第十六話 静かに素早く、そして大胆に
Viewpoint change 真
調理室を出てからすぐにUSPにサプレッサーを取り付け、ナイフを取り出し右手にUSPを持ち、左手にナイフを逆手に持って、右手を左手の手の甲側の手首に置く。
こうすることでハンドガンを撃ちやすくなり、ナイフも出しやすくなる。
大人十人が横に並んで歩いても大丈夫な廊下の壁際を歩く。
(やけに静かだな……警戒しないとな……)
しばらく前進んでいくと向こうから敵がやってくる。
すばやく小部屋に入り、扉のそばで敵が通り過ぎるのを待つ。
敵が扉を通り過ぎた後を狙って敵の後ろに立つ。そして、敵の肩を抑え、喉元をナイフで切り裂く。
「お前のタグ、もらっておくぜ」
そのまま死体を小部屋の中に隠しておく。
再び前進し、角を曲がると、電子ロックがかけられた扉を見つけた。なぜか覗き窓が付いている。
その窓から覗くと……
ナイトキャップをかぶった長い金髪の頭が見えた。
両腕両足を椅子に縛り付けられ、動けないようだ。
「こちらストライク、目標を発見した、座標を送信する、ただ扉には電子ロックがかかっている、オーバー」
《こちらメタル&ロミオ、了解、こちらは問題ない、ただ敵がくる気配がするので動けないわ、そちらが鍵を回収したらその部屋の前で待つわ、オーバー》
「了解、アウト」
通信を終わらせ、再び前進すると、無人の警備室を発見した。
中に入り、監視カメラを見る。
するとあるカメラの映像にカードキーがあった。
あれだ。
すぐそばの台に施設の職員への伝達のプリントがあった。内容は
全職員へ通達
一週間後に施設の内部変更を行う。
変更後は施設の部屋の位置がかなり変わるため、各員必ず一階資料室のD1にある地図を回収すること。
施設長より
2050年8月1日
資料室に行けば地図が確保できる、
回収するため移動を開始した。
廊下を警戒しながら歩き続けると、一階のフロアについた。
ライフルで武装した複数の敵があちらこちらへ動き続けている。
俺は廊下にあった配管の裏に隠れる。
その時、ちょうどこちらにくる一人の敵兵がいた。
そいつが俺の側を通りすぎる時に首を絞め、麻酔薬入りのハンカチを吸わせる。
「運が良かったな、状況によっちゃ殺していたはずだ」
音を立てないように敵の服を奪い、着ていた服の上から着る。
「異常はありません」
「よし、警備に戻れ…そうだ、先程侵入者がいるらしいとの報告があった、見つけたら周りに報告しろ」
「了解しました」
こちらは完全に仲間と勘違いしている、こちらが怪しまれる前に資料室に続く廊下に向かう。
特に苦労せずに資料室へついた
全員もう回収は済んでいるようで、地図は後一枚しかなかった。
「こいつがあれば何処か分かる」
さらに探していると、もう一つの資料を見つけた。
それは攻撃指令だった。
当研究所戦闘職員へ
十月十一日に妖怪の山を襲撃する、
戦艦アクーラを使用するため、乗組員は準備せよ。
月の都 都長
フィオナ.D.ムーンベルク
「こちらストライク、興味深い資料を見つけた、そちらに送信する、オーバー」
《こちらロミオ&メタル、受け取ったわ……襲撃の計画書見たいね、健吾達に送るわ、引き継ぎ探して、オーバー》
「了解、アウト」
さっきカードキーを見つけた部屋は二階にあるようだ、移動を始める。
二階に上がり、しばらく進むと、近づけない位置に敵がいた。
そこでナイフをしまい、ハンドガンを両手でハンドガンを持ち、頭に狙いをつける。
発砲。
パシュッ!
倒れたのを確認し、進む。
目的の部屋に到着したが、中に反応が2人。仕方が無いのでノルンをサーマルモードに切り替え、スモークグレネードを投げ込み突入する。
パシュッパシュッ!!
すぐにカードキーを回収し、その場から離れる。
「こちらストライク、目標確保、これより目的地へ向かう、オーバー」
《こちらロミオ&メタル、了解、さっきの場所で合流しましょう、オーバー》
「また後で、アウト」
通信を終わらせ、さっき来た道を戻る。
途中のフロアにはまだ敵がいる、バレるのも時間の問題だろう。
そこで俺はハンドガンの空マガジンを敵の反対側へ投げる。
カランカランカラカラカラ…
「何の音だ!」
全ての敵がマガジンが落ちたところを見に行くのを確認し、奴らの頭にめがけてハンドガンを発砲。
USPのマガジンの限界12発を撃ち切り、敵を全員排除した。
再び戻る。
「私達の方が早かったようね」
さっきの扉の前でメリー達に合流。
早速カードキーを使って中に入る。
「メリー達は周辺を警戒してくれ」
「了解」
メリー達に指示し、紫に声をかける。
「おい、紫、迎えに来たぞ、起きろ」
返事はない。
「おい起きろ、敵が来る」
返事はない。
「おい!いい加減起きろ!」
肩を掴んだ瞬間、紫の頭が落ちた。
「なっ……!」
「どうしたの?!」
「おい、二人とも入るな!」
もう遅かった。
プシュー!
「クソっ、睡眠ガスか…ゴホッ!ゴホッゴホッ!」
「ちょっと!どういう…こ…と……」
「真!逃げるわ…よ……」
一人づつ倒れていくなか、俺は静かに意識を失う瞬間、ガスマスクを付けた男を見た。
「起きろ、所長様がお呼びだ」
「クソっ、もう少し優しく起こせないのかよ」
次に起きた時は、後ろに手をまわされて縛られていた。
今いる場所は壁のあちらこちらにレバーがあり、上には何やら透明度の高い緑色の液体がはいった容器がいくつも並んでいる。
あいつらはどこへ行った?
「ちょっと!何すんのよ!」
そう考えているうちに蓮子が来た。
「あぁ!真!無事だったのね!」
「あぁ、大丈夫だ、それよりメリーを知らないか?」
「知らないわ、独房を出てから会ってない」
どこへ行ったのだろうか?
するとそこへ白衣を着た一人の五十代すぎたくらいの男がやってきた。
「やあやあ青鷲の諸君、よく来たね……おや、だいぶいない気がするけど…」
「あんたは誰だ、メリーはどうした!」
「メリー?誰のことかね?
あと質問は一回づつと習わなかったのかね、まあ、いいだろう、
私の名前なんてどうでも良いだろう、あえて言うなら……そうだな、主任とでも呼んでもらおう」
「ここで何をしている!」
「ここまで来た君たちには特別に教えてあげよう」
そう言って奴は壁にあったスイッチやレバーを操作して一つだけ中が見えないようにされている容器を下ろす。
「私が研究している物はね……」
そう言いながら、容器の蓋を開ける。
「妖怪についての研究だよ」
中から出てきたものは……
「メリー!!」
「おや、君たちの知り合いかね、彼女は素晴らしい実験台だったよ、なんせ元から妖怪の力が強いからね、私が開発した妖怪化の薬の効きが分かったからね」
「貴様メリーに何をした!!」
「見ての通りだよ、わからないのかい?もういい、こいつらを独房に戻せ」
左右の兵士が了解すると、俺たちを引っ張っていく。
「メリー!起きて!メリー!」
「起きろメリー!!応答しろマエリベリーハーン!」
その瞬間、横から強い衝撃によって気絶した。
解放の日
8月12日、12:43:42 潜入から三日後
白神 真 戦争捕虜
ブルーイーグル隊
場所不明
「おい、飯持ってこいよ、腹減った」
本当は腹なんて減ってない。
「チッ、ほらよ」
ご親切に手を鉄格子の間に入れてパンを渡してくる。
「どうもありがとうございましたッ!」
その手を引き込み、靴のパッドの下に隠しておいたワイヤーを首に引っ掛け、巻きつけて首を絞める。
「飯ありがとよ、こいつはお礼だ」
警備員の腰から鍵束を奪って、もらったパンを食べる。
「乾いてる…マズイ…」
さあ、反撃開始だ。
鍵束から自分の牢屋の鍵を見つけて、鍵穴に差し込み、静かに回す。
カチャン、と音が鳴り、静かに扉を開く。
気絶した敵から武器を探る、使える武器はナイフしかなかった。
「ッチ、しけてやがる」
敵を代わりに中に入れて鍵をかける。
このエリアでは個人の判別に遺伝子情報を使っているようだ、敵の服を奪っても意味がない。
ナイフ一本で石造りの廊下を静かに歩く。
脱走された時のためなのか、俺と蓮子の位置は離れている、俺は地下三階。蓮子は一階。
どうせバレる、途中の警備室で武装をかっぱらおう。
ほとんど人がいない。走っても問題ないだろう。
階段を駆け上がり、警備室に飛び込む。電子ロックがかかっているが、ワイヤーで無理矢理破壊する。しかし。
ジリジリジリジリジリジリ!
《警備室の武器庫のロックが破壊された!警備員は至急地下二階の警備室に迎え!》
ロックにアラームがついていたようで、ベルの音が鳴り響く。
急いで中からレミントンM870を取り出す。
部屋から出て、上に登る階段を見つけ、登る。登った先はこちらに向かってくる敵だらけだった。
とにかくレミントンをひたすら連射する。
「うおォォォォォォ!」
突然目の前から剣を持った敵が突撃してきたが、よけて敵の背後に回り込み、首を絞め、敵のハンドガンを奪い、盾にして乱射する。
殲滅した後、盾にした敵の頭を撃ち抜く。
また前進する。
周辺のエネルギーがまったく無いため召喚ができない。敵が持っていた武器を拾うことにしたが…
「なんでどいつもこいつもL85しか持ってないんだよ!」
L85、通称弾のでる鈍器。
かなりの頻度で玉詰まりが起こり、マガジンが落ちやすく、殴った方が良い程の武器。
とにかくこいつを持っていくしかない、早く倉庫で装備を回収しなくては。
階段を上がり、接敵する、物の影に隠れて交戦しようとするが、弾が何度も詰まる。隠れて詰まった弾を取り出してもまた詰まる。
どうやら敵も同じようでまったく弾丸が飛んでこない。
なんだろう…この戦争…
諦めてショットガンで殲滅する。
ちょうど敵の一人がクリスベクターを持っていたので頂戴した。
鈍器とはおさらばだ。
とにかく、先に進むことにする。
そして蓮子がいる牢屋の前で、蓮子を連れ去ろうとする奴がいた。
感覚が研ぎ澄まされ、時間がゆっくりと進む。
そして、奴の頭をぶち抜いた。
Viewpoint change 蓮子
《警備室武器庫のロックが破壊された!警備員は至急地下二階の警備室に迎え!》
プーピー!プーピー!
「情けない警報ね……」
目の前の警備員が慌て出し、下からは銃声が聞こえてくる。
「おい!貴様こい!」
「いいけど…鍵はあるかしら?」
「チッ、鍵を持ってこい!」
そう言ってアンダーバレルショットガンで鍵を破壊しようとする。
破壊して扉を開き、私を連れ出そうとする、だが、途中で横から銃弾が飛び、敵の頭を貫く。
「よお、蓮子、大丈夫か?」
「ふふ、大丈夫に決まってるじゃない、あなたこそ大丈夫かしら?」
「あぁ、問題ないさ、受け取れ、行くぞ!」
そう言って彼はMP7を召喚して渡してくる。
「それで、どうするの?」
「決まってるだろ……
装備を回収して……
メリーと紫を連れて帰る!」
Viewpoint change 真
「それで、倉庫は位置がわからないわよ」
「ノルンに地図をインプットさせてある、二階にあるみたいだな、急行するぞ、さっさと装備を回収するぞ」
階段を駆け上がり、敵と接敵。
「数十!」
「確認!殲滅せよ(オールデストロイ)!」
ベクターを連射、精度が高いため、ばら撒けばだいたい当たる。
蓮子はMP7を連射し、敵を足止めする。現状ではハンドガンもライフルもグレネードも奪われている、連射するしかない。
ただ、相手が弾のでる鈍器を使っているため、簡単に倒せた。
とにかく、急いで倉庫に入り、装備を回収する。
レミントン、ベクターはこの場に捨てることにした。
「ちょっと!こっちこないでよ!」
「おう、すまない、ごゆっくり」
蓮子から離れた位置で今まで着ていた囚人服を脱ぎ捨て、迷彩服を着る。
元々持ってきたPSG-1を拾い、H&k 416も回収。他に使えるものがないか探すと。
ミニガンを発見した。
「こいつがあれば、ごり押しできるな」
とにかく弾薬を確認し、250発あり、だいたい大丈夫そうだ。
しかし、重い、とてつもなく重い。約100kgを甘く見過ぎた。
そこで蓮子が合流、メリーは最後確認した時、服を着たままいれられていたので服はないだろう。
「ちょっと、それは無理だと思うけど……」
「……無理なら…背負う!」
無理矢理背負って行動開始、いくらか楽になった。
「あんた、本当に人間?」
世間で話題のTwitterをやってみました。
ただ、更新宣言しかしませんので日常的につぶやくことは無いのでご注意を。
@antarfs




