第二十六話 Revealed the Truth
視点は再び霊夢に戻ります。
私たちは今、紫が調達した帰りのヘリに乗っている。
真はノルンに操縦を任せ、私たちのすぐそばにいる。
ただ、彼の左目には黒い眼帯がつけられていた。
「回避できる空間無しでテルミット爆薬なんて使うもんじゃないな」
どうやら施設の中に入る際に爆弾を使い、その破片が左目に刺さったらしい。
「ま、どうせ薬が切れて左目はそのうち使い物にならなくなるだけだったけどな」
「どういうこと?薬が切れるって、私が知らない間に何があったの?」
「……あのことはもう話したのか?」
桜はゆっくりと頷く。
「……そうか、霊夢は見た事があるかもしれないな、腹の傷だ、
それを受けた時のことだ。
そう、それはあの事件の後、アフリカ代理テロ戦争のことだ」
あの事件の後、俺はすぐに病院に運ばれた、入院自体は一週間程で終わった。
だが、退院した次の日…………名前は忘れちまった、とにかく誰かがうちにやってきた。
『お前はテロリストが憎くないのか?』
彼は無傷で生き残った者全員に声をかけまわって組織に入れようとしたらしい。
その組織の名前は【ブレイカーイレブン】カウンターテロリスト組織だ。アフリカで活動していた。
その時何故か俺は、もしかしたら誘いを受けていたのかもしれない。
俺は次の日に【アフリカの角】、ソマリアに飛んだ。
俺は半年の間、乗り物についての教習を強制された。船や飛行機の操縦も習わされた。ハイジャックして人質の身代金と人員を増やすためでもある。
残りの半年は防衛の任務についた。
何度も何度もやってきて人を殺した。だが、その時は何もかも信じられずにただ指示されたことを淡々としてたからな。
それが変わったのが、ソマリアに飛んでから一年ほどたった時だ。
『あんたはこれまでに何人殺したんだ?目的の為に殺しは必要か?』
ある迎撃任務の前に何者かが俺に接触してきた。その当時俺は迎撃任務や防衛任務による殺害数が誰よりも多かった。
最初は妬みだと思っていた。だから迎撃が始まると同時に忘れた。
その時の敵はアメリカ陸軍は数に任せて攻め込んできた。押し込まれた俺は本部のフロアで机を倒し、迎撃した。
だが、すぐ隣の仲間が頭を撃たれて死んだ。
そいつは俺に目的の為に殺しは必要か?と聞いたやつだった。
その瞬間、いろんな思考が回り出した。
俺は何のためにここを守っているのか、
何のためにここにいるのか、
そして、何で俺は人を殺しているのか。
思考を停止して、もう一度考えてた時、俺はその辺にあった棒切れと布で白旗を作り、隠れていたところからそっと出した。
すぐに俺は海兵隊員に連れて行かれ、前線基地で身元の確認をされた。
身元が確認された時、一番興味を持ったのはアメリカ大統領だった。
彼は俺が事件の生存者であることに興味を持ったようだ。
『君が真、かね?あの事件の生存者と聞いたが』
『話は聞いている、君の力を貸してほしい』
『君は一体何のために闘ってきたのかね、ここで答えを探せるよう協力しよう』
俺は彼の言うとおりにした、その後、海兵隊の訓練所へ送られ、訓練した後、レンジャー連隊に送られ、第24分隊のひとりとして戦った……
だが、俺が戦場に出たその日に俺を残して全滅した。
また別の分隊に配属されたが、その度に全滅した。
その後、レンジャー連隊からはのけ者にされ、デルタフォース、SEALs、DEVGRUと特殊部隊を転々とし、
そしてタスクフォース140に入隊し、多くの味方を失いながらも、ついに【ブレイカーイレブン】の壊滅、テロリストの排除に成功した。
その戦闘の際に左目に銃弾を受けて見えなくなった。
俺の師匠が左目をアイバンクに入れていたから、左目を移植した。
だが、完全に適合はしていなかった。一ヶ月に一回、拒絶反応を抑える薬を飲んで凌いでいたが…………
数十日前に薬は切れた。
「え…………じゃあ学園都市って」
「そう、学園都市が設立されたのは子どもに最高の学習空間を作るためではない、テロの危険性から子どもを遠ざけようとしたんだ。
実際、学園都市のスポンサーは企業しかない、これは国家の思惑が学園都市に影響し、テロの標的にされるのを防ぐためだった」
桜の質問に真は静かに答えた。
しばらくの静粛が訪れる、聞こえてくるのはヘリのローター音だけ。
「何度も人を殺して回った、どうせ天国には行けはしない、可能な限り足掻きまくって、生を全うするさ」
また静粛。
「そういえば、さっき紫がこんなこと言ってたな、
ついに幻想郷は各パワーバランスを担っている全体と話し合うそうだ、今後の幻想郷の展開を、もしかしたら、ついに幻想郷は軍団を組むかもしれん」
[2050:11.07:10:28 場所不明]
「それで?紫はまだな訳?」
入り口側の一番前に座っているレミリアが退屈そうに言った。後ろには咲夜を従えている。
「もう少し待ちなさい、資料の準備に手間取ってるし、なにしろこの間の戦闘の後始末もしたのだから」
それを隣の八意永琳がなだめる。
「それでも遅いだろう、何かとっておきを用意してもらわないと待ってるこっちも退屈ってもんだ」
いかにも武闘派な発言をしたのは八坂神奈子。
「まあ~私はお菓子があったから~なんとか待ってるけど~」
間延びした言葉づかいと、高速で目の前においてあるお菓子が消えて行くのは西行寺幽々子。
「皆さん、ゆっくり待ちましょう、きっととても大切な話をするんでしょう」
全体をなだめるような発言をするのは聖白蓮。
「………………」
最初から押し黙っているのは古明地さとり。
彼女たちはこれから行われる【賢者会議】に参加する者である。
「何で俺も参加しなきゃならないんだ?」
「言ったでしょう?実際に戦っている者の意見が一番有効だって」
俺は紫の隣を長く白い廊下を歩いている、目がチカチカしてきた。
それよりも遅くないか?大分従者の説得に時間がかかったが。
「大丈夫でしょう、皆さんきっと待ってますよ」
その遅刻の原因が隣で呑気なことを言っている、
フィオナ.D.ムーンベルクは証人として、俺は説明としてこの会議に参加する。
「ついたわよ」
その光景は廊下と床が同じ色だからかただ地面に扉が刺さっているようにしか見えない。
俺が扉を開け、二人を中に入れる。
「お、ようやく来たか」
「お待たせいたしましたわ」
部屋に入り、事前に準備したパソコンを起動し、プロジェクターに接続する。
「では、初めさせていただきます、第十回賢者会議を開始します、では、いきなり本題の敵基地の情報を真から……」
「了解」
早速プロジェクターを起動し、白いスクリーンに映す。
「では、今回この隣のフィオナ.D.ムーンベルク、つまり元月の女王から情報をもらいました、彼女の情報はのちに話します」
「それで?どんなことがわかったのかしら?」
レミリアが突っかかってくる。
「……では、幻想郷の南端に奴らの基地が発見されました」
プロジェクターに上空からの偵察映像を映す。
「大量の対空兵器によって守られているため、非常に接近が困難です、この無人機もこの映像を送った瞬間に撃墜されました」
「なら陸路はどうですか?」
聖が聞く。
「陸路もダメです、この基地は四方八方を山に囲まれています、人、もしくは妖怪なら歩いて迎えますが、基地の規模的に車両が必要です、それ以前に人員が足りません」
「で、どうしたいわけ?」
レミリアがまた突っかかってくるが、紫がそれに答えた。
「そこで今回の議題よ、幻想郷全体で同盟を組もうと思うの、そうすればお互いで人員を共有したりできるじゃない?」
「組織を作るのか…………いいんじゃないか?」
神奈子が賛成する。
「そうね、別に敵対していた訳ではないし、いいんじゃないかしら?」
レミリアも賛成した。
「なら多数決を取りますわ、同盟に賛同の方」
レミリア、神奈子、永琳、幽々子、聖が賛成した。
「では、賛成多数で可決といたします」
さとりが手を上げなかった、おそらく俺を気にしているのだろう。
「では、フィオナ.D.ムーンベルクについての情報になります、
どうやら月の都にてクーデターが発した模様です」
「なに、クーデター?」
「そんなバカな」
「上層部のタカ派がいつまでも始めない女王に嫌気がさしたみたいです、
奴らはクローンまで使って国民を騙しているとのことです」
今回の戦争はいたってシンプルだった、女王の考えに反対する上層部の人間が、月の技術を使いクローンを作成、女王を幽閉し、クローンの女王が世間に出るようになった。
「原因がわかったとして、この基地はどうするんだ?」
神奈子が基地の地図を指しながら聞いてくる。
「まず数が足りませんが……私ならミサイルで対空兵器を無力化ののち、空から攻撃を仕掛けます、
ですが、この攻撃法は地上が離脱しにくい土地のためやつらの戦力が可能な限り集まっていなければ逆に背後を突かれ崩れます、
そのため、まず人員、その次に奴らの集結させるために残っている残党の奇襲、ですかね」
「よくわからんが、まぁそれで大丈夫だろう」
「では、これで会議を終了いたしますわ」
説明が終了すると、すぐに終了した、これからはフィオナを連れて博麗神社に戻る必要がある。
「ねぇ、真」
「なんだ、レミリア」
レミリアが突然声をかけてきた、普段の性格なら声はかけないはずだが。
「あなたに手伝ってもらいたいことがあるの、ついてきてくれるかしら?」
もちろんいいが一回戻らせてくれ、そう言おうとしたが、目の前が真っ暗になった。
Chapter6fin
状況:敵の主力砲台を破壊し、前線を敵の本拠点まで押し下げた。
報酬:真の真実




