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麻布十番物語  作者: 由妃
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龍君とキララ☆

龍君は、ちょくちょくうちに来るようになった。


ニートの私はたいがい暇なんで、龍君誘って、網代公園行ったり、スタバ行ったり、六本木ヒルズのふもとのTSUTAYAとか、一緒に行った。



龍君のママの沢尻エリカもどきの美女は、龍君の障害のことで、夫が蒸発したって言う。障害があるから、保育園でも預かってくれなかったとか。今は小学生だから、学童に入れたいけど、なんかあったとき、対応できないって断られたとか………。



本当かな~。だって、私の知ってる自閉症児のママは、ヘルパーさんにずっと預かってもらってるって言ってたよ。学童の場所で、ヘルパーさんが見てるんだと。


多分、断られるのが怖くて、はじめから頼んでないんだろ…。頼みごとをして、NOって言われると、ものすごく傷つくっていう人いるよね。私の母親がそうだったもん。


でも、いいや。どうでもいい、そんなこと。


龍君は、IQが普通の子供の半分しかない。いつもでかい声で歌を歌ってて、麻布から六本木ヒルズへの道を歩くとき、人が振り返る。



最初はちょっと恥ずかしかったが、私も一緒に歌うことにした。変な親子に見えるだろう。でも、歌いながら、道を歩くなんて、龍君がいなかったら、一生やらなかっただろうな。




信号機の根元に抱きついちゃったりして、動かない時は、ほっとく。とりあえず、道路に飛び出したりはしないし、こんなに好きなもんがあって、いいなあ。龍君…と、少しうらやましい。



ご近所の友人たちは、私が子持ちになったと噂してたらしい。…んなわけ、あるか!


結婚も、出産も無理………。子供が腹にいるなんて、ホラー映画かよ?



私は、恋人でもないアンドレの子供をはらんじゃったりして、中絶!!堕胎!!なんて暗く重~い事態にならないように、ちゃーんと毎日、ピルも飲んでるのだ。


普通の恋人同士なら、出来ちゃった結婚とかいう道もあるんだろうけど、私とアンドレには、そういう選択肢もない。それなのに………。


アンドレは馬鹿で鬼畜だから、避妊しろって言っても、聞かない。ゴムもつけないで、中に出す。それが嫌なら出てけだって。



まったくこんな馬鹿で鬼畜はみたことないけど、家主だから、仕方ない。


でも、アンドレは、龍君をカブトムシ仲間とみなして、預かっても文句は言わなくなった。


文句を言わないどころか、アンパンマンしか見ない龍君に、ポケモンを見せたり、ドラゴンボールを見せたりして、じょじょに、自分のアニメ仲間として、教育してる。



アンドレは、日本のアニメが大好きなフランス人のオタクなのだ。日本語はアニメやマンガをテキストとして、独学で話せるようになり、わざわざ希望して、日本の支社に転勤してきた。


どんな会社だか、知らないけど、ワインその他の輸出入だって言ってたな。カブトムシにも、はまってるから、そのうち、東南アジアとか、南米とかに転勤しちまうかもな。



そうなったら、バイバイだ。


私は家賃の馬鹿高い麻布を出て、旅に出よう。


とりあえず、ヴァチカン市国に行って、ミケランジェロが描いた、システィナ礼拝堂の天井の絵を見るんだ。


あとは、野たれ死にしたって、かまわない。


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