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光と影
真夜中の埠頭、夜空には軍用ヘリのアパッチが飛び。
倉庫街には大型四輪駆動車のハンヴィが待機している。
そして13号倉庫の中では漆黒の蝶が舞っていた。
黒いコートを翻し2挺のべレッタM92FSが火を噴く。
「黒い死神……」
「ツインドラゴン……」
耐え切れず逃げ惑う男達が口々に叫んだ。
「敵うわけが無い、逃げろ!」
それでもまだ抵抗する輩には情け容赦無い銃弾とナイフが飛んだ。
「貴様もただじゃ済まされないぞ!」
1人の男が叫ぶと漆黒の男が黒い手帳を開いてみせる。
「特機だと……あり得ない……」
男から戦意が消え力尽きて崩れ落ちた。
「シルフからノームへ西に車が数台、逃走中」
「了解」
アパッチからハンヴィに指示が出るとハンヴィが逃げ出した車を殲滅に向かう。
しばらくすると任務終了の連絡が入り。
13号倉庫の中から漆黒の男が出てくる。
男の顔には任務を終えた達成感などは無く。
ただ冷たく哀しげな目をして黒い大型バイクで埠頭を後にする。
そして翌朝、シャワーを浴びて熱いコーヒーを飲むと男の顔は表の顔に戻っていた。




