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東方戦争記  作者: 紅き蠍
第四章 スキマ妖怪の苦悩
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第十七話 華麗なる昇華

《こちら健吾、応答せよ!》



「突然大声で叫ぶんじゃない!」



《よかった!応答した!おい!三日ぶりに応答したぞ!》



まわりの声が聞こえた。どうやら時間を決めて通信していたようだ。



《大丈夫か?なかなか応答しないから心配したぞ?》



「本当に心配しているんだよな?」



《あぁ、救援に向かおうとしたが、あんた達の現在地の座標がわからないから救援に向かえん、どうする?》



「健吾、聞いてくれ、メリーが誘拐された、なんとかして奪還する」



《二人でなんとかなるか?》



「なんとかする、こちらが連絡したら地点 XエックスレイZズールー5 0 2 6に向かえ!」



《了解した!カルロ達を連れて向かうぞ!》



「了解!アウト」



通信を終えた時に敵がやってくる。

敵の一人の頭を偶然撃った。当然敵は地面に倒れた。しかし、



ゆっくりと、再び立ち上がった。



すると目が赤く光り、周りの味方に攻撃しはじめた。

獣のような叫び声をあげながら、銃を乱射した。

味方も予想外だったらしく、気づいた時には全滅していた。



突然頭が弾け、首があったところから触手が生えてきた。



「おーおー、なんかバイオハザードになっているじゃねえか」



「だめ!こいつ弾丸をものともしてない」



確かに先ほどからライフルの弾丸を撃ち続けているが、あまり変わらない。



「……なら、少し試すか……」



ポケットから一つ弾丸を取り出す。



「何それ、一発しかないけど」



蓮子が聞いてくる。



「俺が調整した弾幕弾、一発で取り出さない限り弾幕を展開できる、ただ妖怪以外には効かないが」



そう言いながら、連射し続け、妖怪化した敵を倒した。






再び前進。しかし。



突然、通路の脇から妖怪化した敵が蓮子に攻撃した。



「ッツ!…やったわね…!」



すぐに後ろを向き、そいつを殴り、よろめいたところをライフルで撃ち抜いた。



「大丈夫か、蓮子?」



彼女は大丈夫、と言ったが、一応手当するために部屋に入った。



ここは医務室のようだ、薬棚やベッドがある。

救急スプレーを置いてきていたので、部屋にあった消毒液と止血器具を使って蓮子の怪我を治療する。



「衛生兵なのに治療されてるわね……情けない……」



「仕方ないさ、俺も問題だった、捕まる事を考えていたならもっと慎重に行動できて、医療器具も持たせていたのに……」



「今はどちらの責任なんて関係ない、とにかくメリーを取り返さないと…あら、あのアタッシュケースは何かしら?」



見ると机の上に銀色のアタッシュケースが一つ置いてあった。



回収し、鍵をピッキング用の針金で開け、中を確認する。



「注射器が三本……全部中身が入っている、真っ赤だ……どうやら妖怪化用の薬みたいだな」



アタッシュケースに入っていた紙によると、この薬は試験型で、一定期間で妖怪の力が消えるようだ、それを阻止するためには本物の妖怪の血を飲むか、完成品を打つかの二つ種類があるようだ。



「持ち帰って分析しましょう」



アタッシュケースごといただくことにした。

完成品もあったので、回収する。



部屋から出て、再び前進する。



「この先は広い場所に出るようだな」



長い廊下を渡る必要があるが。

その廊下には遮蔽物が全くないので、ライオットシールドを奪って使うことにした。仲間が妖怪化してやられたから綺麗なままだ。



ライオットシールドを構えたまま、前進する。



奥の部屋から敵が出てくる、その敵は全員俺に向かって発砲する。



当然、弾丸は全てシールドに阻まれるが、衝撃が持ち手を伝わってくる。



「ぬっ、ぬおおおおおおおお!!」



かなり弾丸を撃ち込んでくるため、かなりの衝撃が来る上に、こちらを殺そうとする意思が弾丸に込められているようで、プレッシャーが来る。



「蓮子!仕留めてくれ!」



傍からシールドの隙間を狙ってくる敵を蓮子がMP7で撃ち抜いた。



敵が一人残り、シールドで殴り、ハンドガンでトドメをさす。



扉まで到達したが、鉄製の扉で、蹴破れない。



とりあえず、ゆっくりと、その扉を開くことにした。



部屋に入ると、奴が一人、立っていた。



「やぁ、よく来たね、ブルーイーグル!彼女を取り返すためにわざわざ自分の命をはってきたのかい?全く人間というものは理解ができない」



やれやれ、と首を振ると、壁のスイッチを押し、前と同じように一つのカプセルを下ろす。



「お前も同じ人間だろうが、さっさとメリーを解放しやがれこの白衣野郎」



静かに敵意を込めていう。




「ふむ、ではご対面と行こうか……彼女を正気に戻せたら返してやらなくもない、まぁ、精々頑張りたまえ」



奴はカプセルの蓋だけ開けるとすぐに何処かへ行ってしまった。



「さぁ、ご対面だぜ、覚悟はいいか?きっと戦闘は避けられない」



「できれば傷つけたくない……」



蓮子がそう答えた瞬間、メリーはびしょ濡れの手術服を着た状態でゆっくりと這うようにこちらへ歩いてくる。



「前見たときと服が違う!?」



「覚悟を決めろ!くるぞ!」



そう言った瞬間、彼女から大量の光弾が向かってくる!



素早く土嚢を召喚、積み上げ影に隠れる。



「で、どうするよ、傷はつけたくないんだろ?」



「私に聞かれても……特攻って言う事しか出来ないけど?」



「なら、今すぐやるか?おそらく前西行妖と戦った時と同じだろう、結界が見える、破らないと何もできやしない」



「絶対に彼女に傷つけないでよ!」

「お前も攻撃するんだよ!」



「攻撃開始!気をつけろ、弾幕が厚い」



攻撃を開始するが、異常な量の弾幕が視界を覆い尽くす。迂闊に頭が出せない。



シールドを持ったままだったので、わざと射線上に出て、敵の注目を集めて弾を防ぐ事にした。

攻撃は蓮子に任せることになるが、何とかしてくれるだろう。



「蓮子!攻撃を受けるからそのうちに攻撃しろ!」



「だめ……私には撃てない……!」



「何言っている!攻撃しなければこちらがまずい!」



そうこうしているうちにシールドがヒビ割れてきた。限界と判断して遮蔽物の影に隠れる。



「どうした蓮子!あいつを元に戻すにはあいつを倒さないとならないぞ!」



「それでもメリーは私の友達だよ……!手を出す訳にはいかない!」



《おやおや?突然友達ごっこですかな?データが取れないではないか、実験番号3097、下がれ、実動部隊、前へ》



スピーカーから奴の声が聞こえたと同時に、メリーの周囲に透明の壁が現れ、壁から武装した集団が十人程現れた。



「メリー以外はどうなんだ?」



「……倒すに決まってる」



そう言うと同時に俺たちは左右から飛び出し、敵を確認。



その瞬間、意識が研ぎ澄まされ、周りの時間がゆっくりと流れる。



右から一人づつ、順番に弾丸を叩き込む。



集中が切れた。蓮子も同時に倒していたので、十人いた敵は全滅した。



「お互い腕はなまってないようだな?」



「3日よ、対したブランクじゃないわ」



「まぁ、そうだろうな」



そう言いながら、メリーに駆け寄る。



「傷つけたくないなら方法は一つしかないぞ!それもA級の危険を伴う!」



「それしか方法は無いんでしょ!ならやらないと!」



片手にワイヤーの端を持ち、もう片方の端を蓮子が持つ。



《何をするつもりかわからないが、まぁいい、カバーを外せ!》



なにも気づいていない、チャンスだ。



カバーが上がり、メリーの足が剥き出しになる。



そこへ、ワイヤーを足へ引っ掛け、メリーを倒す。

メリーはまえめのりになって倒れ、蓮子が仰向けに起こし、メリーに呼びかける。



「メリー!目を覚ましてメリー!私よ!蓮子よ!一緒に今度美味しいケーキ食べに行くって決めたじゃない!お願いだから目を覚まして!」



一瞬だけ反応したように見えたが、すぐに蓮子を振り落としてしまった。



蓮子を抱えて立たせたところへ、横から突然弾幕が飛んできた。



なんだ?!横から弾丸が飛んできた!?すぐにその場から離れ、横を見ると、一部分だけ、空間が裂けていて、その中は、暗い世界が広がっていた。



これで確信した。元々メリーは紫に関わりがある、でなければ、なぜ、スキマが出ているのだろうか。



「周囲に気をつけろ!メリーがスキマを使っているぞ!」



「なら近づけばいいでしょう!」



メリーへ蓮子が近接を仕掛けた。しかし、そこへスキマが開き、蓮子に弾丸が飛ぶ、当たってしまう!



その瞬間、赤いパワードスーツをみにまとった奴が現れた。

奴はそのまま蓮子を抱えてこちらの土嚢まできた。



『久しぶりだな、青鷲、元気にしていたか?』



「貴様は誰だ!?」



機械音声は何処かで聞いたことがあったはず。名前が思い出せないが。



『あの時を覚えていないか…と思ったが名前を教えていなかったな…私の名前はアーリスコルピオ、コードネームだ、ロシア語で緋の蠍と読む』



「それで、赤蠍さんは何故俺たちを助けるんだ?」



『この研究所は私が前から目をつけていた研究所でな、君たちの仲間が来たことを知ってやってきた。ところで、あんた達の仲間も来ているのだが』



後ろに緑色のナイトキャップのようなものをかぶった尻尾が二つの少女がいた。



「あんたが橙か?潜入していた…」



「私はしっかり情報を持ってきました!」



彼女の話を聞くと、どうやらメリーは、奴らの妖怪化薬を作成するために、わざと仮妖怪化薬を投与し続けているそうだ、ついでに理性を失う薬も定期的に投与されているらしい。


その定期で注射するための装置が胸元にある。今日はまだ注射の時間ではないが後十分しかないようだ。

今日注射してしまえば、明日まで効果が切れないそうだ。



つまり、その装置を外して十分すれば、メリーは意識を失って連れ戻せる、ということだ








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