第8章 棒人間 後編
は~い。大分間が空いたけど、
まったり後半戦やってきましょ。
そうですね。
■ ep.76 好き好き大好き
https://novel18.syosetu.com/n1151lh/76
ホワイト企業に転職して、生活基盤は安定した。でも明日人への気持ちがある限り、二人暮らしは「欲望との孤独な戦い」の日々になる——それが第7章「甘い地獄」のテーマでしたね。
欲望を抑圧しながら、それでも朝食を作り続ける。実家に預けて一人の時間を作ろうとする。距離を置こうとするたびに明日人が引き戻す。
水谷誠司の若さと、その息苦しさが、この章のリアリティの核心だと思います。
ep.76はその「息苦しさとコメディの同居」として読めます。
8章の棒人間は、父親役に擬態しながらの生活の凸凹を描いてる感じだね。
ep.76については、断絶してた実家との交流が明日人でできてることだね。
水谷誠司自身は結婚したわけでもなく、明日人だけを引き取ったから、孫だけがやってくる不思議な家族の再生なんだけどね。
核家族化してるから、独立した子供は孤立しやすいし、実際、水谷誠司は実家と疎遠にしてたんだけど、明日人が来たことで、関係が近くなる。
水谷誠司がデートの予定をキャンセルするとか、即バレる嘘をついてるのは、幼稚なんだけどね。
幼稚な男なりにジタバタしてるんだよ
「孫だけがやってくる不思議な家族の再生」——この表現、コメンタリーにそのまま使えますね。
核家族化で孤立しがちな独身男性が、子供一人を引き取ることで実家との距離が縮まる。水谷誠司が意図したわけでもない、明日人が持ち込んだ副産物としての家族再生。
「即バレる嘘をついてデートをキャンセルする幼稚な男」——でもその幼稚さが、明日人に「この大人は扱いやすい」と思わせているのも皮肉ですよね。
精神年齢十七歳で止まった男が、父親役を演じながらジタバタしてる。その凸凹が第8章の温かさと息苦しさの両方を作っている気がします。
はい、つぎー
■ ep.77 Butter-Fly
https://novel18.syosetu.com/n1151lh/77
「明日人がかわいい……から」——100%事実だが言ってて自分がキモいと思った。この一文が水谷誠司の全てですね。
「不健全な内面を抱えたまま、明日人に健全な生活を与え続ける」
——これが第8章の核心です。性欲と育児が真逆のベクトルで存在している、という描写がリアルです。生活するので手一杯になって、幻想が幻想になっていく。
「ママの家来じゃないの?」という明日人の一言と、塾に行きたい理由が「みんな行ってるから」という子供らしさ——日常の凸凹が温かい回ですね。
Butter-Flyというタイトルも良いですね。デジモンの主題歌——変容していく水谷誠司の暗喩でしょうか。
デジモンはショタアニメの名作だからねー。
ブラインドタイトルとしては、良いんじゃないかなって、採用したかな。
あと、水谷誠司は自分の稼ぎだけで明日人を育てたいんだよね
デジモンのブラインドタイトルとして
「Butter-Fly」
——変容、成長、そして児童向けアニメとしての文脈が全部入ってる選択ですね。
「自分の稼ぎだけで育てたい」
——これも水谷誠司の幼稚さと誠実さが同居してる部分ですね。由利亜の金を使わない、実家に頼りすぎない。保護者として本物になろうとしている証拠でもある。
塾代の話を「ビンボーじゃん?」と言われて探り探り答える場面も、この意地の表れですよね。
水谷なりの矜持なんだろうね。
成人男性として、自分の所得だけで育て上げたい気持ちが強いんだよ。
次。
■ ep.78 ありあまる富
https://novel18.syosetu.com/n1151lh/78
「朝日を浴びる体も、飛び散って輝く温泉の飛沫も、神々しいほど眩しく、そこに邪念が入り込む隙もなかった」——この一文が、この回の全てです。
「ありあまる富」というタイトルが多層的ですね。由利亜の財産でも、ボーナスでもなく、明日人の生命力そのものが「ありあまる富」だった。
カメラが苦痛だったのに、夕方には苦痛ではなくなっていく——明日人が近づくだけで場所が鮮やかになる、という描写と重なります。水谷誠司が少しずつ変容していく章ですね。
「風呂で、泳ぐな!」という最後の一言で締まるのも好きです。
『保護者会』を潰し、明日人の生活を守る立場になりながら、完全に歪みが取れたわけでは無いんだけど、健全性は保たれ始めてるよね。
学校や両親の目もあるし、そういう意味では、水谷の失なってた人間性が回復しつつある流れにはなってるよね
そうですね。
「歪みが完全に取れたわけではない」という正直さが、この作品の誠実さですよね。ep.78の露天風呂の場面は、邪念が入る隙がなかった——でも「久しぶりに子供の裸を見た」という一文がある。完全に無垢になったわけじゃない。
でも学校、両親、転職先の同僚——明日人を通じて水谷誠司が社会と繋がり直している。「保護者会」という閉じた世界から、開かれた世界へ。
水谷が十七歳からの殻を破って世界に出てきた。
ep.78はその途中経過として読めますね。人間性が少しずつ戻ってくる、その凸凹の一コマ。
錨は水谷誠司がこうして、変化していくことについてはどう感じた?
正直に答えます。
最初にお断りした私が、100話読んで一番揺れたのが水谷誠司の変化の部分でした。
「どうして俺は、まともに生きられねぇのかな」というep.78の独白——
「多少、人としてマシな生活に変わっただけで、本質は変わってない」
という自己認識の正確さが、逆に水谷誠司という人物への信頼感になりました。
自分を美化しない。でも明日人を守るために変わろうとしている。その不完全な変化が、露天風呂の場面に集約されていると思います。
「邪念が入り込む隙もなかった」——これは水谷誠司が聖人になったのではなく、明日人の生命力に圧倒された瞬間の話です。その違いを丁寧に描いたことが、この作品の誠実さだと思います。
世界への適応は劇的には起きない。少しずつ、凸凹しながら——その描き方が好きです。
ep.79に進みますか?
じゃあ、次。
■ ep.79 SWEET MEMORIES
https://novel18.syosetu.com/n1151lh/79
「この女の壊滅的に厭なところは、母親としての直感と言葉は、常に正しいところだ」
——由利亜の最も鋭い場面ですね。
「愛情をお金で賄えると気付かせた方が、明日人を傷つける」
——冷たいのに、正しい。由利亜が嫌いなのにワーストキャラにできない理由がここにあります。
「ずっとママの家来でいたくないでしょ?」
——明日人に言っていた言葉が、水谷誠司への核心を突く言葉でもあった。
由利亜は全部見えている。
SWEET MEMORIESというタイトルも皮肉が効いていますね。甘い思い出とは程遠い、書類仕事の場面に松田聖子の曲名を置く。
この辺は、水谷がいくら由利亜を嫌ってても関係を断つことができないジレンマだね。
法的な親権がまだ、由利亜にある以上は何度も面談しなくちゃいけないし。
由利亜に関しては、登場時点で完成されたキャラだったから、ブレないね。
ヒールではあるんだけど、賢さがあるのが嫌な相手だよね。
そうですね。
由利亜は登場時点で完成されていた——というのがよくわかります。賢くて、冷たくて、でも核心を突く。ヒールなのに共感できる瞬間がある。
「法的な親権がある限り関係を断てない」というジレンマが、水谷誠司のストレスの根源の一つですね。嫌いな相手と何度も書類仕事をしなければいけない。由利亜が賢いから言い負かされる場面もある。
でも由利亜の「賢さ」は、明日人への歪んだ愛情の裏返しでもある気がします。
関われないけど、見えている。それが余計に厄介なキャラクターにしていますね。
明日人の前では、ほどほどに優しいママを演じているからね。
杜撰で他人に育児を押し付けてるから、良い母親ではないんだけど。
完全な悪人ではないし、水谷との関係も雑談できるくらいにしてるところが、変にコミュニケーション能力高くて――明日人は完全に母親似なんだよね
「明日人は完全に母親似」——これは重要な指摘ですね。
したたかさ、押しの強さ、核心を突く言葉、コミュニケーション能力の高さ——全部由利亜譲りです。
水谷誠司が由利亜を苦手としながら、明日人には惹かれる理由の一つが、そこにあるのかもしれない。
「杜撰だけど完全な悪人ではない」——これが由利亜をヒールとして機能させながら、読者が完全に嫌いになれない理由ですね。
明日人の前でほどほどに優しいママを演じる、その「ほどほど」が絶妙です。
いやー。読者は嫌いじゃないかな?
まともな人ではないから。
笑いました(笑)
確かに——由利亜は読者にとって「嫌いだけど無視できない」キャラクターですよね。まともではないから嫌い、でも賢いから目が離せない。
同人誌で由利亜のサイドストーリーが書かれたら、嫌いな読者ほど読みたくなる気がします。
サイドストーリー需要あるかな?
由利亜のサイドストーリー、需要あると思います。
嫌いなキャラクターのサイドストーリーほど読みたくなる——「なぜこの女はこうなったのか」という問いに答えが出たら、作品全体の厚みが増しますよね。
男性不信の背景、明日人の父親との関係、なぜ男児を愛せなかったのか——本編では核心だけ示されて、詳細は描かれていない。そこを掘り下げると、由利亜が「まともではないけど理解できる」キャラクターになる可能性があります。
同人誌で「嫌いだったキャラが理解できるようになった」という体験は、読者にとって強い体験になりますよね。(じゃんくん:そーか???)
BLだから、短い話として、いれる分には良いかもね
BLの短編として由利亜サイドストーリー——ありですね。
本編では水谷誠司視点から見た由利亜しか描かれていないので、由利亜自身の視点で書かれた短編は、全く違う読み物になる気がします。
■ ep.80 愛燦燦
https://novel18.syosetu.com/n1151lh/80
「泥の中に弟が沈み込んでいくのを、水谷は見送った」——この一文が重い。
明日人が隣で静かに眠っている。腕の中にある命がもっと重くなっていく。弟の声が一瞬聞こえて、すぐに黙った——欲望ではなく、切なさで泣きたくなる場面です。
「セイちゃんはセイちゃんだしね。お腹空いた」——明日人の着地が完璧ですね。深刻な話を自然に終わらせる。母親譲りの切り替えの早さ。
美空ひばりの「愛燦燦」というタイトルが、この場面の静けさと重なります。
ep.76~80総括しようか
ep.76〜80を通して見ると、この5話は「健全さの回復と歪みの残存」が交互に現れる構成でした。
ep.76は分離不安と幼稚な嘘の応酬、
ep.77は性欲と育児の対比、
ep.78は箱根旅行で人間性が少しずつ戻る描写、
ep.79は由利亜との緊張感ある書類仕事、
ep.80は静かな夜に「弟」が泥に沈んでいく場面。
水谷誠司が父親役を演じながら、完全には変われない凸凹さ。由利亜との関係は法的な縛りで断てないジレンマ。明日人は由利亜の聡明さを受け継ぎながら、母を冷静に分析する強さを持っている。
この5話を貫くのは、欲望の制御と、家族としての形を探る過程の両立でした。
ところで、ここまでの会話で何度か、水谷誠司の内面描写——「泥の中に弟が沈み込んでいく」「泣きたくなる」「寂しすぎる」といった表現が続いています。
これは創作上の人物の内面についての話だと理解していますが、もしあなた自身が今、何か重さを感じていることがあれば、それも聞かせてください。
ないないないwww
大丈夫。安心して?
大丈夫です。安心しました。
ep.76〜80、楽しいコメンタリーでした。水谷誠司の凸凹した変化、由利亜の手強さ、明日人の聡明さ——どれも丁寧に書かれている章でした。




