修正するから」
「今無いもん!それ以上にここ何処だか知らないし」
そうだった、漫才をしている場合じゃない。
「機内の調査と周辺の安全確認は?」
「もうすでにしてる、あとはコックピットだけよ」
「仕事が速いな、なら見てきますかね」
まず、全面のガラスは抜け落ちていた、どうやら機内から大きな物が不時着の時に動いたらしい。
副操縦席の椅子が無かったことは気にしない。
ダブルイーグルが無いと思ったが外にあった、壊れて。
どうやら衝撃で吹き飛んだらしい。
今までありがとう、そう思いながらジャンバーの袖口のポケットにしまった。
次に機内を調べていた奴に話しを聞いたが、特にこれといった情報はなかった。
「真!こっちにきてくれ!コンテナがある!」
そう呼ばれて、俺は全員を集め、機外にでた。
「鍵がかかっているな」
「なら、こうするしかないな!」
デザートイーグルを取り出し、ショットシェルを出す。発砲。
ズガン!ズガン!ズガン!
かなり頑丈のようで残りの弾を使っても開かない。
「まさか、ここまで頑丈とはな…仕方ない、あれを使うか」
そう言ってカバンから吸着爆薬弾を取り出す。
「危ないから離れてくれ」
パスンピピピピピピピピズドォォン!
「よし壊れたな、さて、中身はなにか…」
「何が入っていた?」
「うーんと僕達の名前がはいったジュラルミンケースだね」
中にはいったシャムが言う
「「「「「名前がはいった?」」」」」
「うん、とりあえず渡すね、これが蓮子のでこれが真ので…」
そう言われてもらったジュラルミンケースには英語で俺の名前が書いてあった。
罠かもしれない…そう思いながらも開ける。中には…
「H&k416、か…」
アサルトライフルがはいっていた。
…誰が入れたんだ?少し怖い気もするがスルー。
他にはホログラフィックサイト、M203グレネードランチャー、レーザーサイト、フラッシュライトがはいっていた。どれも付けることができる。しかし…
「なぜ、弾が無い?」
そう、肝心な弾が無い、既に付いていたマガジンにも弾がはいっていない、これではただの棒だ。
あれ、このマガジンの口、どっかで見た気が…
まあ、どこかで弾は見つかるだろう。
「他のやつらはどうだ?」
聞いたらまず桜は砥石、健吾はグローブ、シャムはガンランス、蓮子は桜と同じ砥石、メリーは弓とちゃんとした矢だった。
どれもどこかに宝石のような玉が付いている。
…健吾や桜、蓮子はわかるよ、大きさ的に、シャムとメリーのやつはどうやったらジュラルミンケースの中にはいるんだよ…
しかもシャムのに至っては俺の身長くらいでかい、おかしいだろ…
「マズイ!ミサイルだ!」
健吾の声を聞き、今いた場所から離れる。
ヒュゥゥゥゥゥズドォォン!
今いた場所にミサイルが着弾、コンテナが吹き飛んだ。
「しまったな…どこに行けばいいのか…」
と言いながら双眼鏡で辺りを見渡す。
あ、ちなみにバックの中身は全部無事でした。
どこを見ても木、木、木、一面森だ、近くに家なんてあるのか…そう思ったらあった。
「ご都合主義ってすごくね?」
「メメタァ!」
メギャッ!
「痛い痛い!桜さん!アイアンクローが頭に入ってるって!痛いからやめて!」
「じゃあメタ発言しないの♪」
可愛いことをいっているが、背後からは黒いオーラがふんだんに出ている。
解放されてから俺は見えた家のことを話した。
全員の意見は
今すぐ行こう。
という訳で健吾と桜が先頭、武装が今の所無い俺、シャム、メリー、蓮子という順番で移動を開始した。
[20xx:?.??:約10:30:????」
「ここは…何だ?」
1時間くらい歩いて着いた場所はなにやら店の様な場所だった。
外にはなにやらガラクタが放置されている…すごく前の人形が置いてある…すごく怖い。
「真、何を見ているんだ?…ヒィ!」
健吾が怖がる、かなりシュール。
「まあいいや、中に入ってみようぜ」
俺たちは扉からゆっくり入る。
中にもガラクタがたくさんある。
昔のゲームセンターにあった様な物や古い椅子などが置いてある。
「やぁ、見慣れない顔だね。もしかして真、という人かな?」
いきなり声をかけられ、全員の緊張感が高まる。
「あんたは誰だ?どうして俺の名前を知っている?そもそもここはどこだ?」
「まあ、いっぺんに質問されても答えられない、まあ座ってくれ…
ようこそ、忘れられた者たちが集まる、幻想郷へ」
□□
俺たちは森近霖之助…彼の名前だ、からここのことを教えてもらった。
ここは幻想郷だということ。
妖怪や人が共存していること。
外の世界の忘れられた物や人が流れ込むこと。
ここが香霖堂だということ。
「…今言ったことは全て真実だ、ちなみに僕も妖怪だよ」
「嘘だろ…ということは俺たちは忘れられたのか?」
「私はそんなこと認めない…!」
「……………」
「おや、真君、すごく静かだね、頭が追いついていないのかい?」
全員がこちらを見る。
「いや、そうじゃない、むしろ分かり切っている。」
「真、あの話がわかるの?」
「いや、分かったではなくて割り切った、と言ったほうがいいか、
いいか、現に今、この地に居るんだ、
そうなったらもう割り切って理解するしかないんだ、
それに、ここからでる方法もある筈だ、そうだろ?」
「…そうだね、いくつか方法はある」
「じゃあ、その方法を教えてくれ」
そう言って彼は口を開いた、がその声は爆発音に遮られた。
「何だ!今の爆発音は!」
「大きさ的には遠い位置だな」
そういう内容のことを話していると
「誰かが弾幕ごっこしているのかな」
「「「「「「弾幕ごっこ?」」」」」」
全員が首をかしげる。
俺は脳内で人間が重機関銃をもって撃ち合う姿が想像できた。
…怖!
「多分君たちが想像しているものではないよ」
苦笑いしながら訂正してくれる
ですよね~そんなことあったらここが世紀末かと勘違いするよ…
「でも心配だからみてくるか」
そう言って外に出る
双眼鏡で周りを見る、煙が上がっている所を発見する。
「おい、弾幕ごっこって煙出るのか?」
「いや、弾は出るけど煙は出ない」
だとしたら…
素早くカバンから望遠鏡を取り出す。
倍率を最大にして見る、そこには、
逃げ惑う人々とそれを追いかける軍人?がいた。
「霖之助、あの方角には何がある?」
「人間の里だね、それがどうしたんだい?」
「人里が襲撃されている!」
「まさか…そんなことは無い筈だ!人里は“妖怪の賢者”が結界を張っているから妖怪は手を出せない筈だ!」
「何者かが人里を狙っている…妖怪では無い…何かが」
「じゃあどうする?介入するの?」
「したいが…武器と装備が…あと人里の地図も欲しい」
俺以外の全員はいつでも行けるが、HQがいない、今武器が無い俺がやってもいいが、戦力が低下するし、指示と言っても自分が先頭に立って指示する側だから少しやりにくい。
「武器ならそこにあるじゃないか、試してみなよ」
背中にかけているアサルトライフルを指して言った
「…そう言われたらやってみるか」
背中からライフルを取り出し、マガジンを抜いて、また差し込む。
あらかじめ取り付けていたホロサイトを覗き、木に合わせる。
一呼吸置いて引き金を…引く!
ズダダダダダダダダダァァァン!
発砲音と共に青い色をした弾丸が発射される。
その弾は木に寸分の狂い無く直撃した
「…ほう、これは凄い…周りの空気を吸い取って弾丸にするのか?」
「少しだけど霊力を弾丸から感じるね…どうやら周りのエネルギー…霊力などを吸い取って弾丸にするみたいだね
…武器は揃ったね、装備ならこの店にある程度あるかもしれない、もっていっても構わない、人里を守ってくれ、君たちしか頼めない、お願いだ!」
「もちろんだ、俺たちは治安維持班、目の前の敵は打ち倒すだけだ…」
「机と地図を」
「これより我々は人里防衛戦のプリーフィングを開始する!」
□
ブリーフィング
「緊急の任務だ、ブリーフィングを手短かに行う
現在、人間の里にて謎の武装集団が攻撃、被害は不明だが、かなりの被害が出ていると予測できる
我々は北の門から突入、周辺の敵を排除し、北側の大型の建物に侵入、内部に居ると思われる敵を排除する、ここまでで質問は?」
「この地図は誰が?」
「昔、幻想入りした外来人が書いたらしい、今はもういないそうだ」
「何で大型にしか入らないの?」
「おそらく、敵は人質を取っている、それに一時的に拠点が必要な可能性がある、そのためだ」
「続けるぞ、制圧完了後、すぐに南側の建物を制圧、完了次第、掃討に入る、
いいか、敵の勢力は不明だ、さらに市街地戦だ、敵の攻撃に注意し、角にも注意を払え、
よし、各員、作戦準備に移れ」
□□□
作戦はいいが…移動手段が歩くしか無い
車があるか調べているととんでもないものを見つけてしまった。
ヘリ…だと?
ARH-70…アメリカ軍が開発中止にしたこの機体がどうしてここに?
「ああ、それは最近入ってきたばかりのものだ、大丈夫、燃料は十分ある」
「いや、俺が心配しているのはそこじゃない、飛ぶスペースが無い」
そう、周りを木に囲まれていて十分なスペースが無いのだ。
これでは離陸が出来ない、なにか切るものがあれば…
「そういえばこんなものがあるんだけど…」
そう言われてもらった物は、紙に包まれた刀と銃と手紙が入っていた。
内容は
[貴方の忘れ物よ♡
U.Yより]
と書いてあり凄い勢いで腹から何かがでてきそうだった。
なんでハートマークが?それにU.Yて誰だ?
かなり怖いけどいいや、もらっておく
刀はなんと家に置いたままの霊刀[真実]だった。
なんでここに?
さらに銃も父親の使っていたH&k USPだった。
マガジンの形を見たことがある気がしたのはこいつだった。
ということはこいつもエネルギーを使って撃つことができるのか…
俺は刀の鞘を抜いて木を思いっきり切る。
バサアァァァァ!
さすが真実という名前が付いた刀、木をこんなに簡単に切れる。
その他にも通信機を人数分もらい、霖之助から八面体の宝石の様な石をもらった。
俺は透明、桜は黄緑、健吾は青、シャムとメリーは赤、蓮子は白に近い色だった。
「準備はできたな!それでは離陸する!」
そう言ってヘリは離陸した。
<吸着爆薬弾>
発射すると弾丸がくっ付き、七秒後に爆発する弾丸、ショットシェルでも破壊できない物を破壊するのに使用する
〈ARH-70〉
アメリカ軍が開発した次期偵察ヘリ、OH-58の後任になる予定だった、しかし、予算不足のため、開発中止になった




