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第6章 ― 星の記憶  第6話「星を喰らうもの」

 夜空は静まり返っていた。


 だがその静寂は、“嵐の前”のものだった。




 ハルの手の中にある新たなカード――


 ――《星核顕現・心核》

 攻撃力12

 全属性+第七(意志)内包




 温かな鼓動が伝わる。




「これで……終わりじゃないんだな」


 カイトが空を見上げる。




 その瞬間。




 星空が、反転した。




 黒ではない。


 “無”。




 光も闇も吸い込む、完全な虚無。




 そこから現れたのは、輪郭すら曖昧な巨大存在。




 星々が、その身体に飲み込まれていく。




 ――《虚星王きょせいおう

 攻撃力15

 効果:星核を吸収し、能力を上書きする




 リーフの声がかすれる。


「星核の目覚めを……待っていた」




 レイが歯を食いしばる。


「狩人か」




 虚星王が口を開く。




『核は完成した。ゆえに、喰らう』




 無数の闇ではない触手が伸びる。




 星核顕現・心核が引き寄せられる。




「させるか!」




 ハルは前に出る。




 ゴウエンの炎。


 リーフの風。


 レイの闇。


 カイトの雷。




 すべてを重ねる。




「共鳴、最大解放!」




 《絆の流星龍》が呼応する。




 星核顕現・心核と重なる。




 だが虚星王の攻撃力は15。




 12では届かない。




 触手がアリーナを裂く。




 ボードが軋む。




 ハルの膝が揺らぐ。




 そのとき。




 星核から声が響く。




『恐れるな』




 心の中に直接響く。




『我は力。だが意志は、お前たちだ』




 ハルは目を見開く。




「俺たちが……核?」




 レイが気づく。


「そうか。星は器だ」




 ゴウエンが吠える。


「魂を重ねろ!」




 ハルは叫ぶ。




「第七、完全解放!」




 星核顕現・心核が砕ける。




 だが破壊ではない。




 再構築。




 属性が融合し、光を放つ。




 カードが変わる。




 ――《星核究極・クロニクル》

 攻撃力16

 効果:相手の能力を無効化し、戦闘時に数値を上回る




 虹色の光柱が立ち上る。




 虚星王の触手が弾け飛ぶ。




『……上書き不能』




 虚無が揺らぐ。




 ハルは叫ぶ。




「これは星だけの力じゃない!」




「俺たちの物語だ!」




 クロニクルの一撃。




 光が虚無を貫く。




 星空が震える。




 虚星王が崩壊する。




 最後に残った声。




『意志を持つ核……予測外』




 虚無が消える。




 星が戻る。




 静かな夜。




 アリーナがゆっくり停止する。




 ハルはカードを見つめる。




 《星核究極・クロニクル》。




 それは単なる最強カードではない。




 星と人の、物語そのもの。




 リーフが空を見上げる。


「でも……まだ終わってない」




 レイが静かに言う。


「虚無はひとつじゃない」




 遠くの星が、かすかに揺らぐ。


 

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