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第1章 ―絆の流星龍― 第6話 「二人の怖さ」

 夜。

 静かな部屋の中で、あおいハルは、カードを机の上に並べていた。


 リーフ。

 ゴウエン。


 どちらも、光らない。


「……ごめん」


 ハルは、小さく呟いていた。


「守れなくて……」


 その声が聞こえたわけではない。

 でも――


 カードの中でリーフは一人で立っていた。


 暗い森。

 月の光も、どこか遠い。


(……怖い)


 リーフは自分の手を見た。


 小さくて、力がない。


(ぼくは……いつも……)




 ハルの後ろに隠れていた。

 ゴウエンの影に、守られていた。


(また……足手まといになる……)


 リーフは、ぎゅっと目を閉じた。


 そのころ――

 別のカードの中。


 ゴウエンは広い荒野に一人立っていた。


 風が強く、何もない。


(……強さ……)


 ゴウエンの足元には、

 捨てたはずの 滅びのツメ が影のように転がっている。


(あれがあれば……)


 そう思った瞬間、

 クロウの声が、蘇った。


「恐怖は……強い」


 ゴウエンは、歯を食いしばる。


(オレは…… また、力に……)


 そのとき。


「……ゴウエン」


 小さな声がした。


 振り向くと、

 そこに、リーフが立っていた。


「……え?」


 ゴウエンは、目を見開く。


「……なんで……ここに……」


 リーフは、少し震えながら、でも、前に出た。


「……ぼくも……怖い」


「怖くて…… また、動けなくなるのが……」


 ゴウエンは、何も言えなかった。


 リーフは、続ける。


「でも…… 一人で 怖がるのは……

 もう、嫌なんだ」


 ゴウエンは、ゆっくりと、リーフを見る。


「……オレもだ」


 その言葉は、低く、重かった。


「オレは…… 強くないと……

 いられないと……思ってた」


「でも…… それで…… 誰かを……怖がらせた」


 ゴウエンの目にかすかな光が宿る。


「……それでも…… オレは……」


 リーフは、ゴウエンのすぐそばまで来た。


「……一緒なら……」


 その瞬間。


 二人の足元に小さな光が生まれた。


 まだ、カードになるほどじゃない。

 まだ、形もない。


 でも――

 たしかに、同じ光だった。


「……これ……」


 ゴウエンが、息をのむ。


「……ちがう……」


「怖さが…… なくなったわけじゃない……」


 リーフが、頷く。


「……でも…… 一人じゃ……ない……」


 光は、ゆっくりと、大きくなる。


 そのころ――

 現実の世界。


 ハルの机の上で、

 2枚のカードがかすかに、同じ色に光った。


「……え?」


 ハルは、息を止める。


 カードは、まだ使えない。

 恐怖の闇も、消えていない。


 それでも――


「……今……」


 ハルはなぜか、分かった。


「……近づいてる……」


 夜の空に、雲が流れる。


 恐怖は、まだある。

 闇も、まだ強い。


 でも――

 それをこえる準備は、

 静かに、はじまっていた。


 ――つづく。

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