ベビーシッター★キララ
恋人でもないアンドレの麻布十番のマンションで、ニートしてる私もついに、仕事をすることに!
って言っても、ご近所の子供の龍君を預かるだけ。
シングルマザーの龍君ママが、夜とか気晴らしに飲んで来たいときに、預かることにして、礼金をもらうことになった。
ベビーシッター☆キララの誕生だ!
龍君は麻布小学校の三年生で、少し変わってる。
めったに口をきかないと思ってたら、テレビのコマーシャルを一字一句間違えずに、リピートする。何が食べたい?って聞くと、何が食べたい?って、こだまのように返ってくる。
すごい偏食で、納豆ご飯しか食べない。外だと、マックのポテトを食べたがる。
信号機があると、柱にひっついて離れない。
何が気に入らなかったのか、突然、火がついたように、泣き出して、はいてた瞬足っていうズックを投げつける。
………もらってる金額じゃあ、割に合わないような大変さだ。でも、このバイト、やめる気にはならないな。
なんだか子供のすさまじい泣き声がよく、聞こえるなあって思ってた。どうやら、マンションの一階からだ。大人の怒鳴り声もする。子育て中の家ってこんなものなのかしら…。
その日も、子供の泣き声がして、なんとなく気になって一階のどの部屋だろ………って、廊下を歩いてたら、ダンッ!!って、ドアになんかぶつかった音が響いた。続いて、火がついたように、泣き叫ぶ子供の声に大人の女の怒鳴り声。
「おまえなんか死ねっ!!」
………ひいい~。いわゆる児童虐待だわ。児童相談所に通報しとこうっと。
*****
通報したら、早速児童相談所の人が来て、事情を聴いてった。すぐに、子供を保護してくれるのかと思ったら、しばらく様子をみてから…とか言ってる。
なんじゃ、そりゃ?すぐに死んだりはしないだろうけど、様子をみてるうちに、ひどい怪我したら、どうすんだよ!
「すぐに、保護してくれないなら、 なんとか今日だけでも、うちで預かれるように、あの親に交渉しに行くから、一緒に来て下さい!」
って、言ったら、刺激するのは良くない…とか言う。ふざけんな!帰れ、もう!
児童相談所の役立たずどもが、帰った後、一階の例の物音の家の呼び鈴を押した。
「すいません、二階に住んでる者ですが………。」