第二十五話 Only one survivor
【ここからの地の文は全て桜の発言になります、
また、二重かぎかっこは真の夢の中での真以外の発言になります、
ご注意ください】
彼は元々あんなに武器が使えた訳では無いの、
彼が言う[師匠]っていう人に武器の扱い方を教えてもらってたらしいの。名前は知らないのだけれども。
ある事件が起きたのはその師匠から帰りに修了試験を受けるから、小さな暗器を内緒で学校に持ち込んでいたらしいの。
それが不幸か幸いか、役に立ってしまったの。
これから言う事は彼から聞いた話と公式情報を混ぜて言っているから、混同しないでね。
Only one survivor
11月2日、15:02:35 今から5年前
白神真
一般市民
岐阜県 岐阜市
その当時、真と私は隣同士で同じ学校に通っていたの、
私たちが通っていた学校は、学校の行事の全てを生徒が計画し、先生がそれに手伝うという完全生徒主義の学校で、有名人も多く送り出しているからそれなりに有名だったの。
その日は授業参観で、全生徒の保護者が来ていて、およそ千人ほどの人が来ていたと推定されているわ。
私はその日、風邪をひいて休んでいたの。
『よお、真!なんだ?桜は休みか?』
その二時間目に、事件は起きたわ。
突然、校内で発砲事件が発生したの、
その音が聞こえた時、彼は机の下に隠れたそうよ。
『全員その場から動くな!命が惜しけりゃ座ってろ!』
その瞬間、一部地域を除いた世界中の小中高学校で生徒等を人質にした世界規模の事件が発生したの。
首謀者はイスラム系過激派と思われていて、要求は全ての子供の学校教育の禁止というふざけた内容だったわ。
二時間以内に要求が認められない場合は人質を全員殺すとも言っていたわ。
『先生!しっかりしてください!』
その時の担任教師が撃たれた時の一瞬の隙をついて彼は攻撃したわ。
それが彼にとっての最初の殺人だった。
『おい!しっかりしろ!いいか、あんた無しでは俺たちはここから出られない、あんたがしっかりするんだ!』
しばらく混乱したのち、彼は敵から銃と服を奪ってクラスメイトと親を先導したわ。
『他の奴らはみんな殺されてる……』
先生が射殺された時の銃声が処刑の引き鉄になり、他のクラスで処刑が始まり、一瞬で生存者は減ったわ。
彼も応戦したけれど、助けられたのは数人しかいなかった。
『グッ!…撃たれた!俺を置いて先に行け!』
当然交戦すれば流れ弾が当たってしまう、次々と撃たれて倒れていく。気がつけば最初は生徒と保護者を合わせて五十人ほど居たのが三十人程度になってしまった。
『校門だ!ここから出られるぞ!』
校門には警察と真の親が来ていたわ、真の父親は国連の職員として働いて、母親はUNICEFの日本支部の一員として働いていたから、参観には参加できなかったけど、事件を聞いて二人とも駆けつけたわ。
『出口だ!出られるぞ!』
その時、後ろにいたクラスメイト達が出られると急いで真の前に出たわ。
『危ない!』
その瞬間、RPGが目の前の集団に着弾し、彼も爆風で吹き飛ばされたわ。
『逃がすな!殺せ!』
事前に屋上に隠れていたテロリストが、逃げようとした人達を次々と撃ち殺していったわ。それを真は何もできずに倒れたまま見ていたわ。気がつけば最後の一人に真はなっていた。
『おら、立て!よく聞け!後五秒以内に警察はこの周辺から離れろ!』
立たされ、ハンドガンを突きつけられた真を見た母親は飛び出そうとしたの。
『やめて!お願いだからやめて!』
『やめるんだ!』
母親は真まであと1mというところで撃たれて、そのまま息絶えた。その返り血を真は大量に浴びた。
『クソ野郎が!』
すぐに妻を殺されてやけになった父親も遠くから狙撃されて、息を引き取ったわ。
再び真の頭に銃が突きつけられて………
『ああああ………あああ…あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!』
Viewpoint change 霊夢
「それで、その後真はどうなったの?」
私は桜の話を最後まで静かに聞いていた。他の皆も同じようだ。
「真が話したのはここまでよ、ここから先は覚えていないの一点張りなの
真は気絶したまま発見されたわ、屋上には拳銃弾が体内に残ったままのテロリストが二十人もいたの、真はそのまま病院に搬送されたわ。
公式情報になるけど、結局、日本での死者は836名、テロリストも含んでいるから少し多いわ、生存者はたったの一人、真だけ。
世界中でも同時に起こった事件で、世界中では生存者が百人ほどしかいなかった、それのほとんどが重軽傷を負い、無傷で出てきたのはたったの二十人と国連は発表したの」
そんなことがあったのね……
《作戦中の全隊員に通告するわ、
現在敵の主砲が地上に露出中、作戦中の全隊員は直ちに地上に戻り、主砲を破壊してちょうだい》
「どうする?」
「真は置いておきましょう、私たちだけでなんとかするわよ」
すぐに装備を整えて、玄関からでた。
真………




