表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

前後関係

真後ろのキミ

作者: シンタグマ

 バサッ。

 またか。体をひねって自分の肩越しに後ろを見やると、やっぱり黒い頭は机の上に突っ伏されていて熟睡の様子。その頭を私の手に握られたプリントが覆っていた。起きる気配が無いので更にプリントの隅でツンツンつついてみる。……だめだ、起きる気配が無い。

 あのさ、今ホームルームだけど大体十分で終わるでしょうが。何故そんなわずかな時間も起きていられないのか理解に苦しむ。机の端に置いて置きたいのだけど、学校の小さな机の天板一面は伏した彼のデカイ図体で埋め尽くされていて隙間は全く無かった。

 仕方ないのでプリントを掴んだ手の甲で彼の肩を何度かトントン叩く。……だめだ、起きる気配が無い。

 困ったなぁ。少し首をかしげると、斜め後ろに座っている男子と目が合い、思わず苦笑した。毎回これじゃ困るよねみたいな笑いを交わし、後ろの彼に向き直る。

 プリントを持ち替えて、空になった手を彼の後頭部に伸ばした。

「佐藤君」

 前から思ってた、髪の毛のこのツンツンを一度は触ってみたいと。小学生の時、同じクラスの男子がスポーツ刈りにするたび追い掛け回して頭を触りまくっていたことを懐かしく思い返す。

 良い子良い子でもしてやろうという目論見は、凄い勢いで起き上がった彼によって阻まれた。伏したときに付いたのか、彼のおでこと頬が赤い。

「あ、ゴメン。プリント」

「……どうも」

 目を合わせると気まずくなって、視線を外す。なんだか頬が熱い。それを隠すように教卓の方へ体をひねった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ