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麻布十番物語  作者: 由妃
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ミスター・国防

アイリッシュ・パブ「ブラーニー・ストーン」で、私たちというか、沢尻エリカもどきの美女の龍君のママに話しかけてきた男。


彼の自己紹介が本当なら、彼はこの国の国防の中枢の機関で、働いている。まだ30代後半ってとこなのに、それが本当ならすごいエリートだ。


でも、お見合いじゃあるまいし、経歴なんてどうでもいい。私たちに、軽井沢の生も美味いよ!フルーティな香りと後でくるさわやかな苦味が特徴なんだ、と言って、軽井沢のリアルエールビールをおごってくれたから、良いやつだ。


「あら、本当にフルーティ♡」


……と、無愛想な沢尻エリカもどきの美女の龍君ママも、外では愛想よく振る舞っていて、日本の国防の中枢にいる男の話に笑顔で相槌うっている。



ミスター・国防は、南京錠のネックレスがないシド・ヴィシャスみたいなパンクな服を着てて、安っぽく着崩してるつもりだろうけど、でも、どうしても高価な服ってのが、バレバレ。




アイリッシュ・ウイスキーをロックで傾け、彼はは、自分がいかに孤独を愛するかを語り出した。



「僕は、クリスマスも正月も一人で過ごすことにしてるんだ。集まってパーティーなんて、馬鹿がやることさ。僕は一人、雪山に行く。そして、白い極寒の風に吹かれて、雪の中をさまようのさ。」



「………ヘェ〜カッコいいですね。ねえ!」


龍君ママが、私にも同意を求めるので、仕方なく


「………うん、カッコいい…です。」という私。しかし、実は吹き出しそうになるのを、こらえてる。



ナルシスティックな男っていうのは、けっこう遭遇するが、雪山までいっちゃった奴は、初めて遭遇したな…。早く、早くアンドレと龍君、私たちを助けに来て~っ!


「僕の心は腐った惑星なんだ。今、しゃべってる僕はそこに浮かぶラピュタみたいなとこからしゃべってる。他の人間と話すときには、ラピュタから愛想のいい自分ロボットを作り出して、人と話をしてるんだ。」



隣の龍君ママは、うつむき、美しい唇を噛み締めて、笑いをこらえてる。


私も、軽井沢のビールが逆流しそうだ。



と、そのとき、ドアが開いて、麻布十番温泉で、あったまって頬っぺたがピンクになった龍君が入って来た。その後ろには、同じようにピンクの頬っぺたのアンドレ。



た…助かった………。



龍君には、フレンチフライとコーラ。アンドレは、キルケニーを頼んで、龍君が、風呂で潜ってたとかいう話で盛り上がった。


黒いお湯にびっくりしてたみたいだけど、アンドレが、体を洗ってやって、普通に入ってたら、恐る恐る入って、しまいには泳いでたらしい。


風呂から出たがらなくて、苦労したけど、上がったら、一緒にポケモンのゲームをやろうって言ったらすぐ上がったらしい。


アンパンマンからポケモンへ。


龍君は進化してるなあ。




それにしても、ミスター・国防が、本当に国防の中枢にいるなら


この国の未来は……相当…ヤバイ………!


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