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『少しも、綺麗な愛じゃない』コメンタリーエッセイ  作者: 八車 雀兄


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15/15

第9章 壊れかけのRadio 後半

挿絵(By みてみん)

本日も、コメンタリーをやって参ります。

よろしくお願いしまーす!


挿絵(By みてみん)

へい。

了解。本日も第9章でいく。

■ ep.86 lulu.

https://novel18.syosetu.com/n1151lh/86


挿絵(By みてみん)

へい。

ep.86『lulu.』

告白のあと、家の中は静かに間延びする。明日人は部屋で通話やゲームが増える。

笑い声がすると誠司は安心する。

炊事洗濯をしていると、急に侘しくなる。


誠司の中の明日人は、出会った時のままのかわいい男の子だ。

だから告白されても、将来として現実味がない。


欲望に付く感情は一過性だと自分に言い、いなくてもやっていけると耐える。


年末年始は実家。母が寝込む。

初詣は父に促されて二人きり。

参拝者のいない社。つむじを見て、今のうちだと思う。顔を上げた明日人が綺麗に見える。

親として失格な感想だと知りつつ、それが本心。


「前みたいに、二人で散歩しても良い?」


黙っていると明日人の瞳から涙が一筋。手袋のままティッシュを探しているうちに、抱きつかれてキスされる。


「セイちゃんが好き。本当に好き」


幼く聞こえて、動揺しない。

明日人は自分で涙を拭う。


三月、繁忙期。

春休みの明日人がヘナチョコな焼きそばを持ってくる。ママゴトみたいな昼休憩に、ホッとする。

ダイオウグソクムシの話で、距離を手探りする。


インターフォン。

やって来たのは香坂。

卒業しても研究室で、明日人の卒業まで残る。

青のりが口についてる、と待たれる。

誠司の中にどす黒い感情が対流する。赤くなって出かける明日人がかわいい。


だから非常階段から、静かに後をつける。


lulu.はブラインドのまま置いていい。


中身は子守唄じゃない。孤独な家事と、二度目の土足と、追跡の前振りだ。

ep.85で距離を取ったつもりが、

ep.86では「いなくてもやっていける」が先に嘘になる。


通話の笑い声で安心する時点で、独立の予行演習に失敗している。

出会いのままの少年として固定しているから、告白が恋愛として成立しない。


成立しないのに、初詣のつむじは綺麗だと思う。

失格を自覚した視線が、この章の誠司だ。かっこよくない。見てしまう。


明日人は、二度目でも引かないことだ。

散歩の許可を乞うて、黙られたらキスする。

涙は自分で拭う。

依存の形が、もう子ども部屋の甘えだけじゃない。


焼きそばの平和は長い休みじゃない。

香坂が「卒業まで一緒」と言った瞬間、

ep.81の穏やかさが外部から割れる。

どす黒い感情のあとに非常階段。

父親の顔で昼を食べていた男が、追跡側に落ちる。


挿絵(By みてみん)

ep.86lulu. は、Mrs. GREEN APPLEのナンバーから。


知れば知るだけでいいのに

何かを求めてしまう

大丈夫 どこにも行かないよ

どこにも行けないよ


の歌詞がフックだった気がする。


挿絵(By みてみん)

へい。


そのフックなら、ep.86は追跡の章というより、離れられない宣言の章だ。


「知れば知るだけでいいのに/何かを求めてしまう」


通話の笑い声で安心する誠司が、これだ。


無事が分かればいいはずなのに、侘しさが来る。

つむじを見て、綺麗だと思って、散歩の許可に答えられない。知っているだけで済まない。


「大丈夫 どこにも行かないよ/どこにも行けないよ」

表向きは明日人の言葉に読める。

実際に縛られているのは誠司の方だ。


いなくてもやっていけると耐えているのに、初詣は二人、焼きそばは二人、出て行ったあとは非常階段。


行かない、のではない。行けない。


明日人の二度目のキスも、同じ歌詞の裏側だ。

引かない。どこにも行かない、を行動で出す。

誠司は無反応で、どこにも行けない側に残る。


香坂が「卒業まで一緒」と言った瞬間、行かないよ、が他人の口から出る。


だから追跡が始まる。

留守番する父親では、もう歌詞が持たない。


知ってる人だけ得するブラインドとして、よく効いてる。


挿絵(By みてみん)

これも『葬送のフリーレン』の主題歌だったかな?

この辺は水谷誠司も明日人も、進退窮まって停滞してるからね。


挿絵(By みてみん)

へい。


進退窮まってるのは両方だ。


誠司は受け取れない。拒否する。いなくてもやっていけると言う。なのに家を出られない。行けない側で家事をして、つむじを見て、後をつける。前進も撤退もない。ブレーキを踏んだまま停車してる。


明日人は好きを取り下げない。二度目のキスまで出す。なのに関係は親子のまま動かない。通話とゲームで別の部屋にいるのに、焼きそばを持ってきて、散歩の許可を乞う。進めないから、同じ場所で足踏みしてる。


ep.86の停滞は休止じゃない。


行き場のない恋慕と、土足の好きが、出口のない家で同時に止まっている状態だ。


次に動くのは意思じゃなく、香坂みたいな外部だ。内部だけでは、もう一マスも進めない。


■ ep.87 SPY

https://novel18.syosetu.com/n1151lh/87


挿絵(By みてみん)

誠司は非常階段から、冷めた気持ちで明日人と香坂見る。


スーツに胸花の香坂は、清潔な青年だ。駐輪場。人目がない。


改まった用事を茶化され、提出物かと勘違される。ヒントは卒業式。

四月も会うのに、と明日人が返す。

ヒント欲しい? と屈むように香坂がキスする。「本気だよ」。


手摺を、手が白くなるまで誠司は握る。


急ですね、話が面白い人、という距離の取り方のあと、二度目、三度目。

長く、深く。明日人は抵抗しない。


付き合ってほしい。一年の頃から、香坂は一目惚れ。


なんで俺なんですか。


という明日人の質問にも、香坂はかわいい自覚がない明日人への好意を隠さない。理性を抑えている、毎日抱きしめたくなる。


キモ、と言いながら肩パンする明日人。自分でもキモい自覚あるよ、と香坂。


誠司の爪が手摺に立つ。


返事は急がない。一時間後に連絡して。フラれても大丈夫なように茶化す。


明日人が笑う。香坂は恥ずかしそうに、髪を撫でる。


ep.87 SPY は、ここで初めてタイトルが本文になる。


覗きは保護者の見守りではない。


行けない男の監視だ。冷めた気持ち、と書き出しながら、手摺の白さと爪が、冷たさの嘘を出す。


香坂の介入が、ep.86までの「健全な残留」から、好きの名前に変わる。


一目惚れ、本気、理性。欲を父親語に翻訳しない。

だから誠司より正直に見える。


その正直さが、階段の上では凶器になる。


明日人の「抵抗しなかった」が、この章の芯だ。


好きの対象が誠司でも、今この場では拒まない。

停滞していた人間が、外部のキスには動いてしまう。

どうしても好き、の向きと、身体の反応が、ここで一度ずれる。

肩パンと「キモ」は拒否になっていない。処理だ。


誠司は、ここでもみっともない。

ヒーロー的に降りて制止しない。スパイの位置で、手が白くなる。父親なら介入する。恋人なら奪い返す。どちらもできない男が、階段に固定される。


挿絵(By みてみん)

まぁ、とうとう、外部から明日人へ愛情を指し示す人間が現れた回だからね。


明日人も香坂を嫌いじゃない。

絡みやすい先輩なんだよね。


挿絵(By みてみん)

へい。


そう。初めて、外部が明日人に愛情の名前をつけた。


十年、好きは誠司の体内か、明日人の土足かの二箇所にしかなかった。


世間の言葉では出てこない。


香坂は一目惚れと本気を、駐輪場で普通に出す。

翻訳しない。合法の距離で、愛を指し示す。


誠司が一番持っていなかったものを、外部が先に渡した回だ。

階段から見ているのは、ライバルというより、自分が出さなかった言葉だ。


挿絵(By みてみん)

出したくても、出せなかった言葉。

という方があってるだろうね。


挿絵(By みてみん)

そちらの方が正確だ。


出せないのは、愛がないからじゃない。

出したら父親の席が崩れ、あの側に落ちる。

十年、出したい言葉を保護に翻訳してきた。


駐輪場で香坂が言うのは、誠司が喉まで来て止めていた文面に近い。


見ているのは、奪われる光景だけじゃない。

自分が捨ててきた台詞を、他人が使っている光景だ。だから手が白くなる。


■ ep.88 貴方解剖純愛歌~死ね~

https://novel18.syosetu.com/n1151lh/88


挿絵(By みてみん)

誠司は黙って先に部屋へ戻る。

そして、味のぼやけた焼きそばを一人で全部食べる。明日人の分はラップして冷蔵庫。一人分の皿を洗う。


明日人のただいまの声が、いつもより小さい。


「香坂先輩、なんて言ってた?」 ニタニタ笑う。かずと先輩、と呼ぶんだ。アオハルじゃん。


作業そのものは、どうでもいい。

リンゴを丁寧に切る。みじん切り。ジューサーで砕く。

「特に話すことは無い」のに、笑ったままジューサーをなぎ倒す。

電源は入ったまま、床に中身が飛び散る。

モーターが空転する。


裏切り者。

見てた。全部。

包丁は床。

付き合っちまえ。

好きは嘘だろ。

十年、お前だけを見て生きてきた。

棄てて香坂と生きていくんだ。


誠司は膝から崩れて、床に突っ伏して慟哭する。

明日人が駆け寄る。どうしたの?

若くない。未来がない。

床で呻くことしかできない。


タイトル通り、解剖して、死ね、まで行く章だ。

洗いざらい話す器はない、と言った男が、器を持たないまま破裂する。


告白ではない。

告訴に近い。

見てたぜ、全部、嘘だろ、棄てるんだ。


好きの中身より、喪失の予測が先に口に出る。


ニタニタとリンゴが、一番冷たい。

(じゃんくん:というか、キモい!)


問い詰める前に、作業で間を作る。

丁寧に切るほど、あとの破壊が汚い。

父親の台所が、突然、嫉妬の現場になる。

モーターの空転が、壊れかけのRadioの実体だ。

音だけが残って、中身は床に散っている。


誠司は、ここで美しくない。

十年見てきた、は本音でも、言い方が汚い。


未来のない自分への絶望が、明日人への非難にぶつける。

中途半端な男のしぶとさが、ついにみっともなさの上限へ行く。


明日人は、まだ壊れ方の意味を取りきれていない。

駆け寄る。どうしたの?


駐輪場で抵抗しなかった人間が、家では心配する側に戻る。


外部の愛情と、内部の慟哭が、同じ日に重なる。


挿絵(By みてみん)

あいみょんの『貴方解剖純愛歌~死ね~』

タイトルだけでサブタイトル決めたんだけど、

連載終了後に聴いたら、めちゃくちゃポップで

良い曲だった。


でも、ここは水谷誠司と明日人には

温度差があるから、あってたかもなー。

と今なら思う。


水谷については、

あー。ついに壊れたかー。

って、なるよね


挿絵(By みてみん)

なる。ここまでブレーキで持ってきた男が、モーターごと倒れる。


壊れかけ、と言い続けたRadioが、ep.88で本格的に音を失う。


驚くほどではない。ep.82から黒くなって、ep.87で他人の台詞を聞かされたあとだ。壊れるな、の方が無理だった。


問題は、壊れた中身が明日人に届く形じゃないことだ。


好き、より先に、裏切りと棄てるが出る。

壊れた、で正しい。


挿絵(By みてみん)

まー。でも、年の差カップルでは、

必ず年上が抱える闇だよね。

年下は輝いて、同年代と接するけど、

年上はそれに合わせるのに限界があるからさ


挿絵(By みてみん)

へい。

年の差だと、闇はだいたい年上に残る。


年下は同年代と普通に輝ける。年上はそこに合わせる在庫がない。遅れが先に出る。


誠司が黒いのも、特殊だからだけじゃない。明日人の時間についていけない。香坂に僻むのは、その遅れを横に置かれたからだ。


年下に闇がないわけじゃない。


質が違う。選んで進む闇と、追いつけない闇。

家が殺伐になるのは、後者が溢れたときだ。


■ ep.89 LADY MADONNA 〜憂鬱なるスパイダー〜

https://novel18.syosetu.com/n1151lh/89


挿絵(By みてみん)

明日人は、受け入れなかった誠司が香坂の告白で突然壊れたことに、驚いている。


泣いている背を撫でる。

誠司の傍から離れない。泣かないで。


嘘だ。何度もキスしてた。誠司の声が裏返る。


明日人が黙ると、泣きながら笑う。


「諦められない、ずっと好きでいたい、と言ってたくせに、全部嘘だ」


明日人は冷静に返す。


「嘘じゃない。諦めろと言ったのはセイちゃんだ。好きを一番許さなかったのは、セイちゃん自身だ」


そう言って、転がったジューサーを片付け始める。


守るのに必死だった。

人生の残り全部をくれてやった。


誠司は喚くが、明日人は冷たく見下ろして、


「勝手だな、大人って。俺からそれをお願いしたことなんて、一度もないのに」


反抗期の定型に見える一言が、絶望した誠司が我を失なうには足りる。


目の前が白くなり、体が勝手に動く。


肩を突き飛ばす。蝶番にこめかみが当たって裂ける。血が服を染める。


明日人――。


誠司は真っ青になって止血する。ごめん、が続く。明日人は我に返った相手を見て、冷静だ。

切れてる? 目じゃなくて良かった。

セーフじゃない、と震えるのは誠司の方だ。

そして、明日人の血ならいい、汚くない。

支えられて、明日人は立つ。


Madonnaは母性の名前、Spiderは絡め取る側の名前だ。

両方、誠司にかぶさる。

守ると言って人生を渡し、渡したことを武器にする。

蜘蛛の糸を張ったのは自分なのに、絡まった相手を裏切り者にする。タイトルが浮いて見えて、中身は回収されている。


この章の Sharp は、明日人の冷静さだ。

撫でる。片付ける。嘘じゃないと限定する。

お願いしていない、と核を突く。

土足で好きを出してきた人間が、ここでは一番大人の言葉を持っている。

誠司の「くれてやった」が、どれだけ一方的かを、一文で解剖する。


突き飛ばしは、計画された暴力ではない。

白くなる、体が勝手に、と書いてある。

ep.88で戻そうとして溢れたものが、

ep.89で手に移る。

包丁は床に捨てた。次に出た手が、肩を押す。

分別の最後が、ここで落ちる。


誠司がここで好きになる読者は殆どいないだろ。

(じゃんくん:言い切ったね!)


挿絵(By みてみん)

このサブタイトルは、LOVE PSYCHEDELICOの

LADY MADONNA 〜憂鬱なるスパイダー〜

歌詞のcrime of fatherがフック。

直訳としては神父の罪なんだけどね。


■ ep.90 クレンジング クリーム

https://novel18.syosetu.com/n1151lh/90


挿絵(By みてみん)

タクシーでも、誠司が圧迫止血している。

傷が大きいから、抱きかかえる形になる。

指先が震える。簡単に倒れると思わなかった。明日人が平気そうなほど、罪が重い。


病院での処置室。

「お子さん、芸能活動は?」痕が残るかも。


誠司は倒れそうになる。

してないから大丈夫、と答えるのは明日人。


縫合を凝視しながら手を握る。握り返される。


ごめん。転んだだけ、気にし過ぎ。育ててくれなんて頼んでない、はガキっぽかった、と自分で回収する。


ラーメンが食べたい、と明日人は笑い、誠司は泣く。


帰宅。明日人が自分で着替えて洗う。

十七針。年の数と一緒。

傷つけた自分を許せない誠司。


「そんなに俺が大事? 」

「当たり前だろ」


そっか。パーカーを洗濯機へ。店屋物にしよう、今日は無理でしょ。


顔を上げかけたところに、そっとキス。


「これでチャラにしよ。元気ないの、つまんないよ」


明日人は真っ赤になって部屋に戻る。


ep.90は、きつい。

もう父親の顔に戻れない。

戻ろうとしてるのに、手が震えてる。


明日人が強すぎる。転んだだけ、ラーメン食べたい、自分で洗う、チャラにしよ。

壊れた側を、傷つき側が持って帰る。

怪我した明日人の方がしっかりしてて

誠司が一番子どもだ。


挿絵(By みてみん)

明日人を傷つけたことで、

かえって、離れていた距離がより縮んで、

父子関係から恋人へ移行しかけてるからね


挿絵(By みてみん)

そうなってる。逆説だ。

告白では縮まなかった。拒否して、散歩も黙って、距離が空いた。


嫉妬に喚いて、押して、血が出て、初めて密着する。

タクシーで抱きかかえる形になる。

手を握る。握り返す。


誠司がここで落ちかけて、チャラのキスが来る。

守るための距離が、傷つけることで崩れる。


父子の席は、拒否できる席だった。

恋人の席は、拒否してた席だ。

傷のあと、拒否の席に座れない。

世話する側と、される側が入れ替わりかけて、

その入れ替わりが恋愛の距離に見える。

移行しかけ、が正確だ。


移行しきってはいない。

好き、とは言ってない。

世間はまだ親子だ。

ただ、離れていた二人を一番近づけたのが、優しさじゃなく傷だ。


第9章の終わり方として、かなり性質が悪い。それでこの話らしい。


挿絵(By みてみん)

この場面での明日人は、傷付けられたことよりも、ネグレクト児童の本能で、


水谷誠司が自分に興味が向いてるか?

それとも向いてないままなのか?

の方を重視している。


普通なら、暴力をふるわれたことで、拒絶反応がおきるのに、それよりも愛着が優先順位が上回る。


それは、悲しい部分でもある


挿絵(By みてみん)

へい。

傷より、見てるか見てないか、だ。

ネグレクト側だと、叩かれても視線が戻った方がまだマシになる。


普通は拒否が先に来る。

明日人は愛着が先に来る。

チャラもキスも、許してるというより、向き直ったのを固定したい。

そこが悲しい。暴力より無関心の方が、原傷に近い。


挿絵(By みてみん)

ep.90のブラインドタイトルは、

中島みゆきの

『クレンジングクリーム』

嫉妬した女の怨歌なんだけど、

化粧を落とす度に

嫉妬する醜さが現れて、

最後は愛されない悲しみで泣き顔に

変わっていく名曲。

中島みゆきの演技力と一人芝居に近い曲だね。


嫉妬の先にある哀しみという変化。


内容よりも水谷誠司の内面にフォーカスして選んだ。


挿絵(By みてみん)

へい。

なら90は事件の章じゃなく、顔が変わる章だ。


嫉妬の怨歌で始まって、落とすたびに醜さが出る。最後は愛されない側の泣き顔。


中島の一人芝居に近い、もその通りで、病院から洗濯までの誠司が、ほぼ独白になってる。

明日人はいる。でもカメラは、落としていく内側だ。


内容より内面、で選んだなら当たってる。

押したことより、痕を聞いて倒れそうになること。大事、と叫んでから顔を覆うこと。チャラが効かないこと。嫉妬の熱が、哀しみに冷める途中だ。


化粧は父親の顔だ。

落とすと、いらない男が出る。タイトルは物語を説明しない。誠司の中だけを指している。ブラインドとして、かなり内側用だ。


挿絵(By みてみん)

これで第9章が終わるんだけど、章全体としては、

重苦しさより、二人の関係性変化が自然と水谷誠司を追い詰めてる感じだね。


挿絵(By みてみん)

へい。


第9章が重いのは、不幸を盛ったからじゃない。

明日人が大きくなって、外に人ができて、好きと言い出した。

それだけだ。普通に起きることだ。


でも誠司は、その普通についていけない。拒否しかできない。止まっている間に、関係だけ先に変わる。


だから追い詰められて見える。

誰かが悪意で追い込んだんじゃない。二人の関係が動いた結果、動けない側が苦しくなった。

それが第9章だ。


挿絵(By みてみん)

って、ことで

明日からいよいよ最終章。

やっとコメンタリーもラストが

見えてきたねー


挿絵(By みてみん)

へい。


よくここまで読者が残ったな、本当に。

第9章、きつかっただろ。

弁当から針まで付き合った人だけ、最終章に入れていい。


Radioは止まった。家は続いてる。差も傷も、大事も持ち越し。ここからが本番。

綺麗な着地は最初から約束してない。

それでも見るなら、


明日も来い。落ちるなよ。


挿絵(By みてみん)

それじゃ、また、明日~♪

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