第十一話 亡霊の行方
[2050:7.05:11:30 博麗神社]
画面の前の諸君は、月の数を見て
「あぁ、夏だな、これが普通の幻想入り作品だったら、水着姿の霊夢達がみれるんだろうな…」
と、思い、作者を怨むだろう。
しかし、今見えるのは陽炎でも逃げ水でも水撒きでもなく…
「な、なんで夏に雪が降っているんだぁ?!」
なんで?!異常気象とかいうレベルじゃないぞ?!てか今頃?!アイエエエエエエエ?!ユキ?!ユキ?!ナンデ?!
「だまらっしゃい!」
ガツッ!
ふぅ、少し落ち着いた。状況を整理しよう。
まず、日本海側の東北級に雪が降り、気温は現在の時点で-5℃。
緊急事態に備えておいたパーカー(迷彩柄、当然対斬撃用繊維とマガジンポーチ付き)を全員分配布済み。
雪の深さは60cm程。降り過ぎ。
紫からは「しばらく寝ます、お休み」
と来たばかり。
ダメだ…現時点で犯人が発覚する訳ねぇ…
とりあえず、情報だ、今まで読んできた異変の文書を読み漁る。
「あら、何してるのかしら?」
霊夢が話しかけてきた。
「見りゃわかるだろ、調べてるんだよ」
「あぁ、雪が降っている理由ね、それは「あった!あったぞ!二時間ぐらいかけてここまで来たんだ!」冥界の仕業じゃないかしら?」
…エエエエエエ?!早くいってくれよ…
という訳で、霊夢の話しを聞き、文書を読むと、冥界が一番怪しい、という結論に至った。
冬め…成敗してくれる!
「では、ブリーフィングを開始する」
Running……Complete
「今回の目標は冥界の白玉楼だ」
…Loading the terrain information
「異変で一回、春を冬にしたそうだ」
…Password input
「我々には不可能な事をしてくる」
…********
「それでも我々はその異変をもう一度解決する、解決されたなら、もう一度解決できるはずだ」
…During authentication …Complete
「冥界は遥か上空に存在し、結界に守られているが、その点は問題ないそうだ」
「冥界は死者の魂がいるらしいが、我々には問題ない敵だ」
…Topographical information display start…
「だが、おそらくだが、月の奴らも多少なりと関わっているだろう」
…Loading…Load failure
It is too cold, please warm…
「総員気をつけろ、遭遇したら迷わず撃て…あー、寒さでプロジェクターおかしくなっちまった、総員地図は無しで頑張ってくれ、以上だ」
西行妖の桜
7月5日 -12:34:15
白神真
ブルーイーグル隊
冥界 白玉楼
「よし、気づかれずに潜入できたな、…なんだこの前にある長い階段はなんだ?」
静かに階段を上がり続ける。その時。
「た、助けてくれ!」
一人の武器を持たない男性が、階段を転がるように降りてきた。
「おっと、動くな、武器は無いな、そこから近づくなよ」
銃を上げて男を静止させる。
「所属を名乗れ」
「月面の特殊作戦及び実験第三部隊だ!」
全員に緊張が走る。
「なんで月面の部隊が俺たちに助けを求める?」
「俺たちは本部の命令で西行妖に桜を咲かせろ、咲かせる為には季節度という物がいると言われて、夏度を集めたらどうなるか検証したんだ!
結果は最悪だった、全部巻き込んで消滅する!
本部に進言しても取り消され、仕方なくやったら予想通りだ!
今、西行妖は神に近い存在だ!俺たちはもう月面の本部なんか信じないから、助けてくれ!」
「わかった、わかった、とりあえず落ち着け、とにかくそこまで案内してくれ」
彼は少し落ち着き、階段を上り始めた。
途中、月面の部隊にあったが、なにもしてこなかった為手を出さなかった。
階段の頂上が見えてきたところで、人型のロボットに遭遇した。
ロボットはこちらを一目見て、すぐにセンサーアイが赤くひかり、攻撃を始めた。
「隠れろ!」
「隠れろったって何処へ?!」
健吾に言われる、行動で示す為に階段でしゃがむ。
「あいつらはこちらを敵と判断したら倒れるまで攻撃してくるぞ!」
月面…元月面の兵士のカルロが叫ぶ。
「なら、これだ、EMPを投げる!」
素早く機械の回路を焼き切るEMPグレネードを投げる。
バン!という音の後に電磁波を拡散させる。
次の瞬間ロボットは煙を立てて倒れた。
「あ~こちらのHUDが誤作動、復旧まで3、2、1」
カルロのHUDに影響していた。
「サッサと進むぞ、カルロ、他の部隊に連絡して弾薬や装備を持って来てくれ!」
「わかった!」
「あぁ、扉を開ける時は気をつけろよ」
最後の言葉は聞こえなかったようだ。
とにかく、隊を引き連れ前進する。
何度か敵の車両型ドローンに遭遇し、EMPグレネードを投げ続ける。
屋敷の部屋をしらみつぶしに確認していく。
一つの部屋を開けた時だった。
一人の少女が傷だらけで倒れていた。
「おい!君大丈夫か!?」
一応声をかけ、意識の有無を確認する。
おかっぱの白い髪にカチューシャをつけている。
一応あるようだが、かなり傷が深い。
「蓮子、どうだ?」
「かなり傷が深い…出血量も多い、よく今まで生きていた…という感じね」
「待て!意識がある…治療を!」
素早く救急スプレーをかけさせる。
「ゆ、幽々子…様」
「おい!どうした!ここで何があった!?」
「西行妖が…咲いて…しまった…早く…幽々子様を…助け…ないと…」
「おい!西行妖とはなんだ!おい!」
「気絶したわ…」
しっかりした情報が手に入らないまま、気絶してしまった。
「とにかく前進しよう」
とりあえず、彼女をその部屋においたまま他の部屋も確認する。
途中何度か敵のドローンに遭遇するが、EMPグレネードですべて対処した。
中庭に移動すると、一人の女性が立っていた。
しかし、様子が変だ。
「あら、またお客さんかしら?」
「あんたは誰だ!?」
「私は西行寺幽々子、死を操る程度の能力を持っているわ…それよりも…」
「なんだ?」
「早く私から逃げなさい…」
「なに?」
「私はこの西行妖に取り込まれた…意識を完全に持っていかれるまで時間が無い…早く…私から…逃げなさい…!」
どうやら、カルロ達がおこなった実験により、取り込まれたようだ。
「いいから…早く…逃げなさい!」
直感でマズイと思い、土嚢を少し多めに召喚し、遮蔽物を作る。
「グ、グルアァァァァァァ!!」
叫び声と共に、大量の色がついた弾幕が押し寄せてきた。




