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第1章 ―絆の流星龍― 第5話 「怖さが消えない日」

 朝の光が、教室の窓から差し込んでいた。

 でも、蒼井ハルの気持ちは、ちっとも明るくならなかった。


 机の中で、カードがひっそりと重なっている。


 リーフ。

 そして、使えなくなった装備カードたち。


(また……怖くなったら……)


 昨日のことが、頭から離れなかった。

 闇の魔導士クロウ。

 恐怖の闇。


「……ハル」


 声をかけてきたのは、黒鐘リクだった。

 いつもの元気はない。


「カード……試してみたけどさ」


 リクは、小さく笑った。


「やっぱ、ダメだった」


 放課後。

 人のいない倉庫の裏。


 ハル、リク、リーフ、ゴウエン。

 4人は円になるように立っていた。


「……やってみよう」


 ハルは、そう言って、カードを出した。


 リーフが現れる。

 でも――


「……っ」


 リーフは、一歩踏み出しただけで、止まった。


「……ごめん……」


 リーフの声は、震えている。


「からだが……いうこと、きかない……」


 ゴウエンも同じだった。


「……オレもだ」


 大きなドラゴンが、呟く。


「怖さが……残ってる……」


 リクは、悔しそうに拳を握った。


「……クロウは、いなくなったのに」


「……恐怖は」


 リーフが、小さく言う。


「……ここに、ある」


 リーフは、自分の胸を指さした。


 ハルは、ぐっと、カードを握りしめる。


(カードが使えない…… じゃあ……)


 ハルは、顔をあげた。


「……使わなきゃ、いい」


 リクが、顔をあげる。


「……は?」


「カードに、頼らなきゃ、いい」


 沈黙。


 ゴウエンが、ハルを見る。


「……それは…… 強さを捨てるってことか?」


 ハルは、首を振った。


「ちがう」


「怖くても…… 一緒にいる」


 リーフが、はっとしたように、顔をあげる。


「……一緒に?」


 ハルはうなずいた。


「カードが光らなくても」


「使えなくても」


「……隣にいる」


 リーフは、しばらく黙っていた。


 やがて、小さく笑った。


「……ハルって変だね」


「でも……」


 リーフは一歩、ハルに近づいた。


 ゴウエンも、ゆっくりと前に出る。


「……オレも……」


「一人は……いやだ」


 そのとき――


 ハルのカードがかすかに温かくなった。


「……え?」


 光るほどじゃない。

 でも、たしかに温もりがあった。


 リーフが、目を見開く。


「……これ……」


 ゴウエンが、低く言う。


「……ちがう……」


「武器でも……魔法でもない……」


「……ここだ」


 ゴウエンは、胸を指さした。


 しばらく、誰も何も言わなかった。


 ただ、4人はそこに立っていた。


 こわさは、まだ消えない。

 カードも、まだ使えない。


 それでも――


「……大丈夫だ」


 ハルは、そう言った。


「まだ……終わってない」


 夕焼けが、ゆっくりと沈んでいく。


 その空の下で4人の間に

 見えない何かが少しずつ、繋がりはじめていた。


 ――それが、

 のちに「合体」と呼ばれる力だとは、

 まだ、だれも知らなかった。


 ――つづく。

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