#4
同じ国にクリムもいくということで三人一緒に行動することになった。
サクはあまり好きになれない人なので初めは警戒していたが話していると悪い人ではないと思い少し警戒を解いた。
クリムは警戒が薄くなったサクに気づいてどんどんアタックする。
でもサクが本当に嫌がることはせず、一歩手前で後ろに退く。
最終的にサクがユイの後ろに逃げクリムがため息をついて退くことでその遊びは終わった。
サクのその国の第一印象は懐かしいだった。
サク曰く、自分が住んでいた国と雰囲気が似ているらしい。
木で作られた建築物や、人の顔とか、道路が土なところとか。
ユイの第一印象は田舎っぽいだった。
田んぼや畑がやけに多いところとか、車が走っていないところとか。
着ている服も高価なものより安価重視という感じがする。
クリムの第一印象は平和すぎるだった。
どの国でも強盗とかが頻繁におこるのにみんな穏やかな顔でそんなことしそうにない。
知らない人にもあいさつするのが基本になっている。
サクは目を輝かせユイは別にいいっぽい。がクリムは露骨に変な顔をした。
「どうしたの」
「なに、この平和ボケした人たちは!」
「いいことだよ」
「だめよ、どの国にも悪い人がいるものなの!」
「そんな人くらいこの国にもいるよ」
「どうしてそういうことが言えるのかしら、このバカけた人たちを目の前にして」
「ユイがこの国にきたから」
たしかに、死神は罪人や悪人を中心に裁いている。
だからユイがここに来たということはどこかにその人がいるということになる。
クリムはなるほどー、と頷く。自分も死神のくせに。
「じゃあサク、俺は仕事に行ってくる」
「宿は?ワタシはどこにいればいいの」
「お前は……」
ユイは懐からお金をだした。
「この国を自由に回っとけ。懐かしいんだろ」
サクはがばっとユイに抱きついた。
「ユイ大好きー」
「はいはい」
ユイは興奮した妹を宥めるように頭を撫でて
「いいか、絶対問題をおこすなよ」
「うん。悪い人にも気をつけるよ」
帽子を深く被りなおしてまたここでね、と道を駆けていった。
サクがいなくなった後。
「ユイ、ねぇ」
「なんだ」
「いやいや、かわいく呼ばれてるじゃない」
「だまれ」
「それに、まさかあなたがね。ふーん、へぇ、ほぉ」
「…………」
「わかった、わかったから、そう睨み付けないで!」
クリムはそう言ってスプーンを数本出した。
それは死神に欠かせない武器。
デスサイズ。
「さぁ、狩に出かけましょうか」
***
「おい、あいつを出してよかったのか」
低い男の声。
「あいつ?ああ、純血のことか」
「だしたらいけないのですか」
「いや、あいつはいささかやりすぎるところがありましてな」
「やりすぎる?」
「仕事はちゃんとするんだが、後から罪人になろう人、リストにのっていない人までやってしまうんだ」
「な……。なぜそれを知っていて放置する」
「それは、いつも無駄に殺すのはいつも後からリストに載せられる人だからと」
「誰からの命令だ」
「上、からです」
その場は複雑に静まり返った。