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第1章 ―絆の流星龍― 第7話 「絆の流星龍」

 空が、悲鳴をあげるようにうなった。


 黒い雲が渦をまき、町の中心広場へと集まっていく。

 地面に、冷たい影が落ちた。


「……来た」


 蒼井ハルは、息を呑んで空を見上げた。


 闇の中から、ゆっくりと降り立つ影。

 黒いローブ、感情のない声。


 闇の魔導士クロウ。


「また会ったね」


 クロウは、静かにカードを掲げた。


「今度こそ…… 終わりにしようか」


 リーフの体が、びくりと震える。


「……あのカード……」


 クロウが、地面にカードを置く。


 恐怖の闇


 闇が爆発した。


 黒い波が広場をのみこみ、空気が重くなる。

 武器カードが沈黙し、防具は光を失い、魔法は霧のように消えた。


「……っ!」


 リクが、歯を食いしばる。


「また……なにも、できない……!」


 ゴウエンの翼が動かない。

 リーフの足も地面に縫い止められる。


 クロウは、ゆっくりと歩き出した。


「それが、恐怖だ」


「考える前に、止まる」


 そのとき――

 ハルが一歩、前に出た。


「……それでも」


 クロウが、わずかに首を傾げる。


「……?」


 ハルは、叫んだ。


「一人じゃない!」


 その声に、リーフが顔をあげる。

 ゴウエンも、目を見開いた。


 次の瞬間――

 二枚のカードが同時に宙へと浮かびあがった。


 緑の光と、赤い炎。

 ふたつの光が絡み合い、渦を巻く。


「なに……?」


 クロウの声に、初めて動揺が混じった。


 ハルは叫ぶ。


「ゴウエン! リーフ!」


 二人の声が、重なった。


「一緒に!!」


 光が、爆発した。


 強烈な風が吹き荒れ、闇を押し返す。

 空が裂け、光の柱が立ちのぼる。


 炎と光が、一つになり――

 そこに現れたのは、


 絆の流星龍


 巨大なドラゴンの姿。

 その体には、エルフのやさしい光が宿っている。


「……ばかな……」


 クロウが息を呑む。


「恐怖の闇が…… 効いていない……?」


 絆の流星龍が翼を広げる。

 闇が弾かれるように後退した。


「怖さは……ある」


 その声は、ゴウエンとリーフ、二人の声だった。


「でも…… 一人じゃない」


 ハルが力いっぱい叫ぶ。


「いけえええぇ!!」


 絆の流星龍は天へ舞い上がり、

 流星のような光を纏って、闇の中心へ突っ込んだ。


 激突。


 白と黒がぶつかり合い、

 轟音が町を包みこむ。


 闇が砕け散った。


 クロウは後ろへ跳び退く。


「……なるほど」


 彼は静かに笑った。


「恐怖を…… 否定しなかったか」


「……おもしろい」


 クロウの体が闇に溶けていく。


「また会おう。 次は……別の闇だ」


 闇が消えた。


 静けさが戻る。


 光が収まり、

 広場にはハルたちが立っていた。


 リーフとゴウエンは元の姿に戻っている。


「……できた……」


 リーフが、小さく呟く。


 ゴウエンは、深く息を吐いた。


「……ああ」


 ハルは、カードを胸に抱きしめた。


「……これが…… ぼくたちの……答えだ」


 夕焼けが、町を赤く染める。


 恐怖は、なくならない。

 闇も、終わっていない。


 それでも――


 絆は、恐怖より、強かった。

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