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麻布十番物語  作者: 由妃
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鹿男とマダムの恋

麻布十番のアンドレのマンションに、押しかけ同棲してる私。


最近、近所つきあいもするようになった。………って、言っても、同じマンションのマダムに、KOOTSていう、緑茶版のスタバみたいなところで、餡子とかソフトののった抹茶味のかき氷おごってもらって、食べてるだけだけど。



なんせ、ニートなんで………。遠慮なく、ごちそうになってる。



マダムは、既婚者だが、最近、恋人ができた。


だれでも、そうだが、恋は苦しい。既婚者だろうと、生娘だろうと…。


って、脳内王子たちに、恋してる私が言っても、なんだが。



マダムの恋人は、マダムに熱いメールを毎日くれるらしい。でも、その内容は、なんと教育論。


そう。マダムの恋人は、麻布高校の教師。




どうやって知り合ったんだんだろう?多分、スタバかどっかで、見つめあっちゃったのか?


マダムは、えらい美人だからな。


マダムに恋人の写メを見せてもらったが、なかなかいい男。ココリコの遠藤じゃない方に、似てる。ダークスーツを、ちゃんと着こなすタイプだ。



マダムと初めてい・け・な・い・関係になったとき、彼は、オロオロして、まるで撃たれた鹿がヨロヨロになっちゃったみたいだったという。



なんじゃ…そりゃ?


マダムは、その様子見て、いたく傷ついたという。人を抱いておいて、撃たれた鹿になるなんて…全くひどいわ…と、かき氷を崩していた。



私の脳内のファイルには、マダムの恋人は鹿男、と記録される。



相手が鹿男なら、マダムは、ムツゴロウさんとかに、なればいい。それなら、鹿でも、仲良くなれんだろ?って、私は提案したら、やってみる!って言ってた。



テレビで見たムツゴロウさんは、どんな動物とも仲良くなれる人らしい。



得意技は、ヨオッシャヨッシャ!ってひたすら動物を撫でること。簡単そうだ。ムツゴロウさんが、ヨオッシャヨッシャって、てなずける相手はライオン…とかオオカミ…とかだけど、鹿男は、しょせん、人間。危険度レベルは、かなり低めだ。




鹿男も、既婚者だが、マダムへの恋は本物で、それゆえに、びびったんだろう。既婚者同士の恋は、下手すると、お互いの家庭を壊しかねないから。マダムに夢中になり、いろんなものを失う未来に戦慄したのか…それとも、マダムと別れる未来に戦慄したのか…。私には、わからないけど。



でも、マダムは見事、二度目の逢瀬には、ムツゴロウさんのように、ヨオッシャヨッシャ!をやってやったらしい。


以来、鹿男は、マダムに手なずけられ、毎日、日刊教育のようなメールを送ってくるらしい。


なんじゃ、そりゃ?めんどくさい男だなって、私は思ったが、マダムは、行間に、アイラブユーのメッセージが、こめられてる…と、涙ぐむ。



恋は盲目だ。




鹿男は、なかなか詩人で、マダムをドラクロワの民衆を導く女神にたとえたりすると言う。



それは、いいな。うらやましい。AKBの誰かに、似てるって言われるより、かなりうれしいだろう。



マダムは、鹿男のそんな詩人なところに、惚れたのかもしれない。



良くも悪くも既婚者同士の恋だから、毎日逢ったりも、できないのが、マダムの悩み。



苦悩に彩られた恋は、美しい。



つらいこと、苦しいことは、嫌いな私は、マダムの恋を対岸の火事のように、見守る。面白いから。


えっ?性格悪いって?


私の性格の話じゃないの。マダムの恋のお話なの!



鹿男に夢中のマダムは、恋のために、憂鬱だ。毎日逢いたい。一緒に暮らしたい。子供も優しい夫もみんな捨てて、駆け落ちしたい衝動と闘ってる。まさに、恋に身を焦がしてる‼

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